06«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»08

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2009

07/31

Fri.

21:07:44

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 

Category【日本文学

雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)
(1991/07)
村上 春樹

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書き出しをご紹介します。

 まずはウラノポリから船に乗る。
 アトス半島に向かう巡礼の旅はそこから始まって、そこで終ることになる。そこから出て、そこに―もし戻る気があるとすればだが―戻ることになる。
 ウラノポリはアトス半島のつけねにある、海辺の小さなリゾート・タウンである。船は朝の七時四十五分にここの港を出る。一日それ一便だけである。だからなるべくなら前日のうちにここに着いてホテルに一泊して、ゆっくり朝ごはんを食べて、余裕を持って乗船するのが良策であるといえるかもしれない。その便に乗り遅れると翌朝まで二十四時間このウラノポリの町に釘づけにされるという、かなり申告な状況に直面することになるからだ(我々は実際に直面した)。



村上さんの旅行記です。
前半はギリシャのアトス半島を、後半はトルコの国境沿いを旅しています。書き出しは前半のアトス半島の部分です。

この本を読むまで、アトス半島がどこにあるのか、どんな所なのか、何があるのか全く知りませんでした。驚くことに、そこは女性禁制の土地なんだそうです。21世紀の今、そんなところがあるんですね。アトス半島はギリシャ正教の聖地だそうで、他教徒や外国人の場合は滞在時期にも制限があります。しかもそこにはビザンティン時代ど殆ど変わらずで、数十の修道院では質素な自給自足の生活を続けているとか。一行は修道院から修道院へと山中ずんずん歩きます。

ギリシャ編で気になったのは、修道院で必ず出される「ルクミ」というお菓子です。甘いゼリー菓子だそうですが、ハルヴァ(米原万里さんの『旅行者の朝食』に出てくるトルコのお菓子です)並みに気になりました。調べてみますと、やはりゼリー菓子のような姿ですが、上にたっぷりと粉砂糖が掛かっています。いかにも甘そうです。気になる方は、こちらをどうぞ。

・salahiさんの「ギリシャのごはん」ブログ
・harulaさんの「ATLANTIDA-ギリシャ便り-」ブログ
・みらさんの「アンモナイト -Ammonite-」ブログ

どうやらターキッシュ・ディライトという名前もあるようですよ。
また気になるお菓子が増えました。

トルコの旅は徒歩から車と移動手段が代わりますが、苦戦するのはどちらも同じ。イスタンブールから黒海側をひた走り、旧ソ連とイラン国境沿いを南下して、今度はシリアの国境沿いを走ります。書くのは簡単ですが、例え車でも数週間の移動距離です。これは大変だったに違いありません。

トルコと言えば、上にあげたハルヴァですが(ハルヴァは料理ではありません。デザートです。)、村上さんたちはあまりトルコ料理が口に合わなかったそうです。パンとチャイはおいしかったとありました。そういえば『深夜特急』の中で沢木耕太郎さんもチャイのお話を随分なさっておられましたね。アジアでは「茶」はどの国でも「cha」の発音だけれど、ヨーロッパに入ると「t」音になる。沢木さんは「cha」の国の方が肌に合った気がしたそうです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・旅行が趣味という方、たくさんいますよね。私も旅が大好きです。新しい感覚に出会い、知らず知らずのうちに学びを得られるのが旅だと思います。でも人それぞれ好みのスタイルがあり、ゴージャスなホテルでゆっくりするのが好きな人もいれば、テントを持って自然と交わるのが好きな人もいる。村上さんの今回の旅は、どちらかというと後者に近いかもしれません。冒険してみたい時に読むとより楽しめると思います。

・まだまだ知らない場所がたくさんあります。アトス半島は今でも女性禁制なのでしょうか。私が男性ならば、絶対に行って見たいです。




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2009

07/30

Thu.

