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2011

03/31

Thu.

22:34:39

さいごの戦い 

Category【児童文学


さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。


 ナルニア国の終わりごろ、街灯あと野の西のかたはるか遠く、大滝の落ちるあたりに、一ぴきの大毛ザルがいました。サルはたいへんな年よりで、はじめいつごろこの地方にきて住んだかを知る者とてありませんん。ずるがしこいことこの上なく、みにくさもかぎりなく、これ以上のしわだらけはあるまいと思われる、しわしわの毛ザルでした。一本の大木のまたに、木で小さな家をつくり、木の葉で屋根をふいて住んでいました。毛ザルの名は、ヨコシマといいました。この地方の森には、ものいうけものたちも人も小人も、そのほかのナルニア人もたいへん少なく、ヨコシマはただ、トマドイという一頭のロバを友とし、となりづきあいをしていました。サルもロバも、たがいに友だちとはいっているものの、いろいろな点からおして、トマドイは、ヨコシマの友だちというよりは、召使といったほうがいいと、だれでも思うことでしょう。ロバは、なにもかもしてやりました。いっしょに川へいきますと、ヨコシマが大きな皮袋に飲み水をどっさりつめて、トマドイがそれを運んで帰るのです。




ナルニア国シリーズの最終巻です。今回は最終回だけあって、豪華キャストであります。

時代背景は今までの中よりずーっと後の世代になります。王様の名前はチリアン。カスピアンよりも何代も何代も後のことです。

上のサルのヨコシマは今までのナルニア史上で最も悪知恵の働く動物ではないでしょうか。心根のよいロバのトマドイを召使のようにこきつかい、悪知恵の思いつく限りに謳歌してきました。ある日滝の中でなにかが浮いているのを発見したヨコシマは、ロバのトマドイを滝に飛び込ませてそれを拾いあげます。よくよく見ると、その浮いていた物体はライオンの皮でした。

悪知恵のかたまりであるヨコシマは、それをトマドイに着せて、ナルニアの王アスランを装い、人々や動物たちをだましていきます。アスランが偽者であるなんてことがあるはずがない、そう思った動物たちはヨコシマの悪知恵を信じてしまいます。

この物語はどこそこにクリスチャン精神が詰め込まれておりますが、この最終巻はそれが最も色濃く現れていると思います。そして終わりがとても思いがけないメッセージとなっています。

 この本を読んで 

・小さい頃に読んだ時、よくわからないエンディングだなーと思ってました。大人になって読んでも「えー」という気分は変わらなかったです。

・なぜかこの本はいつも春に読みたくなるんですよね。なぜかしら。




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2011

03/25

Fri.

06:57:10

魔術師のおい 

Category【児童文学


魔術師のおい―ナルニア国ものがたり〈6〉 (岩波少年文庫)魔術師のおい―ナルニア国ものがたり〈6〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。

 

この物語は、ずっとむかし、みなさんのおじいさんがまだ子どもだったころのお話です。そしてここには、そもそもわたしたちのこの世界とナルニアの国とのゆききがどんなふうにして始まったかということが書いてありますから、たいへん大事なお話でもあります。
 そのころは、名探偵のシャーロック・ホームズがまだ生きていて、ベーカー街に住んでおりましたし、バスタブル家の子どもたちが、ルウィシャム通りで、宝さがしをしていた時分です。そのころは、男の子ですと、イートン校式のごわごわしたカラーのついた服を毎日着なければなりませんでしたし、学校もいまよりもっといやなところでした。でもごはんは、そのころのほうがおいしかったようです。それにお菓子ときたら、どんなに安くて、おいしかったかは、いわないでおきましょう。よだれを流しても、あげるわけにいきませんから。そしてそのころ、ロンドンの町に、ポリー・プラマーという女の子が住んでいました。ポリーは、何軒もの同じ家が棟つづきにならんでいるタウンハウスの一軒に住んでおりました。ある朝、ポリーが裏庭に出た時、ひとりの男の子がとなりの庭からよじのぼって、塀の上に顔をだしました。ポリーはひどくおどろきました。それまで一度だって、となりの家には子どもがいたためしがなかったからです。ケタリーさんという、どちらも独身の年とった兄と妹が、いっしょにくらしているだけです。ですからポリーは、好奇心がうずうずして、その子を見あげました。その知らない男の子の顔は、すごくよごれていました。そのよごれかげんといったら、まず土をこねくりまわしたあとで、さんざ泣いて、そのあげく、よごれた手で顔をふいたとしても、とてもこれほどにはなるまいと思われるくらいでした。いや、じっさいのところ、この男の子は、それに近いことをしてきたところでした。



ナルニア国シリーズ6冊目です。

ナルニアの時間にすると、シリーズの中でこの本が一番古い時代にあたります。というのも、ナルニアが作られていく姿を書き出しているからです。特徴としては、その様子がまるで聖書に合致しそうな部分がところどころあることでしょうか。

さて、今回人間界からナルニアへ渡ったのは、ポリーとディゴリーです。ディゴリーは、ポリーの隣家であるケタリー家に病気の母とともにやってきた男の子で、ポリーと親しくなってすぐにナルニアへ出向きます。

ナルニアの生い立ちを語るこの本で、どのようにナルニアへ訪れたかといいますと、それはケタリー家の結婚していない叔父にありました。このおじさんは、長い間魔術を研究しており、妖精がいた時代を知る人間としてホコリを持っていました。親戚で妖精の地を惹くおばさんから譲り受けた品々を使って、別世界へ行く方法を模索している最中だったのです。

その叔父のせいというか、おかげというか、ポリーとディゴリーは別世界への道を見つけてしまいます。

 この本を読んで 

・ヨーロッパの子供達がどのようにして、聖書の背景を学んでいくかを感じられるようなお話です。彼らにとっては違和感のない新世界の誕生なんだと思います。

・ディゴリーだったのか!という関連性も面白いところ。


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2011

03/23

Wed.

23:12:17

馬と少年 

Category【児童文学


馬と少年―ナルニア国ものがたり〈5〉 (岩波少年文庫)馬と少年―ナルニア国ものがたり〈5〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。

 これからお話しするのは、ピーターがナルニア国の一の王で、その弟とふたりの妹も、それにつづく王、女王だった黄金時代に、ナルニアとカロールメンの二つの国と、そのあいだにはさまれた地方でおこった、ある冒険の物語です。
 そのころ、カロールメンのはるか南にある小さな入江のほとりに、アルシーシュという貧しい漁師が、ひとりの少年といっしょに住んでいました。少年の名は、シャスタといい、アルシーシュを父と呼んでいました。ふだん、アルシーシュは、朝から小舟に乗って、魚つりにいき、午後になると、ロバに荷車をつけ、魚を積んで、一キロばかり南の方の村へ魚を売りに出かけました。魚がよく売れれば、すっかりいいごきげんになって帰ってきて、シャスタになにもいいませんでしたが、売れゆきがわるいと、なにかとシャスタのあらをさがしだして、あげくのはてにはなぐるというしまつでした。なにしろシャスタのあらをみつけるには、ことかきません。とにかく、魚の網のつくろいやら洗濯やら、夕飯の支度やら、ふたりの住んでいる小屋の掃除まで、シャスタの仕事は山ほどあったからです。



ナルニア国シリーズの5冊目。

今回は人間界の人々が主人公ではありません。ナルニアの隣の国カロールメンに住む少年、シャスタが主人公。ヨーロッパがナルニアならば、カロールメンはまるでアフリカのような特徴を持っています。肌が褐色の人々が住み、独特な文化を持ち、いろいろな人種や部族がある上に、家族が大きい。

シャスタは漁夫に拾われて、それからずっと田舎の漁村で暮らしていました。ある時、漁夫の家に泊り客が現れます。実はシャスタはカロールメンの多くの人のように褐色の肌を持つものではなく、白い肌を持つ男の子でした。その客はシャスタを見て、「奴隷としてシャスタを買いたい」と父に申し出ます。父との生活より、裕福に見えた泊り客との生活のほうが素晴らしいものに感じたシャスタは、客が乗ってきた馬に話しかけました。

ナルニアでは動物が口をきくのは普通のことです。しかしカロールメンではそうでありませんでした。なんと客の馬が、唐突に人間の言葉を話したのです。馬はおさない頃にカロールメンに売られたそうで、今まではずっと他の馬と同様に物を言わない馬のフリをして暮らしていたのでした。ナルニアに帰りたいと思っていた馬は、シャスタに一緒に逃げようと問いかけます。そこからシャスタの旅は始まるのでした。

時代はちょうどルーシーたちがナルニアを管理していたころですから、1巻目と同じ時期です。アスランの登場も少なく、今までとはちょっと違った作品。

 この本を読んで 

・ナルニアが舞台ではないせいか、ちょっと新鮮な印象です。






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2011

03/21

Mon.

21:48:20

銀のいす 

Category【児童文学


銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
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書き出しをご紹介します。

 あるどんよりした秋の日、ジル・ポールは体育館の裏手で、泣いていました。
 ジルが泣いていたのは、あの子たちが、いじめたからです。ですが、このお話は、学校の小説のつもりではないので、ジルの学校についてはあまり楽しくもありませんし、できるだけふれないでおきます。その学校は、男女共学で、そのころの世間では「まぜこぜ学校」といったものですが、そんな学校をやってる人たちの心のほうが、ずっと「まぜこぜ」だという人もいます。こういう人たちの考えは、男の子にも女の子にも、やりたいことをすきかってにやらせておこうというのです。ところが悪いことに、いちばん大きい学年の男の子や女の子たちのうちで、十人か十五人ぐらいは、ほかの者をいじめるのがすきな者がいます。ふつうの学校でのことなら、すぐ見つかって、その学期のうちにたちまちとめられてしまうようなひどいこと、おそろしいことがらが、ここでは、禁じられていません。そんなことがもし見つかった場合でも、それをした者たちは、放校になったり、罰せられたりすることがありません。校長は、そういう事件は生徒の心をしらべるのにおもしろいことだといって、その子たちを呼んで、何時間も話しあうしまつです。そんなとき、校長にうまいことがいえるようでしたら、かえってお気に入りになるというものです。
 そんなわけで、ジル・ポールは、どんよりした秋の日に、体育館のうらと庭木のしげみのあいだに通っている、じめじめした小道で泣いていました。また泣き止まないうちに、ひとりの男の子が、体育館のかどをまがって、ポケットに両手をつっこんで口笛を吹きながら、やってきました。その子は、もうすこしでジルにぶつかるところでした。



ナルニア国シリーズ、4冊目です。

今回の主人公は、ナルニアを見つけたルーシーのいとこで、『カスピアン王子のつのぶえ』でルーシーやエドマンドと共に東の海を渡ったいとこのユースチスが主人公になっています。