09:34:13

きつねのはなし 

Category【日本文学

きつねのはなし (新潮文庫)きつねのはなし (新潮文庫)
(2009/06/27)
森見 登見彦

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書き出しをご紹介します。

 天城さんは鷺森神社の近くに住んでいた。
 長い坂の上にある古い屋敷で、裏手には常暗い竹林があり、葉のすれる音が絶えず聞こえていた。芳蓮堂の使いで始めて天城さんの屋敷を訪ねたのは初秋の風が強い日で、夕闇に沈み始めた竹林が生き物のように蠢いていたのを思い出す。薄暗い中に立つ竹が巨大な骨のように見えた。
 私はナツメさんに渡された風呂敷包みを脇に抱えて、冠木門をくぐった。前もって言われていた通り庭にまわり、沓脱ぎの前に立って声をかけると、座敷の隅の暗がりから天城さんが出てきた。群青色の着流し姿で、眠そうな顔をしていた。細長い顔には生気がなく、青い無精髭がうっすらと顎を覆っていた。



森見さんの作品を読むのは、これで4冊目。文庫化されたものから順に読んでいます。この作品は今までの3作とは一風変わった現代味のある作品で、大学生キャラも全く目だってきません。今のような蒸し暑い夏に読むには最適な一冊かと思います。

帯の「闇の中でケモノが笑った。」でお分かりの通り、ケモノが出てきます。タイトルに「きつね」ともありますし、なんとなく化け物的なおどろおどろしい雰囲気を想像しながら読み始めました。表紙デザインも今までの「若さ溢れてます!」みたいな気配も感じません。それがまた期待を高めます。

この作品は、関連する4つのお話が交互に絡み合いながら不思議さを増していく小説です。最後の4つ目にたどり着く頃には、森見さんの今までの作品との違いに驚かれることと思います。

ヒント。黒髪の乙女、今回は登場しません。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ものすごく誤解してました。森見さんの作品は『吾輩は猫である』のように、明るさの中にに人の心が織り成されたちょっとコミカルな小説と考えていました。でも、この作品を読みガツンと打たれたような気分に。共通しているのは「不思議」なことが多いこと。それをどうアレンジするかでコメディにもなれば、純文学にもなりうる。衝撃的な1冊でした。

・梨木香歩さんの『家守綺譚』をこよなく愛する私は、この作品にもそれと似た香りを感じました。京都の陰の面ってこういう部分なのかもしれません。

・色使いがはっきりと感じられ、返ってそれが生き生きとし過ぎていてドキドキしました。


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2009

07/29

Wed.

10:34:47

一流になる力 ビジネスで勝ち残るための教科書 

Category【自己啓発

一流になる力 ビジネスで勝ち残るための教科書 (講談社BIZ)一流になる力 ビジネスで勝ち残るための教科書 (講談社BIZ)
(2009/06/11)
小宮 一慶

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書き出しをご紹介します。

 今、世界は戦後最悪の経済危機にみまわれています。中でも日本は、人口の減少と少子高齢化の進行で国内市場が縮小しつつある上に、世界的にも工場製品の供給過剰が常態化しているため、きわめて困難な時代を迎えています。
 グローバリズムの流れの下、労賃の世界的な平準化も容赦なく進み、日本であろうと中国やインドであろうと、同じ仕事に対しては同じ賃金しか払われなくなってきました。
 その反面、供給過剰経済の下でも効率的に資本や設備を回転させられる人材には莫大な報酬が支払われるようになっています。優秀な人材を確保する必要から、トップクラスの年収は日本でもどんどん上昇してゆくでしょう。


小宮さんの作品が出るたび、読まずに居られなくなります。いつも期待以上の学びがあり、がっかりした経験がありません。時にどこかの怠惰な大学教授の万年講義ノートのように、前作やヒット作の加筆修正や、前作のパクリ的な後続作を送り続ける作家がいます。小宮さんは短期間に驚くほどの著作を世に送り出しておられますが、毎度必ずsomething newがあり気付きがありで、決してどこかの教授のような手抜き感を与えません。著者ご自身が進化されたことで得た知識を、1000円くらいのお金で読者は簡単に享受できる。なんてラッキーな私たち。