ユースチスの学校はなんとも自由奔放すぎて、学校側は生徒の管理をしていない。ゆえ、いじめが生じているようです。もう一人の主人公のジルも、いじめにあっている一人。ある日学校裏で泣いているところを、ユースチスに出会います。

ユースチスはジルを慰めるために、秘密と前置きしてから自分が経験したナルニアの話をしてみました。最初は眉唾だと思ったジルも、だんだんとユースチスの話に引き込まれます。それが鍵となってか、ジルはアスランの姿を見、ナルニアに引き込まれます。

今回のナルニアは、カスピアン王子がすでに王となり、ナルニアを統治している晩年のお話です。カスピアンは東の海から戻り、その時に出会った娘と結婚して一男をもうけるのですが、その王子が魔女に連れ去れてしまい長い間行方不明となっていました。ジルとユースチスは、アスランからその王子を探し出すように命令されます。

二人はふくろうの手助けを借り、どうにかお城から出発して王子探しを始めます。途中、彼らは広大な沼を渡らなければならないことを知ります。その案内人としてであったのが、泥足にがえもんです。このにがえもんは沼人で、とても背が高くてやせており、つねに悲壮感のありそうな言葉をなげかけてきますが、非常に温かい心の持ち主です。にがえもんと共に、二人は王子を探しに出るお話です。

 この本を読んで 

・ナルニア国シリーズの中で、私はこのにがえもんのキャラクターが一番好きなんですが、読むたびに『オズの魔法使い』に出てきそうなキャラだなーと思います。


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2011

03/18

Fri.

23:24:35

朝びらき丸東の海へ 

Category【児童文学


朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。

1 寝室の絵

 いまからすこしむかし、ユースチス・クラレンス・スクラブという男の子がいました。へんな名前でしょう?ところがその男の子がまた、その名前にふさわしい、へんな子だったのです。おとうさんとおかあさんは、その子を、ユースチス・クラレンスとよび、学校の先生たちは、スクラブくんとよびました。友だちの間で、なんとよんでいたかはわかりません。友だちがいなかったからです。その子は、おとうさんおかあさんを、とうさんとか、かあさんとかよばないで、ハラルドとか、アルバータとかいいました。つまりこの両親は、たいへん現代的で、進歩的な人たちだったのです。肉のかわりに野菜を食べることをたてまえにし、タバコと酒を目のかたきにして禁酒禁煙をちかい、とくべつな下着をつけ、家具はほとんどそなえつけず、寝る時には、ふとんを少ししかかけず、窓をいつもあけはなしておく、というふうでした。
 ユースチス・クラレンスは、動物ずきで、とくにカブト虫が大すきですが、ただし、それが死んでいて、てんし板にピンでさしてある場合でした。また本もすきでしたが、それも知識の本や参考書で、穀物倉庫の絵や模範学校でふとった外国の子どもたちが体操をしている絵などがあるものにかぎりました。



ナルニア国物語の3冊目に当たります。

このお話は時代背景が行き来するのが特徴です。しかし行き来するのは、別世界にあるナルニアの歴史のみで、登場するイギリスの子供達は徐々に大人へと成長していきます。ナルニア国の時間の流れは、地球でのそれとは異なり、地球の数分が数年に匹敵してしまうことすらある。

3冊目までの時間の流れを簡単に説明しますと、1冊目で兄弟姉妹がナルニアを発見。ナルニアの王となる。2冊目では、再びナルニアに戻った兄弟姉妹ですが、時は王であった頃からさらに300年ほど経った頃でした。その時の王子、カスピアンがナルニアを復活させるのを手伝います。そしてこの3冊目では、そのカスピアンがいなくなった国民を探しに東の海へ乗り出した航海のおはなしです。

2冊目までは4兄弟がすべて登場していましたが、上の二人は十分大人になってしまい、この作品では下の二人(エドマンドとルーシー)が再びナルニアを訪れます。今回は書き出し部に登場するユースチスがナルニア行きの鍵を握っています。二人がいとこであるユースチスの家に預けられます。そこで見つけた絵が、突然現実のものとなる。その絵とは、海を渡る船の絵でした。

もちろんいとこのユースチスにとっては初めてのナルニアですし、カスピアン王に会うのも初めてのこと。ひねくれた心を持つユースチスが、ナルニアでの正義の航海により心豊かになる姿が感動的です。

 この本を読んで 

・映画化されましたね。このシリーズは一番映像にしても見ごたえがあるように思います。

・海を渡るあたり、なんともイギリスの児童文学だなーという気になります。


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2011

01/14

Fri.

16:31:59

カスピアン王子のつのぶえ 

Category【児童文学


カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)カスピアン王子のつのぶえ―ナルニア国ものがたり〈2〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
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1 ここは島だ

 むかし、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの四人の子どもたちが、ふしぎな冒険をしたお話は、『ライオンと魔女』という本に書かれています。四人が、ふしぎな衣装だんすの戸をあけて、なかにはいると、このわたしたちの世界とまるでちがった世界にはいっていて、そのナルニアという国で、長いあいだ王、女王になった話です。そのナルニアで、たいへん長い年月、政治をおこなっていましたのに、また衣装だんすの戸を通ってイギリスに帰ってきてみますと、そのあいだに少しも時間がたっていないように思われたのです。とにかく、四人がいなくなったことに気がついたひとはひとりもありませんでしたし、子どもたちは、ひとりの賢いお年よりに話したほか、だれにもそのことをいいませんでした。
 さて、それから一年たって、いまその四人の子どもたちがある日、ある鉄道の駅のホームで、四人のまわりにトランクだのおもちゃ箱だの、家からのこまごました品物の荷物だのをつんで、汽車を待っているところでした。じつはこの四人は、学校の寄宿生活にもどる途中で、家からいっしょに、この乗りかえの駅まで汽車に乗ってきたところですが、ここであといく分か待ちますと、女の子たちが乗る列車がきますし、半時間すれば悦の汽車がついて、男の子たちはそれに乗って、わかれわかれになるのです。



ナルニア王国シリーズの第2巻目。

1巻目では四人の兄弟が預けられた老教授の家の衣装ダンスの中に不思議な国への通り道があることを発見します。その国は白い魔女の魔法で年中冬になってしまったというおそろしい土地で、四人はどんどんと中へはいっていきます。兄弟の最初にそこへ入ったのは末っ子のルーシィでした。ルーシィはここに気のよい動物達が暮らすことをしっています。話も出来、素敵なお茶もごちそうになりました。ところが、タンスからもとの世界へ帰り、兄姉たちに話たところで、だれもナルニアの話を信じてくれなかった。次に下から2番目のエドマンドがナルニアに出てしまうのですが、偶然にも白い魔女に出くわし、魔法のかかったプリンを食べてしまう。最後に四人全員がナルニアへ渡りますが、ルーシィの友達は魔女の手によって連れされれてしまったことを知ります。魔女からルーシィの友人を救うため、彼らはライオンの姿をしたナルニアの王アスランと共に戦います。

2巻目ではあれから人間の時計で1年後の話。ナルニア時間ではすでに何百年もの月日が過ぎ去っていました。彼らの暮らした王宮もすっかり廃墟となり果て、すぐにはここがゆかりの土地とはわからないほど。そこへ一人の小人が流されてきます。小人から聞いた話によると、ナルニアは今、ナルニア人ではないものが支配しており、彼らは海の向こうからやってきた人種らしいということ。今、王の悪政により、ナルニア人は森の奥に隠れてくらしていること。王子はナルニアの味方で、これから国を立て直そうとしていることなど知った四人は、すぐに王子を助けるべく、懐かしの土地を再訪します。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・この2冊目を読むと、ネズビットの「砂の妖精」を思い出します。久々に読んだのですが、わくわくしながら楽しめました。

・映画化されたものを見ていないのですが、2冊目にはぜひ映像化したくなるようなシーンがたくさんあります。最後のゲートなどはどんな風になっているのか見てみたい気もするな。


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2011

01/03

Mon.

10:16:08

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 

Category【児童文学


ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
C.S.ルイス

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書き出しをご紹介します。

1、ルーシィ、衣装だんすをあけてみる

 むかし、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィという四人の子どもたちが、いました。この物語は、その四人きょうだいが、この前の戦争(第二次世界大戦)の時、空襲をさけてロンドンから疎開した時におこったことなのです。きょうだいは、片田舎に住むある年寄りの学者先生のおやしきに送られたのですが、そこは、もよりの駅から十五キロ、もよりの郵便局からでも三キロもはなれたところでした。先生は、奥さんがいないで、マクレディさんという家政婦と三人の女中さんといっしょに、たいそう大きなやしきに住んでいました。(女中さんの名は、それぞれ、アイビー、マーガレット、ベチーといいますが、このお話にはあまり出てきません。)先生は、頭はもとより、顔まで、もしゃもしゃの白髪でうまった、とても年とった人で、四人とも会ったばかりですぐ、この先生がすきになりました。でも子どもたちがきたその日の夕方、四人をむかえに玄関に出てきた先生が、あまりふうがわりなようすなので、いちばん年下のルーシィは、すこしばかりこわがりましたし、そのすぐ上のエドマンドのほうは、わらいたくてわらいたくて、それをかくすのに、鼻をかむふりをしていなければならなかったほどでした。
 先生におやすみなさいをして、その晩二階にあがってから、すぐに男の子たちは、女の子の部屋にはいってきて、みんなでこんな話をしました。
「ぼくたち、まったく、ついてるよ。」と年上のピーターがいいました。「とてもすばらしいことがおこりそうだな。あのおじいちゃん、ぼくたちのすきなことをさせてくれるよ。」



2011年最初に読んだ本はナルニアシリーズの第一作目『ライオンと魔女』です。

今年は魔法のように魅力的な一年を過ごしたい。そして、できればたくさんの旅をしたいと思っています。それにはやっぱりそれにふさわしい本を読まなくては!ナルニア国物語も映画化されていますので、このお話は多くの方がご存知ですね。

4人の兄弟が疎開で田舎の家に預けられます。そこは大きな家で、兄弟で探検に出てみると不思議なことが起きる!この4人の場合は、末っ子のルーシィが洋服ダンスの中に不思議な国を発見したことにありました。そこは夏なのに雪が降っていて、人間とは違う形の生き物が暮らしています。はじめてその国ナルニアに入ってしまったルーシィは小人に出会いお茶をごちそうになります。でもイギリスに戻ってもだれもその話を信じてはくれません。とくにエドマンドはルーシィをいじめます。