今回の本では、一流たるにはどのような精神を持つべきかが書かれています。私も激しく納得した部分が多々。一番付箋を貼りまくった項目は第2部の「正しい考え方を持つ」でした。

人はどうしたってお金がなくては生活できません。だから収入の額に右往左往しがちです。もし自分自身を何かに突出した一流の人間として生きていきたいならば、何においても正しい姿勢が必要であることを忘れてはなりませんね。正しい考えを持ち、正しく行動する。「正しい」がわからない方は、この本を読むべきだと思います。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・小宮さんの本には、イチロー選手がよく登場します。今の日本で「一流」の名に相応しく、誰もが簡単に納得できる人と言えばやはりイチロー選手を置いて他にはいないでしょう。プロなら誰でも一流になれるわけではなく、一流になる人はなるべくして一流になっていることが分かりました。

・一般的にごく普通のビジネスパーソンが一流を目指すのってとても難しいと思います。ハードル高いですよね。私もそう思います。かと言って、これからの時代は本物志向の時代ですから、人材に関しても一流が求められると考えるのは自然のことです。これからどんどんと一流の人が世に出てくるでしょう。然るべき準備もせずにのほほーんと暮らしているだけでは、上下の差は広がるばかり。何か一つでも得意分野に磨きをかけ、その能力を自ら手塩にかけて育てていく時代なんでしょうね。何もしないイコール現状維持ではなくてブレーキをかける行為と同意です。

・継続は力なり。わかっていても、年齢が挑戦力をゆがめてしまいます。私は今30代半ばですが、やっぱり「もう遅い」とか「きっとダメだ」と弱気になってしまうんですん。でもイチロー選手を見ていると、挑戦し続けること、生涯現役という気持ちこそが大切ということもわかるんです。あとは新しいことを始める時の恐怖感をどう緩和させるか。これが今の課題です。


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2009

07/28

Tue.

08:13:53

打ちのめされるようなすごい本 

Category【随筆・エッセイ

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
(2009/05/08)
米原 万里

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米原万里さんの書評集です。

書き出しをご紹介します。

新居の猫と待望の和露辞典

×月×日
 某テレビ番組の世紀末特別企画『ゴルバチョフ』に出演するため、五年ほど前に原書で飛ばし読みした工藤精一郎/鈴木康雄訳『ゴルバチョフ回想録』(新潮社 上下巻)にサラリと眼を通すつもりで頁を開いたら、結局、引きずり込まれてしまった。
 翻訳者の功績か、メリハリが利いていて読み進ませる弾み車の滑りがよくなっている。それでも二段組各八〇〇頁という重さと厚さ。口述筆記したタイピストは腱鞘炎になったんじゃないかしら。こちらは読んでるだけで腱鞘炎になりそうだ。日本の平均的サラリーマンの住居面積や、出勤時のラッシュアワーを知りながら刊行に踏み切った出版社の蛮勇は見上げたものである。



この本に納められているのは、米原さんが大切になさっていたという読書日記と、読売・文春に掲載された書評です。後半の書評は1995年から2005年までですが、前半部の読書日記は2001年頃からのようです。

読了後、「猛烈!」という言葉が頭に浮かびました。
読んでいる本の数も猛烈に多いですし、守備範囲も猛烈に広い。専門のロシア・東欧のものだけではなく、政治、経済、文学と好奇心の赴くまま突き進んでいきます。その好奇心が全く磨耗しないんですね。読めば読むほど、旺盛になっていくようにさえ感じました。

とにかく、余りに量が多いので驚かれることと思います。上の書き抜きでは800ページで読んでるほうも腱鞘炎になると仰っておられますが、この本だって570ページ!文庫にしては厚すぎる!私は表紙から開けて順に目次どおりに読みましたが、急いで読みたい方は巻末の書名索引や著者名索引から、お好きな部分を選んで読む方法もありますよ。