ところがある日ルーシィを追って洋服ダンスに入ったエドマンドはついにナルニアを見てしまいます。今までルーシィの言葉がうそだと思っていたけれど、ナルニアは本当に存在したことにエドマンドは驚きます。そこで彼が出会ったのがナルニアを支配しようとしている魔女です。エドマンドは魔法のかかった食事で魔女のワナにかかってしまいます。

その後、彼ら4人全員がナルニアに入ることになるのですが、ルーシィが最初に出会った小人の家を訪ねたことで4本の運命は変わります。小人の家は荒れ果てて、すっかり壊されていました。それはエドマンドが会った魔女のせいなのですが、かわいそうなエドマンドは魔女の魔法のせいですっかり心がおかしくなっている。

それから4人は小人を助けるために、ナルニアを旅するのです。ナルニアは実はライオン王のアスランが当時する国でした。今一面が雪景色なのは、魔女の魔法のため。アスランはいつも気が向くとナルニアにやってきます。4人はまずはビーバーの夫婦に出会い、アスランの存在を知ります。彼らがアスランに出会ってからは、冒険がどんどんと魅力的なものとなり、ワクワクが止まらなくなる。

ハリーポッターのようなダイナミックさはありませんが、古き良きイギリスの古典児童文学です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・この本をはじめて読んだ時、ネズビットの作品を思い出さずにはいられませんでした。彼女の小説も大抵は四人の登場人物(みんな兄弟姉妹)で、疎開で田舎を訪れている場合が多いかも。

・でも、そのイギリスらしい場面がお話をどんどん面白くしていきます。

・年始のうちに、全作品読み返してみることにしよう。


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2010

12/28

Tue.

07:39:26

飛ぶ教室 

Category【児童文学


飛ぶ教室 (ケストナー少年文学全集 (4))飛ぶ教室 (ケストナー少年文学全集 (4))
(1962/05/16)
ケストナー

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書き出しをご紹介します。

第一のまえがき

ケストナー夫人とそのむすこの議論― ツークシュピッツェ山をのぞむ― ゴットフリートという名のチョウチョ― 黒と白のぶちのネコ― 消えない雪― なごやかな仕事じまいと、子牛は、雄牛になるかもしれないという、もっともな話

 こんどは本式のクリスマス物語です。ほんとうは、私はこれをもう二年まえに、核つもりでした。それから去年は、ぜひとも書くつもりでした。ところがそうしようとすると、いつも何かじゃまが起こりました。とうとう私の母は、このあいだ、「おまえはことしあれを書かなければ、クリスマスになにもあげませんよ!」といいました。
 それで、すっかり決心がつきました。私は大いそぎでトランクを荷づくりしました。ラケットと水泳着と緑いろの鉛筆と、おそろしくたくさんの原稿紙を入れました。そして私たちが汗をながしながらあわただしく停車場の構内に着いたとき、私は「さて、どこへいったものか。」と、くびをひねりました。というのは、いちばん暑い真夏のさかりにクリスマス物語を作るということが、どんなにむずかしいかは、わかりきっていましたから。「身を切るように寒く、雪がどんどんふっていました。アイゼンマイヤー先生は、窓から外を見ると、両の耳たぶがこごえました。」などと、こしを落ちつけて、うまく書くことはできません― どんなにやろうと思っても、そんなことは、この八月には書けません。おふろにはいって、シチュー肉のようにあぶられる思いをし、日射病を覚悟しているんでは、ね!それとも?



upが少し遅れてしまいました。小学生の頃から、クリスマスが近くなるとかならずこの本を手に取って来ました。そしてクリスマスじゃなくてもたびたび手に取りたくなる児童書です。

「飛ぶ教室」とはクリスマスに演じられる演劇のタイトルです。演じるのはドイツのギムナジウムに通う男の子達。この学校には寄宿舎があり、そこで暮らす少年達がみずから台本を作り演じる予定になっています。ここに出てくる少年たちは、みな絵に描いたような少年らしい少年です。わんぱくで、友情を大切にし、将来へ夢を抱きながら暮らしている。舎監の先生を尊敬するだけではなく、また日本とは違って学校の教育システムが長いことから上級生の姿を見ながら大人になることを学んでいけるのもドイツの児童文学の特徴のような気がします。

ケストナーの作品はどれも、子どもが抱く心の痛みを届けようとしているように感じられます。親を思う気持ちや「このままではいけない!」という自分への焦り、そしてなによりも溢れんばかりの友情が子どものみならず大人へも感動を与えてくれます。本書では、舎監のベク先生と学校の近くの禁煙車両で生活する禁煙先生の姿を通して子どもの心を上手に投影させています。

私のお気に入りは、「授業が現場検証になる」という台詞のほか、前書きの中でケストナー氏が小言を言うお母さんを怒らせるために「花に水をやって!」とどなるシーンです。「いってきます」でも「体に気をつけて」でもなく、この言葉が出てくるあたりにケストナー氏のユーモアを感じずにはいられません。

この物語、私が始めて読んだのは小学校の低学年の時でした。父が持っていた児童文学全集のドイツ篇に収められていたのですが、このお話をいつでも読んでいたせいかドイツ篇だけが私の部屋に保管されていました。子どもの頃は、友達に囲まれて生活しているマルチンやヨーニーがうらやましく感じたものです。季節に関わらず、ふと読みたくなるお話です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・私はこの本で読書の楽しさ、素晴らしさを学びました。この頃なかなか本を読む時間が取れずにいたのですが、クリスマスを利用して本書を手に取り、やっぱり読書って楽しい!と思った次第です。

・全ての登場人物に愛着を感じます。こんな風に生きていこう!というお手本がたくさん詰められた一冊です。


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2010

11/25

Thu.

10:04:01

空ばかり見ていた 

Category【児童文学


空ばかり見ていた (文春文庫)空ばかり見ていた (文春文庫)
(2009/01/09)
吉田 篤弘

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書き出しをご紹介します。

 その名にふさわしく、ホクトさんは七つの腕を持っていたのだと思う。あるいは七つの鋏と言うべきか。もちろん、本当に鋏が七つ用意されていたわけではなく、たぶん愛用の一本を何度も研ぎなおして使っていたのだろう。
 おでこのあたり、耳元、襟足、頭頂部、側面、全体を整えるとき、それから宙で一瞬止まるとき― それぞれの場面での音やら静けさと共に、鋏はそのときそのときの表情を持っていた。それは金属が反射して輝くというよりも、mくしろ、微熱を帯びて自ら発光しているように見えた。
「ここが、つむじ」
 ホクトさんは、私の頭のてっぺんを人差し指でおさえ、「君のすべての中心」と、子供には難しいことを言った。



『それからはスープのことばかり考えて暮らした』があまりにも楽しかったので、同じ著者の作品を購入しました。

この本は風来坊のように自由に旅をしながら床屋として髪を切るホクトさんの物語です。彼に関連ある短編がいくつか繋がっています。ホクトさんはもとはフランスでパントマイムの勉強をしたり、天井画を書いたりしていたのですが、床屋1代目父親が亡くなり日本へ戻ってきます。そしてそっくりそのまま床屋2代目として店を継ぐのですが、何年かたって少年が街へ戻ってみるとホクトさんの床屋はおやすみになっていた。

おやすみの間、床屋のホクトさんは旅にでる。それぞれのお話が、この本のモチーフとなっているマアトというお菓子のようにふんわりした印象があります。マアトはとてももろい天使の羽のようなお菓子なんだそうです。一見ウェハースのようで、口に運ぶとすぐに溶けてしまうような繊細さ。この小説も琴線に触れるとさっと消えてしまいそうなエピソードがたくさんあります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・やっぱり好きです、吉田篤弘さんの小説。他にも読んでみたいなぁ。

・北欧だったりパリだったりを連想させるんですが、それは街の賑やかな姿ではなくて、ひっそりと佇む石畳に囲まれた街角といった感じ。いいなぁ、こういうの!


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2010

07/29

Thu.

09:11:38

バーティミアス 3 プトレマイオスの門 

Category【児童文学


バーティミアス 3 プトレマイオスの門バーティミアス 3 プトレマイオスの門
(2005/12/08)
ジョナサン・ストラウド

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書き出しをご紹介します。

妖霊独白

 おれは、ソロモンをはじめとするそうそうたる主人たちに仕えてきた。だが、人間ってのはつくづくわからない。
 はるか昔、エジプトでおれを召還した、やせっぽちの小僧も変わったやつだった。魔術師はふつう、おれたち妖霊をこき使うことしか考えない。(わかってるだろうが、おれは悪魔って呼ばれるのがきらいだ。)ところが小僧は好奇心旺盛で、おれたちが暮らす異世界のことをあれこれ知りたがり、本まで書いた。変なやつだったが、なつかしいぜ。
 ずっと憎んできた魔術師を命がけで助けた娘もいた。<ゴーレム事件>のときだ。あんときは心底たまげたね。一般人で魔術も使えないくせに、死に掛けた魔術師を助けたんだから。(おれなんか、すきあらば主人をやりこめようと虎視眈々とねらってるっていうのによ。)たしか、キティといったな。おれをこれっぽっちもこわがらない、生意気な小娘だった。いまごろ、どこでどうしているやら……。
 わからないといえば、情報大臣にまでなったあの小僧がいちばんわからない。ジョン・マンドレイクっていやあ、今や若い女どもに大人気らしい。



バーティミアスシリーズは3巻で完結の作品です。この間1冊目をご紹介したばかり。

・バーティミアス-サマルカンドの秘宝

今、こうして書き出し部をタイプすると、<ゴーレム事件>ってなに?っていう気持ちになりますが、実は読み終えてさえ、私はこれが3部作の最終部だということに気がつきませんでした。この黄色い表紙のが2冊目で、なぜか空色の表紙が3作目だと思っていたのです!続きを読もうと青い表紙を手に取り、読み始めてすぐ「あれ、なんか違う」とやっと気がついた次第。情けないです、まったく!

ということもありまして、終わり方に「あれ?もう終わり?」という気になってしまいました。このシリーズ、それぞれ連動してはいるけれども、どこから読んでも大丈夫ということですね。

内容は、ナサニエルが大きくなって、情報大臣になっています。やっぱり政府に反抗する魔術師はたくさんいて、今回も総理の座が危うくなっている。魔術師が悪魔に本名を知られてしまうと、魔術を跳ね返すキッカケを与えてしまうことになります。ナサニエルは幼少時にうっかり召還したバーティミアスに本名を知られていたことから、反逆されないようにとバーティミアスの召還時間を長引かせていました。

悪魔たちは、地球にいると自分の身体の成分が弱くなっていってしまう。定期的に自分たちの世界へ帰らなくてはならないのです。もちろんバーティミアスも弱り果て、失敗を連発してしまいます。

バーティミアスはよく昔の主人であったエジプトの青年に化けるのですが、そのことに疑問を抱いた人間がいました。それがキティ。今回キティは大活躍です。1冊目では政府に反抗するものとしてちらっと登場したにすぎませんが、きっと2冊目あたりでは大活躍なんでしょう。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・1冊目はページの多さ(600ページくらい)や本の重さだけでなく、内容自体にもなかなか入りこめずで読むのに随分時間がかかってしまいました。期待していただけに、「なんか違うなぁ」と思ってからの読書スピードはとんでもなく遅くなったようです。

・ところがこの本は割とサクサク読めました。最初の200頁くらいは相変わらずダレ読みでしたが、後半部は面白かった。2作目、読むべきかどうか迷ってます。



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2010

07/19

Mon.

09:28:05

バーティミアス-サマルカンドの秘宝 

Category【児童文学


バーティミアス-サマルカンドの秘宝バーティミアス-サマルカンドの秘宝
(2003/12/13)
ジョナサン・ストラウド

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書き出しをご紹介します。

 妖霊召還

 部屋の空気がすーっと冷たくなった。カーテンが凍りつき、天井の照明に厚い氷の膜がはり、白熱していた電球も輝きを失った。あたり一面に芯を切ったロウソクが浮かびあがって、毒キノコの大群のように見える。暗くなった部屋には、むせかえるような硫黄の煙がたちこめ、ぼんやりとした黒い影が身もだえしてあばれだした。遠くで無数の叫び声が聞こえる。と、とつぜん、階段に通じるドアに大きな力がかかった。ドア板が内側にたわみ、きしんだ音をたてる。目に見えないなにかが近づいてくる足音。ぶつぶつ文句をいう声も、ベッドのうしろや机の下のほうから聞こえてくる。
 硫黄の煙が帯の形をとりはじめた。そこから巻きひげのような細い煙が何本も出たかと思うと、舌のように空気をひとなめしてひっこんだ。煙の帯は<五線星の魔法円>の上をただよい、噴火した火山の煙のように、天井に向かってのぼっていく。そして、その動きがとまった瞬間、煙の真ん中からギョロッとした黄色いふたつの目があらわれた……。



とにかく分厚い本。600ページもあるので重いです。

イギリスの児童文学には魔法や妖精がつきものですが、今回は悪魔のお話。語り手はバーティミアスという悪魔です。魔術師は、実は自分で魔法を操っているのではありません。悪魔に指示をし、悪魔を使って何か事を起こしている。実は悪魔は人間に使われているわけですね。

バーティミアスは、経験豊かで実力もある格上の悪魔。そして自分が悪魔と呼ばれることを嫌う誇り高い使われ手です。ある日、おなかがむずむずして召還されたと思ったら、少年が立つ部屋へ呼ばれました。悪魔を呼ぶには、それはそれは多くの事を学ばなければならない。正確にペンタクルを描いて、香やロウソクなどの備品も必要です。青白い顔をしたその男の子は、たった一人でバーティミアスを呼び出したようでした。

魔術師は、才能のある子を引き取って弟子として育てていくシステムです。立派な魔術師として登録されるまでは、名前を与えられることはありません。今まで使われていた名前で呼ばれることは無論、魔術師名が与えられるまでは一切名無しで過ごします。その理由は、悪魔に名前を知られてしまうことは大きな弱点となるからです。ところが少年はひょんなことから、バーティミアスに本名を知られてしまいます。ナサニエル。それが少年の名前でした。

やせっぽっちの男の子ナサニエルは大胆な命令をバーティミアスに与えるのですが、本人もそれがどんな意味を持つものかを知らずのことでした。そこから事件はどんどんと大きくなってしまい、犯罪へとたどり着いてしまう。力は弱いけど頭の良いナサニエルと老齢バーティミアスのコンビは魔術師の世界へ突入していきます。

ハリーポッターとは違う魔法の世界をご希望の方、この本をどうぞ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・帯にもありますが、本書はイギリス本国でハリーポッターを抜いて第一位になったんだそうです。アメリカでは映画化も決まり、世界21カ国で翻訳出版されているんだとか。この前評判から、是非読みたい!と思っていた作品でした。

・読み始めて、ハリーポッターの場合はすぐにやめられない、とまらない状態になったんですが、この本はなぜか進まない。600ページもある大きな本なので、持ち歩くわけにもいかないし、ソファで寝転んで読むにも適さない。結局1週間くらいかかって読み上げました。

・全部で3巻出ていますが、第1巻を読んだ段階では、私はハリーポッターに軍配が上がるかな。翻訳の影響もあるかもしれませんが、この本の動きに大きな展開がない事に原因があるかなーと思っています。とりあえず3冊揃えましたので、ゆっくり読んでいくとしよう。


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2010

03/18

Thu.

22:41:40

海底二万海里 

Category【児童文学

海底二万海里〈上〉 (福音館文庫)海底二万海里〈上〉 (福音館文庫)
(2005/05/01)
ジュール ベルヌ

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海底二万海里〈下〉 (福音館文庫)海底二万海里〈下〉 (福音館文庫)
(2005/05/01)
ジュール ベルヌ

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書き出しをご紹介します。

消え去る暗礁

 一八六六年は、ある奇怪な事件のおこった年だった。なんとも説明しようがなく、ついに解き明かされなかった出来事だったので、だれでもおぼえているにちがいない。さまざまのうわさがとんでは、港々に住む人たちをさわがせ、大陸内部の人たちまでもひどく興奮したのであったが、とくにおどろきの大きかったのは、海に関係している人だちであった。ヨーロッパやアメリカの貿易業者たち、船主、大小さまざまの船の船長、あらゆる国の海軍士官、それに、これら両大陸の各国政府は、この事件をひじょうに重大視したのであった。
 じつは、しばらく前から、いくつかの船が海上で《なにかばかでかい物》に出会っていたのだ。それは、長い紡錘形の物質で、ときおり燐光を発し、クジラよりもはるかに大きく、またずっと速かったのである。
 この怪物があらわれたことについては、多くの船の航海日誌に書きとめられているが、それらによると、問題の物、あるいは生き物かもしれないが、その構造や、きいたこともないような速力、おどろくべき移動力、生まれつきもっているらしい特殊な生命力などの点で、かなり正確にいっちしているのであった。



福音館文庫の版で、上下2巻にわかれています。上の書き出しからもわかると思いますが、小学校上級以上レベルですので漢字も多く、大人でも読みやすいです。

たしか森見登美彦さんの『四畳半神話大系』にもこの作品が出て来たと記憶しています。主人公がこの本を先輩に貸すのですが、なかなか返って来ない。その先輩は地図を見比べながら感動に涙してこの本を読んでいたというような筋だったと思います。

さて、これはフランスのSF小説で、19世紀の作品です。まだ海でヨーロッパとアメリカ大陸を行き来していた時代の話です。海に巨大なクジラのようなものが出て、次々と船が海難事故で海の藻屑となっていきます。フランス人でパリ博物館教授のアロナックス氏は、従者でフランドル人のコンセーユを連れてアメリカに滞在しています。海洋学に関する書籍を出していたアナロックす教授は、新聞からこのところ表れている海の事件について意見を求められ、怪物の存在について触れた記事を掲載しました。すると、それを読んだアメリカのエイブラハム・リンカーン号の艦長より遠征参加の誘いを受けました。

さっそく乗船した二人は、カナダ人でくじら取りの名人であるネッド・ランドに出会います。ケベック人のネッドはフランス語ができたので、3人はすぐに親しくなります。ある日ネッドが海に怪物の姿を発見。発見した場所は日本に程近い太平洋上でした。早速捕獲に取り掛かりますが、なかなか上手く捕まりません。それどころか船が打撃を受け、教授とコンセーユは海へ投げ出されてしまいます。小船に拾ってもらえるようにと泳ぎ進めた二人は、どうにかネッドに助けられます。ところがネッドがいた場所は小船の上ではなく、何か硬い物の上でした。ここから3人の2万海里の旅が始まります。

今から150年も前の話ですが、すでに海洋汚染や絶滅の危機にある動物を保護する話が出てきます。結局私たちの持つ技術は150年前よりも格段に進みましたが、その技術で汚染を食い止めるまでには至っていません。どうにかしなくてはと思いつつも、氷河は溶け続け、海の水は増えています。150年も前にすでに忠告をされていたにもかかわらず、しかも児童文学という形で子供の心にも海を守る意識を植え付けているにもかかわらず、です。海の美しさや多種の自然の話を読むたびに、これ以上環境汚染を進めてはならないという気持ちが高まります。

またアジアの地域では日本が最も多く登場するのが印象深いです。そういえば魚クンという人がいましたね?彼のように魚に詳しい人が読めば、もう楽しくてしょうがない小説だと思います。(そして翻訳者泣かせの一冊でもあるなーと思います。)とにかく海の生物に関する専門用語が多い上に、地理学に関する用語や地名も沢山出てきます。語り手がアロナックス教授ですので、どうしても難しい話が多く登場するのですが、それでも読んでいるうちにどんどん知識がついて、一緒に旅を続けているような気持ちになるのが不思議です。

夏休みに海辺でゆっくり読みたい1冊。海を冒険するお話の中ではピカイチのおもしろさです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・専門家でもない著者が、どのようにこれほどまでの海洋知識を得たのか、とても不思議に思いました。従者のコンセーユは生物の分類を得意としています。「OO科XX目」まで細かく細かくチェックしている。この正確さが、現実とSFの世界を繋いで、リアルさを出しているんですね。

・私は全く泳げないのですが、この本を読んでいるうちにスキューバ・ダイビングにチャレンジしたくなりました。海の世界は宇宙に通じる神秘が隠れているような気がします。究極の自然を見てみたいです。


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2010

03/04

Thu.