今まで米原さんの書いたエッセイをむさぼるように楽しんできましたが、あのエッセイの影には読者が打ちのめされるようなすごい読書量があったことを知りました。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・前半の読書日記を読み続けると、米原さんのガンの進行状況が所々出てきます。強い人という印象があっただけに、米原さんならガンをも克服すると思っておりましたが、突然の訃報を聞いた時は本当にショックでした。でも、やはり強い人だったんだと思います。辛さなんかおくびにも出さず、ガン治療の本を飄々と評価しておられるのです。そんな米原さんの生き方に打ちのめされました。

・一番印象に残ったのは、あとがきで丸谷才一さんも語っておられますが、あのスターリンが毎日500ページほどを読破する読書家であったという話です。500ページというと、この本を1日で読破するということですよね?これはすごい。私は1週間以上かかりました。

・やはり優れた文章を作るのは、優れた読書だということがわかりました。米原さんの文章は非常にカラフルで、生き生きとしていて、まさに「やめられない止まらない」文章です。ただ速く読めばいいのではなく、きっとするめを噛むかのように、本の内容もじっくりと五感をフル回転させながら読んでおられたように思います。だからこそ、その本とご自分の意見や思いが溶け合ったり、反発しあったりしたんでしょうね。とてつもなく能動的な読書だったんだと思います。これは見習いたい。


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2009

07/27

Mon.

11:22:33

ヨーロッパ退屈日記 

Category【旅行

ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
(2005/03)
伊丹 十三

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伊丹十三さんと聞いて真っ先に思い出したのは、映画『マルサの女』でした。平成生まれの方ならば、映画監督として記憶していらっしゃる方が多いのではないでしょうか。この本は、伊丹さんがヨーロッパで俳優業をなさっていた時の滞在期です。

書き出しをご紹介します。

■わたくしの職業

 イギリスふうお洒落、なんていう言葉を耳にしたことがあった、と思うのだが一体何をさしていったことなのだろう。今日、わたくしは、白いヘルメットにプリーツ・スカート、ハイ・ヒール、そして、これは一つ非常に洒落たつもりで、紫のストッキングをはいたというご婦人が、単車を乗り捨てて、教会に入っていくのを目撃したのだが、どうですか、この眼で見ても、わたくしなんか「まさか!」と呟いたくらいです。でも、イギリスでは、これはむしろ典型的な一例であり、従って人目も惹きませんでした。



滞在先は主にイギリスとスペインなのですが、時にフランスも訪れてらしたようです。
伊丹十三さんは1933年京都の生まれで、戦後間もなくの京都府立第一中学校で学ばれました。英語が得意だったようで、その時の経験が海外での俳優業へ行かされているようです。当時、そつなく英語をこなせる人も少なかったでしょうし、ましては映画に出演ですから本当に本当に特別な方だったのだと思います。後表紙に“上質のユーモアと、見識という名の背骨を通した文章は、戦後日本に始めて登場した本格的な「エッセイ」だった。”とあるように、私がこの本を手に取った理由も上質なエッセイとして絶賛されていたからです。

センスの良さは文章だけではありません。趣向というか物を選ぶ目は、今2009年の時点で読んでもそのまま雑誌に出てきそうな勢いです。1961年の当時、欧米のファッションブランドを語れる男性なんて他にいたんでしょうかね。「粋」とはまさに、こういう方のことを言うのでしょう。


jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・書き出しの当たりもそうですが、句読点が非常に多いです。むしろそれがポイントになっている。句読点に合わせて読んでいくと、自然にリズムが生まれます。スピード読書よりゆっくりと味わいながら読むタイプの本です。

・関川夏央さんの文庫版解説がおもしろい。ちょうどこの本が出た頃の関川さんは、まだ高校生でした。驚くようなヨーロッパの生活にいちいちリアクションしている関川青年の素直さが笑えます。あと、私は気がつかなかったのですが、表紙の下にある「この本を読んでニヤッと我あったら,あなたは本格派で,しかもちょと変なヒトです」の点(、)が、よーく見るとカンマ(,)になっているのにセンスを感じたそうです。そういえば、カタカナ使いなんかも当時はとても新鮮だったんでしょうね。

・粋であるとは、本物を見抜く眼があり、自分に活かす力があることなんだと思います。山口瞳氏は、この本を中高生に読んで欲しいといっておられますが、ブランド物に一喜一憂している大人も読むべし!ブランド物をあさる目的が変わってくると思いますよ。


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2009

07/24

Fri.