21:09:10

ハリー・ポッター 

Category【児童文学

「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)「ハリー・ポッターと死の秘宝」 (上下巻セット) (ハリー・ポッターシリーズ第七巻)
(2008/07/23)
J. K. ローリング

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今更感もありますが、今年に入りハリー・ポッター全7巻を一気読みし始めました。現在は5巻までは携帯版というのがでておりまして、ハードカバーより若干お買い得です。

ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)
ハリー・ポッターと秘密の部屋 携帯版
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 携帯版
ハリー・ポッターと炎のゴブレット 携帯版
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 上下巻set(携帯版)

今見てみると、3月11日に6巻目の携帯版が出るようですね。

ハリー・ポッターと謎のプリンス 上下巻set(携帯版)ハリー・ポッターと謎のプリンス 上下巻set(携帯版)
(2010/03/11)
J・K・ローリング

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携帯版はただサイズが小さくて軽いだけです。押し絵や文章は全て同じと思います。特に上下巻に分かれる6巻目以降は携帯版の方がお得と思います。ただ、最後がどうなるか待ちきれないと思いますので、結局ハードカバーを買ってしまうんですけどね。

私は2002年にソウルに来る前、ちょうど3巻目までを読んでいました。その後、一度4巻目をハングルで読んだのですが、どうも雰囲気が出ない。それからずっと今まで読む機会に恵まれずにいたのですが、返ってそれが良かったかと思います。最初から最後まで一気に読み通したので、わくわく感を増大させながら7冊目まで到達した感じです。

ハリー・ポッターのお話を知らない人は居ないと思いますが、念のため簡単に説明しますと、ハリー・ポッターシリーズは魔法の世界のお話です。代々続く魔法使いの家に生まれたジェームスと、魔法を使える普通の人間リリーが結婚し、その間に生まれたのがハリー。ところがハリーの両親はハリーが1歳の時に魔法使いの悪者に殺されてしまいます。その時生き残ったのはハリー一人。敵はハリーを殺せなかった上に、自分も打撃を負ってしまいます。孤児となったハリーは母方の伯母のところに預けられるのですが、決して良い待遇は受けません。なぜなら、伯母も叔父も魔法なんてものは一切信じていないから。「魔法」と口に出すのも禁止でした。両親の死は事故によるものと知らされていたハリーですが、11歳になる年、ホグワーツ魔法学校から入学案内があり、自分が魔法使いだということを知らされます。

物語はいつも7月の夏休みのシーンから始まり、学期終わりで1巻が終わります。ハリーは夏休みはどうしても大嫌いな伯母の家に帰らなくてはなりません。いつも冷遇されていたハリーですので、誕生日もマル無視されます。そんな寂しい夏休みではありますが、9月のホグワーツの開校で楽しい魔法の世界が登場します。ふくろうが手紙を運んだり、空飛ぶ箒のスポーツがあったり、魔法学校の授業の内容もファンタジーそのもの。よくこんな内容を思いつくなぁ!と感心するばかりです。

5巻目以降は涙涙で読みました。ファンタジーのドキドキのほかに、人の心をぎゅっと掴んで話さない喜びや悲しみまでもが盛り込まれたファンタジーなんて、やはりハリー・ポッター作品以外に思いつきません。イギリス人が言う「The best fantasy in my life time」は、まさに!ですよね。

ほんとに今更ではありますが、倒れても倒れても必ず立ち上がるハリーの姿にモチベーションがあがったのは私だけではないはず。この作品が世界中で大ブレイクした理由、納得です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・イギリスの児童文学を読むたびに思うのですが、「死」が上手に取り上げられているなと感心してしまいます。ただ恐ろしいものではなく、なにか超越した世界にありつつも温かい印象が残ります。

・登場人物は11歳~18歳の少年・少女達です。先生方には100歳くらいのお爺さんもおりますが、子供の冒険が軸となっています。

・映画がまた素晴らしいですよね。そろそろ6巻目が上映されるのでしょうか。楽しみです。


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2010

01/29

Fri.

22:48:10

西風のくれた鍵 

Category【児童文学

西風のくれた鍵 (岩波少年文庫)西風のくれた鍵 (岩波少年文庫)
(2001/02)
アリソン アトリー

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書き出しをご紹介します。

ピクシーのスカーフ

 むかし、ひとりのおばあさんがいて、ダーティムアの荒野へ、コケモモの実を摘みに出かけました。おばあさんは片手にブリキのバケツを持ち、もうひとつの手にはかごをさげて、家にもどるまえに両ほうをいっぱいにするつもりでした。
 おばあさんのうしろからは、小さい男の子がついていきました。おばあさんの孫のディッキーです。ディッキーは、風の吹きわたるひろい荒野へ、いっしょにつれていってくれと、おばあさんにたのんだのでした。
 荒野につくと、おばあさんの目は、すいつけられたように地面の上にそそがれました。そこには何マイルにもわたって、しきつめたように低いみどりのコケモモのしげみが、ひろがっていたのでした。でも、ディッキーはといえば、あたりをキョロキョロ見まわしたり、飛びまわっている鳥や、空に浮かぶ白い雲や、ヒースや草のあいだからそびえ立つ、お城のように大きくて、とんがった黒い岩山などに見とれたりしていました。



イギリスの児童文学作家、アリソン・アトリーの作品です。アトリーについては、以前『時の旅人』をご紹介したときに、生家の写真を添付していますのでご覧下さい。

さて、なんとなーく元気がなくなってくると、私はなぜか無性に児童文学が読みたくなります。大体はイギリスの児童文学を手に取りますが、その理由がこの本を読んでわかった気がします。イギリスの19世紀の児童文学には、自然の美しさと不思議さがふんだんに盛り込まれています。その上、魔法使いだの妖精だのも登場し、なんとも魅力的なのです。読んでいるうちに、嫌で嫌でたまらなかった自分の身の回りのことがらが「なんてちっぽけな!」と思えるようになるから不思議です。

本題は『The spice woman's basket and other tales』で、そこから6つのお話が翻訳されています。イギリスのアマゾンを調べてみると、1944年以降に発行されたものはなく、残念ながら英書を入手するのは難しいかもしれません。

それにしても、アトリーのお話を読むたびに思う事がありました。「コケモモって、何?」アトリーの児童文学には植物、動物が数多く登場します。そして食べ物の表現が非常に豊かで、とてもおいしそうなのです。書き出しでご紹介している作品の中でも、おばあさんはコケモモを取りに荒野へ出かけます。

調べてみると、ありました。どうやらコケモモって酸っぱいみたいです。そしてモモといいながらも桃ほど大きくはないらしい。野生の低木なんだそうです。おばあさんはあとでジャムをつくりますが、やっぱりその酸味のせいか、ジャムやコンポートにするみたい。

ちなみにピクシーとは、イングランドのコーンウォールなど南西部諸州の民間伝承に登場する妖精のことで、体は小さく時にイタズラをするとして紹介されていることが多いです。とても魅力的な妖精です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ピクシーの話が2つ納められています。なんとも神秘的で楽しいお話です。

・翻訳書は、最後に掲載されている「西風のくれた鍵」がタイトルになっていますが、英国本書のタイトルはこの本にも納められている「幻のスパイス売り」になっています。


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2009

12/02

Wed.

11:10:19

氷の花たば 

Category【児童文学

氷の花たば (岩波少年文庫)氷の花たば (岩波少年文庫)
(2004/11)
アリソン アトリー

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書き出しをご紹介します。

メリー・ゴー・ラウンド

 チルターン丘陵地帯のずっと高いところに、ペンという名の小さい村があります。近くの丘々のブナ林が、ペン村をかこんでいるようすは、ちょうど一枚の絵が、緑と金色の額縁にはいっているように見えます。そして、村の緑地公園をまるくかこんで、古い家々がたっています。戸にシンチュウのドアたたきのついているのは、十八世紀にできた家、ドアたたきがまったくついていないのは、十七世紀の家です。十七世紀に建てられた、小さい家々をおとずれる人たちは、時分のにぎりこぶしてで、戸をたたかなければなりません。



アトリーは、『グレイ・ラビットのおはなし』 、『時の旅人』の作家としても知られているダービーシャー出身の児童文学作家です。

自然に恵まれた村で生まれ育ったアトリーは、自然や動物を題材とした溢れんばかりの四季を感じさせる作品が特徴と言えるでしょう。どの作品の中でも、花々の美しさや香りまでもが届きそうな気がします。

この作品は、子供のための短編集となっており、6つのお話が添えられています。タイトルが「氷の花たば」でもあるように、今回は冬のお話が中心となっています。

冬のイギリスは日照時間が少なく、話には聞いていたものの、実際に経験したときには本当になんとも神秘的な印象がありました。朝は9時近くまで暗く、やっと太陽が昇ったと思ったらそれも数時間のこと。雨など降って曇りになってしまえば、日中でも家の中で電気をつけていなくてはなりません。

初めて一人でイギリスに行った時、私は敢えて冬を選んで旅立ちました。イギリスのホテルは、どこに行っても蛍光灯で照らされている日本のホテルとは異なり、少し暗いんじゃあ・・・と思うくらいの落ち着いた明かりがありました。それが返って読書にピッタリだったように思います。特にアトリーの本は春が来る喜びや、冬の森で暮らす動物たちの様子など想像力を掻きたてるものばかりで、もっと長居して本を読んでいたい気持ちになったものです。

そのせいか、寒くなると児童文学が読みたくなってしまいます。
ぜひ、おススメ。

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・妖精というのは、やっぱり特別な力を感じさせますね。見た事もないし、到底信じられないけれども、心の中ではその存在を認めている。認めているというか、いて欲しいと思っている。これこそがイギリスの児童文学の魔法なんだと思います。

・「七面鳥とガチョウ」という作品でクリスマスの話が書かれています。そういえば、アトリーの書くクリスマス、読んだ事がないかもしれません。探してみなくちゃ。


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2009

11/20

Fri.

09:00:47

クローディアの秘密 

Category【児童文学

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))
(2000/06)
E.L.カニグズバーグ

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書き出しをご紹介します。

わたしの弁護士、サクソンバーグさま

 先日のご訪問は、あまりうれしいものではありませんでした。あなたは、べつのことにすっかり気をとられておいでで、わたしの申しあげようとすることに注意を払っておいででないのが、よくわかりました。あなたが法律と税金をお孫さんたちのことばかりでなく、もう少しこの世の中のことに興味をおもちだったら、とても魅力的なお方とおよびしたいところです。ほんとにもう一息。でもあのご訪問は、退くつそのものでしたよ。当分、あんなおもしろくないお話し合いをくりかえすほどのこともないと思いますので、この物語を運転手のシェルドンにもたせて、お宅へ届けさせましょう。これは、わたしの遺言状に少し変更したいところができたので、その理由を説明するために書いたものです。これを読んでくだされば、あなたにもその変更(ばかりでなく、ほかにもいろいろなこと)が、ご理解いただけると思います。あなたには複写のほうをお送りして、もとの原稿はわたしの書類棚にしまっておきます。



アメリカの児童文学です。『ジョコンダ夫人の肖像』を書いたカニグズバーグの作品。

長女のクローディアは、家出を計画します。理由は両親から不当に扱われると考えていたためでした。そこでしっかりものでお金持ちの弟ジェイミーを誘い、こっそりと家出の計画を進行させます。クローディアが選んだ行き先は、ニューヨークにあるメトロポリタン美術館。そこならば子供二人がうろうろしていても怪しまれないし、夜には寝る場所だって(展示されているベッドとか)あります。二人はどうにか美術館へ潜入するのですが、そこでみたミケランジェロ作と言われている天子の像に心を奪われ、その謎を解くために冒険を繰り広げるというお話です。

河合隼雄先生の『子どもの宇宙』で紹介されている作品。子供が大人に理解をされていないという不満が、10歳の子供に家出を決心させます。家出というのは、成長過程でつきものなのかもしれませんね。しかしクローディアの賢さというか、抜け目無さはむしろ関心してしまうものがあります。あまりに力強い上に知恵が回るので、今の子供たちが読んでも「真似してみよう」という気持ちにはなれないかもしれません。昔の子供は本当にしっかりしているなぁ。

最後の法で、勉強について語っている部分があります。
とても心に残ったのでここにメモ。

あんた方は勉強すべきよ、もちろん。日によってはうんと勉強しなくちゃいけないわね。でも、日によってはもう内側にはいっているものをたっぷりふくらませて、何にでも触れさせるという日もなくちゃいけないわ。そしてからだの中で感じるのよ。ときにはゆっくり時間をかけて、そうなるのを待ってやらないと、いろんな知識がむやみに積み重なって、からだの中でガタガタさわぎだすでしょうよ。そんな知識では、雑音をだすことはできても、それではほんとうにものを感ずることはできやしないのよ。中身はからっぽなの。」



jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・この頃Jackson5のCDばっかり聴いているせいでしょうか。子供たちの気持ちにずいぶん感情移入しながら読んでしまいました。私も弟が一人いるのですが、クローディアのように機転を利かせて行動できるかどうか。

・長女ってこうだよなーと思えるところに思わず笑ってしまいました。




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2009

11/13

Fri.

11:50:25

秘密の花園 

Category【児童文学

秘密の花園 (福音館文庫)秘密の花園 (福音館文庫)
(2003/06)
フランシス・ホジソン バーネット

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書き出しをご紹介します。

1 みんないなくなった

 メリー・レノックスが、おじさまに引き取られてミセルスウェイト屋敷に来てすむようになったとき、こんなみっともない子どもは見たことがない、とみんなはいいました。それはたしかに本当でした。ほおのこけた小さな顔、やせ細った小さな体、かさの少ないうす色の髪、気むずかしい顔つき。メリーの髪の色が黄色なら、その顔も黄色でした。それというのも、メリーはインドで生まれ、これまでいつも、どこかしらからだの具合が悪かったからです。



こちらが原書。
The Secret Garden (rpkg)The Secret Garden (rpkg)
(1998/04/30)
Frances Hodgson Burnett

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インド生まれのイギリス人であるメリーには、評判になるほど美しいお母様がいるのですが、お母様は子供と接する時間を持とうとしない人でした。そんなメリーにはお母様の思い出がありません。ただ遠くから「きれいな人」と眺めていただけ。メリーは何でも言うことを聞く召使達に囲まれ、わがままいっぱい育ちます。

そんなある日、メリーの家に悲劇が起こります。熱病が蔓延し、召使達は病気に侵され次々と倒れ、死んでしまいます。さらに熱病は召使のみならず、メリーの両親をも他界させました。そこでメリーはイギリスにいる親戚のところへ預けられることになります。行き先はヨークシャー地方の大きなお屋敷でした。お屋敷には気むずかしい伯父様の他、数名の働き手がいるのみです。

ある日メリーは召使の一人から、誰も立ち入ることのできない秘密の庭があることを聞き出します。以前は薔薇でいっぱいのそれは美しい庭だったそうです。この話を聞いたメリーが、庭を探し出して、どんどんと世界を切り開いていくというお話です。

枯れた庭がどんどんと息を吹き返していく様子や、ヨークシャー地方のヒースの様子を読んでいると、「行って見たい」と思うのではないでしょうか。私は学生時代に一度訪れたことがあるのですが、本を読みながらその時のことを思い出しました。(そこで頂いたお茶やマフィンは絶品でした。)私がイギリスの児童文学を好むのは、自然について語られているシーンの美しさやおいしそうな食べ物の話を読むのが好きだからかもしれません。想像するだけで幸せな気分になれる。

この頃、環境破壊について学ぼうと思っているのですが、こういう自然の美しさを伝える本を読めば、自ずと「自然を守らねば」という意識が生まれるんじゃないかな?と思っています。一人ひとりが取り組まねばならないことです。より便利で、お金が掛からず、手軽にできる環境保護は、まずは守ろうと思う精神を養うことではないでしょうか。もし「まずは心持ちを抱くことから」というのが正解であれば、私は多くの人にこの本をおススメしたいです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ディッコンが持ってくるミルクと大麦のパンがものすごくおいしそうなんです。そういえばイギリスのミルクっていろんな種類がありましたね。メリーがおいしそうに食べる食事のシーンは、私もおなかがすいてしまいました。

・児童文学は寒くなってから読むのがやっぱりいいですね。もう少し読みたいと思っています。



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2009

10/22

Thu.

09:23:09

ジョコンダ夫人の肖像 

Category【児童文学

ジョコンダ夫人の肖像ジョコンダ夫人の肖像
(1975/12)
E・L・カニグズバーグ

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書き出しをご紹介します。

 なぜだろう、と人々はいいます。なぜ、レオナルド・ダ・ヴィンチは、よりによって、フィレンツェの名もない商人の二度目の妻の肖像を描いたのだろう、それも、イタリアじゅうの諸公・公姫ばかりか、フランスの王までもが、レオナルドに肖像を描いてほしいとせがみつづけていたさいちゅうに?なぜ?いったいなぜだろう?
 その答えをこっそりぎっているのがサライです。


河合隼雄先生の『子どもの宇宙』で紹介されていた本。

上の本の表紙の絵が、レオナルドが描いたと言われているサライの肖像です。ではタイトルのジョコンダ夫人とは誰でしょう。彼女の名はマドンナ・リザ・ジョコンダ。そう、あのモナ=リザのモデルです。サライは実在した人物ですが、このお話はカニグズバーグの書いたフィクションで、歴史的証拠に基づいたものではありません。モナ=リザについては諸説が残されており、未だ解明されたものは何一つありません。しかしこの本には「きっとこれが本当に違いない」と思わせる、魅力に富んだ一冊でした。

現在、この絵画はフランスのルーブル美術館に収められています。非常に有名な絵ですので、その絵の前には人だかりです。今でこそ有名な絵となり人々の注目を集めておりますが、この絵を最初にみつけた人の感動は並の言葉では言い尽くせないものがあったはず。私たちは「有名な絵」「素晴らしい絵」という前持った知識をもって、絵に臨みます。しかし、こんな絵が突然目の前に現れたら・・・。

サライはとても貧乏な家の男の子。街で偶然レオナルドと出会い、レオナルドの弟子となります。当時のレオナルドはミラノでは知らない人がいないほどの著名人。宮殿に出入りし、数々の仕事に精を出していました。レオナルドの遣えている公には、気に入った女性がありました。ところがその人は別の人と結婚することとなり、公はその女性の妹を娶る約束をします。しかし、姉の美しさに比べ、妹は黒くて小さく美しくはありません。ところが彼女は芸術を愛でる目をもつ、心の豊かな女性でした。

レオナルドとサライも公の妻となった公姫ベアトリチェが大好きでした。レオナルドが来るわけですから、自然と公姫のいる場が社交場となります。次第に公も公姫の魅力に目覚め、遅い愛を育むのですが・・・。

著者のカニグズバーグはアメリカの児童文学作家です。
モナリザの絵がアメリカに来た時、実際に見に行ったそうですが、絵と対面できたのは「エレベーターのドアが閉まるときのように、一瞬だった」と語っています。

児童文学ではありますが、大人にとっても充分に楽しめる1冊です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・巻末資料として、サライやベアトリチェ公姫の肖像などが掲載されています。それがまた、お話にリアル感を与えています。

・人の持つ富や美だけが、人間の価値ではないということを教えられる1冊です。心や知恵が人を輝かせます。

頑張るぞ。おーっ。 実行すること

・P25に

「人って本を読むとすごくがんこになるものだね。ほんとうをいえば、本をたくさん読んで物識りになるってことは、他人の意見をうまいこと使って自分の意見をつくってるだけじゃないのかな。」彼は見上げてレオナルドの表情を読みながら続けた。「先生が本を読むのを教えてくれたらね、レオナルド先生、ぼくはあんまりたくさん読みすぎないようにするよ。」

というコメントがあります。レオナルドが学者たちに意見しないのを見たサライは、独学で学んだレオナルドを軽視し、実際の観察をもとにした意見より、本に書かれたことのみを重視する。それに異論を唱えるサライの言葉です。

この言葉、忘れないでおこうと思います。


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2009

10/20

Tue.

08:21:39

ホビットの冒険 

Category【児童文学


ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)
(2000/08)
J.R.R. トールキン



ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)
(2000/08)
J.R.R. トールキン



書き出しをご紹介します。

 地面の穴のなかに、ひとりのホビットが住んでいました。穴といってもミミズや地虫などがたくさんいる、どぶくさい、じめじめした、きたない穴ではありません。といって味もそっけもない砂の穴でおなく、すわりこんでもよし、ごはんも食べられるところです。なにしろ、ホビットの穴なのです。ということは気持ちのいい穴にきまっているのです。
 入り口のドアは、マンホールのふたのようにまんまるで、緑色にぬってあり、ドアのまんまんなかに、黄色いしんちゅうのぴかぴかした取手がついています。ドアをあけると、トンネルになった筒型の広間があります。トンネルといっても、煙のとおらないすてきなトンネルで、入口のその部屋は、かべには鏡板、床にはタイル、その上にじゅうたんをしいて、みがきのかかったいすをおき、かべに帽子や外套をかける金具がずらりとならべてあります。これは、ホビットというものがお客ずきだからです。



良く知られた児童文学ですので、ご存知の方も多いと思います。

ホビットとは小人族の一つで、心地よい穴に住んでいます。ホビット族のビルボ・バギンズ君は、ある日魔法使いと13人のドワーフ小人と共に、なぜか冒険へ出ることになります。目的は竜に奪われたドワーフ小人の宝を取り戻すためです。男の友情を感じる作品です。

この作品は、イギリス人で英語学や英文学の教授であったJ・R・R・トールキンによって書かれた作品です。トルーキンと言えば、『指輪物語』でも有名ですね。

トルーキンという苗字、あまり聞きなれなかったので調べたことがあります。たしかドイツ系の家系だったと記憶しています。トルーキン自身は南アフリカの生まれなんだそうですが、私はこの「ドイツ系」というのがとても嬉しかったのを覚えています。というのも、私はドイツの児童文学が大好きだったからです。子供の頃、「ドイツなら◎、イギリス・アイルランドなら○、ロシアなら△」のような、変なこだわりがありました。

ファンタジーさが非常に際立っているので、つい児童文学に分類してしまいました。今回は岩波少年文庫で読みましたが、原語をチラ読みした時、「これは児童文学じゃない!大人の本だ!」と思ったものです。恐らく、トルーキンが中世文学(チョーサーやベオウルフなど)の研究者であったということが、私には重く感じられたからだと思います。とにかく、原語もとてもおススメ。

さて、19-20世紀のイギリス児童文学と言えば、大学教授が書いた本がたくさんありますね。トルーキン、C.S.ルイス、ルイス・キャロルが有名です。最近、そんな作品を読み直しています。わくわく感を感じたい方、一緒に児童文学を堪能してみませんか?