11:41:56

溶ける街 透ける路 

Category【随筆・エッセイ

溶ける街 透ける路溶ける街 透ける路
(2007/05)
多和田 葉子

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書き出しをご紹介します。

ブダペスト Budapest

 ブダペストに行くのは久しぶりだったが、こんなにも雰囲気がウィーンと似ていたかとあらためて驚いた。七〇年代八〇年代と、私は頭の中に東欧と西洋という壁を建てて、ヨーロッパを二分して見ていたが、ブダペストはモスクワではなく、ウィーンと似ているのだった。それが今になってより顕著に現れたのは、ブダペストがソ連の影響を感じさせる要素を神経質に取り除き、キリスト教の色濃いブルジョア文化を前面に出して街を修復したせいでもあるだろう。



多和田さんの本を読むのは、『犬婿入り』に続き2冊目です。私は須賀敦子さんの文章が大好きなのですが、mixiのコミュニティで須賀さんに続く美文として多和田さんの作品が挙げられていたことが、読書のキッカケとなりました。

この本は、ドイツ(ハンブルグに長く住んでおられましたが、今はベルリン在住だそうです)に暮らす多和田さんが旅された街の記録です。それぞれの土地での思いでが短いエッセイにまとめられています。主にヨーロッパが中心ですが、ヨルダン、アメリカのエッセイなどもあります。

須賀さんはイタリアはミラノで暮らされ、その土地での思いでを多くのエッセイに残されました。日本文学の伊語翻訳をなさり、日本へ帰国後も大学でイタリアに関る研究をなさっておられました。多和田さんも須賀さん同様、人生の長い時期をドイツで過ごしておいでです。もう30年近いのではないでしょうか。お二人の文章の共通点は、読者にその土地をもっと知りたくなるような欲求を植えつけるところにあると思います。単なる好奇心で「行って見たい」と旅行を促すようなものではなくて、もっと深いレベルで人や街を知りたいという気にさせられます。学問レベルの一歩手前というところでしょうか。私はイタリアもドイツも訪れた事がありませんが、読書中は今まで本やテレビで見た知識が総動員され、頭の中の一部分がまるでトリップしたような気になりました。

旅行本より、少し深い街のお話です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・私のソウル生活は、1度目の滞在は2年、今は2度目でそろそろ3年になろうとしています。合わせて5年もソウルに住んでいるというのに、なぜか街を隈なく探検したいとか、列車に乗って国内旅行に出てみたいと思ったことがありません。好奇心が磨耗しているんですね。特に2度目の滞在に入ってからは、家の近所、仕事場、本屋以外のエリアには行ったことないように思います。この作品を読み、どうすれば訪れた街々の息吹を生き生きと感じられるものだろうかと、最初から最後まで感嘆していました。それはやはり滞在国文化への積極的な参加意志と関連しているのでしょうか。ちょっと反省。

・ドイツはもっと固い印象がありましたが、以外とそうではないのかもしれません。北欧のエッセイも大変興味深かったです。外国が陸続きというのは、暮らす人の守備範囲を広げるのかもしれません。

 

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2009

07/23

Thu.