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・下巻の書評が素晴らしいです。これはあきらかに、大人向け。イギリス文学に興味のある方、是非読んで見て下さい。

・翻訳がとても男らしいというか、冒険味のあるもので、ドキドキはらはらしながら読み進めることができました。こんな翻訳、できたらなぁ・・・

頑張るぞ。おーっ。 実行すること!

・洋書で読み直してみる


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2009

10/15

Thu.

10:02:06

グレイ・ラビットのおはなし 

Category【児童文学

グレイ・ラビットのおはなし (岩波少年文庫 (004))グレイ・ラビットのおはなし (岩波少年文庫 (004))
(2000/06)
アリソン・アトリー

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書き出しをご紹介します。

第一話 スキレルとヘアとグレイ・ラビット

 むかしむかし、森のはずれの小さい家に、野ウサギのヘアと、リスのスキレルと、小さい灰色ウサギのグレイ・ラビットが、すんでいました。
 ヘアは、ふだんの日は、青い上着をきていて、日曜日には、赤い上着をきる、うぬぼれやでした。
 スキレルは、ふだんの日は、茶色の服をきていて、日曜日には、黄色い服をきる、いばりやでした。
 でも、グレイ・ラビットは、いつでも、白いカラーとカフスのついた、灰色の服をきていて、ちっとも、いばりやではありませんでした。



久々の児童文学です。『時の旅人』で有名なイギリスのアリソン・アトリーの作品。

この作品では3人の主人公はどれも小動物。リスに野ウサギに灰色ウサギです。動物の暮らす森の様子が実に豊かに描かれています。一話では、一緒に暮らす3人がどんどん打ち解ける様子が書かれています。上の書き出しからもわかると思いますが、グレイ・ラビットはとても良い子。でもスキレルとヘアはとても傲慢です。しかし、グレイ・ラビットの心の優しさが二人にも伝わる様子は、非常に美しく書かれています。

私はイギリスの児童文学を好んでよく読みます。その理由は、イギリスの情景が想像できるから。そして、何といってもイギリスの背景を知ることができるから。私たち日本人は誰もが「桃太郎」のお話を知っています。ですから、「猿と雉をお供に」というコメントが突然出てきたとしても、「ああ、鬼退治ね」と難なく連想できるわけです。英語でもそれと同じ事を経験したことがあり、イギリス人の心の背景を作っている児童文学を少しづつ読むようにしています。とは言え、もともと児童文学は大好きですので、毎回楽しい読書です。

この本でも、イギリスの田舎の様子や自然の様子が学べます。自然が人の心にどんな影響を与えるのかにも気づくでしょう。リラックスにもなりますので、ご一読下さい。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ヘアとラビットの違い、ご存知ですか?イギリスの人はこれをはっきり区別しています。簡単に言うと、ヘアの方が大きく、ラビットが小さい。こんな勉強も楽しめます。

・アトリーの本を読むたびに、梨木香歩さんを思い出します。植物の名前が何度も出てきて、まるで香りがそこに広がるかのようです。風邪を引いたヘアのために作るプリムローズ酒、おいしそうですよ。



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2009

03/04

Wed.

21:12:35

床下の小人たち 

Category【児童文学

朝からお気に入りの本を読みました。

床下の小人たち (岩波少年文庫)床下の小人たち (岩波少年文庫)
(2000/09)
メアリー ノートン

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書き出しをご紹介します。

 メイおばさんは、ロンドンにあるケイトの父母の家に、二部屋をつかって住んでいました。たしか、親類にあたっていたのだと思います。寝室は二階で、今は、その家で《朝ごはんの間》とよばれていた部屋でした。いったい、朝ごはんの間というものは、朝、トーストやマーマレードのうえに陽のさしこんでいるときは、いいものですが、ひるすぎになると、もうなにか影がうすくなるようで、みょうにしらじらした光、こうした部屋につきものの、あわい光がみちてくるように思われるのです。そして、そのときには、部屋に、ある種のかなしさといったものがただようのですが、ケイトは、子ども心に、そのかなしさがすきでした。そこで、ちょうどお茶の時間になるころ、よくメイおばさんのところへそっとはいっていって、おばさんから、かぎ針の編みかたをおそわるのでした。



児童小説に欠かせないファンタージー要素のひとつに小人や妖精があります。
この小説は、男の子が休養のために出向いた田舎の屋敷で小人に出会うお話です。小人は「借り暮らし」と自らを名乗っていて、決して人間世界からものを取ってくるのではなく、借りていると云っています。人間の住む世界へ「借り物」に行くのは大変な作業です。ねずみや猫の敵から身を守るのはもちろんのこと、何よりも人に「見られる」ことに神経を使わなくてはなりません。一度「見られる」と、家族は引越を余儀なくされます。なぜなら、人間が「借り暮らし」を見つけると、ギャーっと叫んで捕まえようとするからです。

ところが、男の子は小人と仲良くなりました。彼は小人を守ろうという気持ちがありました。「借り暮らし」の方もそんな男の子を信じていたので、何度も人間の世界を行き来したのです。

でも、男の子の療養も終わりの日が来て、それ以来小人には会うことができなくなります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・想像力を高めてくれる良い本だと思います。現実的でテレビゲーム世代の最近の子供たちには、こういうファンタジー性が必要です。物事を肯定的に捉えるか、否定的に捉えるかは、こういう児童小説で養われるのではないでしょうか。困難を乗りこえることは、まず「乗り越えられる!どうにかなる!」という気持ちがあってこそ、実際に脱出できるのです。その感覚を養う為にも、児童文学を読んで欲しいと思います。

・その昔、「小人を見た!」「小人はいる!」と云っていた芸能人がいましたね。


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2009

02/23

Mon.

22:23:25

たのしいムーミン一家 

Category【児童文学

以前、フィンランドに留学なさった道産子(旭川のご出身です)高橋絵里香さんの『青い光が見えたから 16歳のフィンランド留学記』をご紹介しました。

過去記事参照 jumee☆arrow5R 2008.12.04 【本】サンタの国の教育事情を知りたいなら

高橋さんがフィンランドに留学したキッカケは、ムーミンでした。
ムーミン、ご存知ですよね?

 

「ムーミンとの出会い」という章で、高橋さんはこんな風に語っておられます。

 本を読むのは以前から好きだったが、とりわけ私は『たのしいムーミン一家』のとりこになってしまった。どうしてなのかすぐにはわからなかったが、どうやらその本は、それまで読んだ童話や絵本とは根本的に何かが違っているようだった。
 その独特の世界にはまず、他の本には見られないような「不気味さ」があった。子どもを守るために「危ないから」と言って、大人が隔離していしまいがちな「危険」や、わくわくするような「恐怖」がそのまま存在していて、どこか親近感の持てる性格のムーミントロールが仲間たちと織りなす数々の冒険のに、私は胸を躍らせた。
(P21より)



アニメでしかムーミンを見たことが無かった私は、ムーミンに不気味さなんてあったかな?としばし考えました。でも思いつくのは、「ミーの声が不気味といえば不気味だったかも。」とか、「バーバ・パパもムーミンも、なんか体形が似てる。ああいうキャラは人によっては不気味に見えるのかな?」と全く答えに結びつきそうにないことばかりが頭に浮かぶばかり。

だったら、実際読んでみよう!

たのしいムーミン一家 (講談社文庫 や 16-1)たのしいムーミン一家 (講談社文庫 や 16-1)
(1978/04)
トーベ・ヤンソン

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ありがたいことに、ムーミンシリーズは講談社文庫からも出版されています。1冊500円程度ですのでお買い得。

では、書き出しをご紹介しましょう。

 ある灰色にくもった日のことです。ムーミンたちの住む谷間に、その冬での初雪がふってきました。
 雪はしずかにつもって、みるみるうちに、なにもかも、まっ白にうずめてしまいました。
 ムーミントロールは、戸口に立って、谷間がまっ白い冬の毛布でおおわれていくのを、じっと見ていました。ムーミントロールは、心の中で思いました。
 「いよいよ今夜は、きっとぼくたち、長い冬のねむりにつくんだぞ」
 ムーミントロールたちは、だいたい十一月には、冬眠に入ります。冬の寒さと、暗い長い夜をすかない人たちには、これはうまいやりかたではないでしょうか。



読んでみて思ったこと。やっぱ、アニメと原作は違うわー。
違う点を少し揚げてみましょう。

・原作は冬眠に入るところからお話がスタートしますが、アニメはたしか冬眠から開けていたはず。
・ムーミンのガールフレンド、原作では「スノークのおじょうさん」と特定の名前はありません。アニメでは「ノンノン」ですね。
・アニメでは割と早い段階からミーが登場しますが、原作ではまだ登場してません。
・アニメではスニフとスナフキンはそれぞれの家がありますが、原作では一緒にムーミンの家で暮らしています。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・高橋さんの仰る「不気味さ」、なんとなくわかりました。なんとなく、の理由は、私が大人になってから読んだからです。これを子どものころに読んでいたら、もっと不気味に感じていたかも。飛行おになんて、ちょっと怖いかも。

・ムーミン、改めて読むと面白いですね。人情溢れたお話です。アニメの第1話でご確認ください。



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2009

02/15

Sun.

12:06:03

時の旅人  

Category【児童文学

梨木香歩さんの作品には、多くの植物が登場します。こういう作品、前にも読んだよなーとずっと思っていたのですが、それをやっと思い出しました。

この本です。

時の旅人 (岩波少年文庫)時の旅人 (岩波少年文庫)
(2000/11)
アリソン アトリー

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原書はこちら。

A Traveller in Time (Puffin Books)A Traveller in Time (Puffin Books)
(1977/05/26)
Alison Uttley

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この本にも、たくさんのハーブが登場します。日常生活の至るところに植物が活かされているのが印象的です。では、書き出しをご紹介しましょう。

 1 サッカーズ農場

 私― ペネロピー・タバナー・キャメロンが、少女の頃のできごとをおはなしします。その不思議な経験は、今でもどんなこまかいこともみな、とてもはっきりとおぼえています。森やなだらかな丘がどこまでも緑につづき、小さな川が日の光とたわむれながらハシバミの木立の下を流れていく、美しい田園の風景が目にうかびます。ブナの林で鳴いているヤマバトの、眠そうな、たいくつしているような鳴き声、屋敷の横の果樹園で読んでいるカッコウの、したしげな、やわらかい声もきこえます。苔におおわれた地面から湧き出る氷のようにつめたい水。かがみこんで、両手をコップにしてすすったその味は、今もくちびるに残っています。たっぷりと日光をあびたハーブガーデンのつんとするにおいや、雨のあとのスイカズラの甘い香りもしてきます。でも、それよりも強いのは、薪の煙と干し草の山と、そして、古いふるい時代とが、分かちようもなくまじりあってかもしだされた、古い屋敷の豊かながぐわしいにおいです。こういうにおいと音のすべては、織りあわされた光と闇、影と悲劇とともに、これからおはなしする物語の一部になっています。



作者、アリソン・アトリー(Alison Uttley)はイングランドのダービーシャーで生まれ、自然の中で育ちました。ダービーシャーはマンチェスターとシェフィールドの間で、ピーク・ディストリクトというイングランド最初の国立公園がある地域です。アトリーの生まれたクロムフォードは、そのピーク・ディストリクトの南の方に位置する自然に溢れたところだそうです。

アトリーの生家の写真を発見しました。



この家の写真、まさに『時の旅人』のサッカーズを連想させます。
病気療養のために姉のアリソン、兄のイアンに連れられサッカーズにやってきたペネロピー。サッカーズは母の伯母さんと伯父さんが住む農場で、そこは古い歴史のある荘園でした。姉兄は「空想」と言いますが、ペネロピーには不思議な力がありました。しかし母はペネロピーには、祖母と同じ不思議な力があるかもしれないと考えます。母の祖母も皆が見えないものが見えたり、聞こえたりしたのです。サッカーズに来たペネロピーは、次第に健康を取り戻しますが、それと同時に新しい世界に足を踏み入れます。これはペネロピーの時を越えた旅を記すファンタジーです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・サッカーズでは、日常に植物が欠かせません。ペネロピーの時代では、タンスの芳香剤や料理に活用されていますが、時を遡ると教会や殿様の部屋の床に撒いたり、治療に使ったりとハーブの役割は幅を広げています。ハーブが登場すると、その場面が今、どんな状態なのかがより伝わる気がしました。緊張感、安定感、愛情などが感じられる。香りは経験値を引き出します。今ではアロマテラピーがブームとなり、多くの方がラベンダーやゼラニウムの香りを知っているでしょう。実際に庭での香りを経験していなくても、ゼラニウムの香りからいろいろな経験を想像できるのではないでしょうか。梨木さんの作品にも共通することですが、植物が小説により深い色をつけてくれます。その存在だけではなく、香りや季節感が引き出されます。私も庭で花を育てて暮らしたくなりました。

・アトリーは、生涯100冊以上の書籍を残しています。中でもグレイ・ラビットとこの作品が有名です。『時の旅人』、是非映画化して欲しいなぁ。BBCさん、是非お願いします。

・梨木さんのファンなら、きっとこの作品も楽しめるはず。おススメです。

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2009

02/09

Mon.

14:35:45

長くつ下のピッピ 

Category【児童文学

手元にある児童文学本を再読しました。

長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014))長くつ下のピッピ (岩波少年文庫 (014))
(2000/06)
アストリッド・リンドグレーン

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北欧の代表的な児童文学ですね。
では、書き出しをご紹介します。

 スウェーデンの、小さい、小さい街の町はずれに、草ぼうぼうの古い庭がありました。その庭には、一けんの古い家があって、この家に、ピッピ・ナガクツシタという女の子がすんでいました。この子は年は九つで、たったひとりでくらしていました。ピッピには、おかあさんも、おとうさんもありませんでしたが、ほんとのところ、それでもぐあいのいいことでした。というのは、ほらね、ピッピがあそんでるさいつうに、「もう寝るんですよ。」なんていう人は、だれもいないのです。それから、「お菓子がたべたいな。」とおもっているときに、「肝油をのみなさい。」という人もいないのです。



ピッピは小さい頃にお母さんを亡くし、船乗りのお父さんと航海しながら暮らしていました。ところが、ある嵐の日、お父さんの姿が見えなくなりました。どうやら海に飛ばされてしまったようなのです。ピッピは一人、家に戻ります。その家の名前は「ごたごた荘」と云い、サルのニルソン氏と二人で暮らしていました。「ごたごた荘」の隣には、トミーとアンニカの兄妹が住んでおり、突然隣に現れたピッピと親しくなります。ピッピはとても変わった子で、トミーとアンニカはすぐに好きになります。その3人で毎日楽しく遊んだ出来事が記された本です。

jumee걲point1d この本を読んで jumee걲point1d

・上の書き出しにある「肝油」、ドイツの児童文学作品にもよく出てきます。幼稚園に通っていた頃、毎日園を出る時に肝油ドロップを食べさせられました。私、結構好きだったんですね。だから、読む本読む本「肝油を飲む」のが嫌なこととして書かれているのが不思議でした。ドロップ化に成功した河合さんに感謝です。

・このごろイギリスの児童文学作品を多く読んでいたので、リンドグレーンのピッピのキャラクターはとても奇抜に感じました。両親がいないのに、自分のスタイルを貫きながら生きる女の子。ヨーロッパの人は、その姿に妖精的な神秘さを感じるのでしょうか。

・サルのニルソン氏がたまらないかわいさです。

・家とは何かについて考えました。ピッピは一人で暮らしています。そこにはお父さんの思い出だったりがあるわけです。きっと北欧の人たちの考える「家」と、ソウルの人が考える「家」は違う気がします。それは機能としての家らしさの部分ではなく、見えない部分にある気がします。なんとなく感じたことは、家=個性かな?と思いました。

・なんでニルソン氏はサルなんでしょうね。小公女にもサルが出てくるけど、ヨーロッパの人にはサルはなにか神秘的な感覚があるのかも。

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2009

01/09

Fri.

17:53:03

砂の妖精 

Category【児童文学

私が小学生の頃から愛読している本の1つであるE・ネズビットの『砂の妖精』。今でも年に数回読みたくなる時があります。ところが、探しても探してもみつからない。私が読んでいたのは、講談社の青い鳥文庫シリーズ(訳:八木田 宜子さん)のものでしたが、現在では手に入らないようです。そこで、福音館のもの(訳:石井桃子さん)を購入しました。

砂の妖精 (福音館文庫)砂の妖精 (福音館文庫)
(2002/06/14)
イーディス ネズビットH R ミラー

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暗記するほど読んだ本でしたので、ストーリーは一緒でも、微妙な言葉遣いの違いが気になりました。でも、福音館版もやっぱり素晴らしいです。(あの石井桃子先生の訳なんですから。)講談社版が手元にないので、はっきりしたことは云えませんが、福音館版の方が語り手が前に出てきているような気がしなくもないです。あと、アンシアがパンサーと呼ばれていた話なんかが出ていなかった気がしますし、赤ちゃんが「ひつじちゃん」ではなく「ぼうや」になっています。あ、肝心なことを忘れてました。講談社版はサミアッドですが、福音館版はサミアドです。

この本は、シリル、アンシア、ロバート、ジェーン、そして赤ちゃんの5人が、ロンドンから遠く離れた田舎の一軒家に移り住んだところから始まります。赤ちゃんを除く4人は、近所の砂場でサミアッドに出会います。サミアッドは砂の妖精で、日に1つの願いを叶えてくれるのです。4人は毎日、あれこれと願いを叶えてもらい、冒険の日々を送るというお話です。

では、書き出しをご紹介します。

 その家は、駅から五キロもあったのです。それなのに、きたならしい貸馬車が走りだして、まだ五分とたたないうちから、子どもたちは、もう、馬車の窓から顔を突き出して、
 「その家、もうすぐ?」といいだしていました。
 そして、あたりの家といっても、ごくまばらにしかありませんでしたが、そういう家のそばを通りかかるたびに、子どもたちはそろって、
 「ああ、この家が、そう?」ときくのでした。
 ところが、どの家もそうではなくて、やっと丘の頂上につくと、チョーク堀り場(イギリスには土のなかに、白亜=チョークが、たくさんうずまっていて、それを掘りだしている場所があちこちにある)と砂利堀り場のあいだに、その家はあったのです。家は白くて、緑の庭があって、うしろには、果樹園がありました。その家の前まで来たとき、とうとうお母さんが、
 「さあ、ついたわ。」といいました。
 「なんて白い家だ!」と、ロバートがいいました。
 「あのバラをごらんなさいよ。」と、アンシアがいいました。
 「それから、プラム(西洋すもも)も!」と、ジェインがいいました。
 「うん、なかなかいいや。」と、シリルも賛成しました。



J・Kローリングさんがお読みになったかどうかはわかりませんが、ハリー・ポッターのファンタジー要素の原点のような作品だと私は思います。

jumee걲point1dこの本を読んでjumee걲point1d

・この本は私の妄想力の原点です。もし、自分の前に砂の妖精が現れたら!なんてことを考えるだけでワクワクしたものでした。また、田舎育ちの私には、自然の中こそ遊び場の宝庫だと思っていましたので、4人が遊ぶ姿をとてもリアルに想像することができました。想像力を養わせたいなら、ぜひこの本をご覧になって見てください。

・兄弟愛
兄弟姉妹の絆や愛情の深さは、今読んでも感動します。この本のおかげで、私は弟を守ろう!と思ったものでした。

ところで、講談社版には続編もあったのですが、今は本作も続編も絶版になってしまったようですね。とても残念です。そして、残念と云えば、福音館版の翻訳者で児童文学の権威でもあった石井桃子先生が2008年の春にお亡くなりになったことです。福音館版は、石井先生らしい上品な翻訳でした。今の言葉としてはちょっと古い印象がありますが、それでも作品には安定した落ち着きがあります。今思うと、私は石井先生の翻訳本にたいへんお世話になりました。たくさんのこどもを育てて下さったこと、感謝いたします。

こちらは原文です。

Five Children and It (Puffin Classics - the Essential Collection)Five Children and It (Puffin Classics - the Essential Collection)
(1996/12)
Edith Nesbit

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