08:19:43

リサ・ランドール―異次元は存在する 

Category【サイエンス

リサ・ランドール―異次元は存在する (NHK未来への提言)リサ・ランドール―異次元は存在する (NHK未来への提言)
(2007/05)
リサ ランドール若田 光一

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書き出しをご紹介します。

5次元世界とは何か

「わたしたちの暮らす3次元世界は、人間の目には見えない5次元世界に組みこまれている」 --1999年、人類の世界観を覆す概念を発表し、一躍世界の注目を集めたのがリサ・ランドール博士である。博士は、アメリカ・ハーバード大学で数式を使って物理の法則を研究する理論物理学者だ。
 「5次元世界は3次元世界の縦、横、高さに時間、そして5番目の次元方向への距離で表される」ということを示す数式は、現在、世界の物理学者たちの論文に最も引用されている理論である。アメリカの雑誌「ニューズウィーク」も2006年のキーパーソンにランドール博士を選んだ。



本当は、同じくランドール博士の『ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く』を読もうと思ったのですが、まずは予備知識を入れておこうと本書から読んでみました。物理の知識がない私でも読めましたので、中・高校生なら簡単に理解できると思います。

2008年にスイスのCERNで大きな実験を行う予定でしたが、2009年の末に延期になったとのことです。もしかすると、私たちは月への宇宙飛行並みの一大イベントを、リアルタイムで知ることができる幸運な世代となるかもしれません。

この本の内容は、こちらのyoutubeをご覧頂くほうが早いと思います。



異次元への招待 パート2

異次元への招待 パート3

異次元への招待 パート4

異次元への招待 パート5

本書では、日本を代表する宇宙飛行士の若田光一さんがインタビューアーを勤めておられます。宇宙の最先端を知るお二人の会話は、新しい時代や変化の到来を感じさせるものでした。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・理系のお話は苦手でしたが、全く別の分野のお話を読むというのは非常に好奇心を掻き立てるものだと思いました。この分野のお話の序章として読むにはおススメの1冊です。写真も多く、専門用語の解説もあります。

・まだまだ解明されていない人類の不思議も5次元で説明できるようになるのかもしれません。この頃気になっている人の命や魂の謎も、5次元で解明されると良いのですが・・・。

・絵が多く、言葉も非常にわかりやすかったです。やっと大作に進めそう。




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2009

07/22

Wed.

11:22:52

現金は24日におろせ! 

Category【マネー

先週は大雨続きで各地で被害が相次いだのですが、日本の3連休で晴れ男・晴れ女さんが続々と韓国入りしてくれたようです。今週に入り、「あの雨は何だったんだ!」叫びたくなるような好天が続いています。

この頃ずっとCNNを見ていたのでソウルでも日食を体験できることを知らずにおりました。すると9時半くらいから部屋が暗くなり始め、「また一雨くるのかな?」と思っていたら日食が!早速外に出て肉眼で空を見てみましたが、影が掛かっているようには見えず。やっぱり専用メガネ?が必要でしたね。でも、暗さで日食を体験することができました。

現金は24日におろせ!現金は24日におろせ!
(2009/05/26)
小宮 一慶

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私は多くの著者さんを自分の「メンター」だと思っています。もちろん面識もありませんし、非常に一方的な話ですが、著作の中に生き生きとした教えが詰まっていると、無条件に感動して「ああ、この人はメンターだ!」と思うのです。小宮一慶さんもそんなお一人。

小宮さんのマネー本には、他にも『お金を知る技術 殖やす技術 「貯蓄から投資」にだまされるな』がありますが、読むたびに自分の甘い考えを軌道修正してくれます。

お金を知る技術 殖やす技術 「貯蓄から投資」にだまされるな (朝日新書)お金を知る技術 殖やす技術 「貯蓄から投資」にだまされるな (朝日新書)
(2008/08/08)
小宮 一慶

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今回読んだ本もマネー・リテラシーを身につけるにピッタリな1冊でした。
書き出しをご紹介します。

「お金」も「時間」も自分でコントロールする

 毎月25日。銀行のATMコーナーには、長い長い人の列ができます。
 理由は単純です。25日が給料日の会社がとても多いからです。
 みんな24日までに財布の中身が空っぽになってしまい、口座にお金が入ったのを待ちきれずに、銀行へと向かうわけです。
 特にお昼どきの混雑はすさまじいもの。都市部の支店などは、列の最後尾に並び始めてからATM機にたどり着くまで、20分、30分待たされることも普通です。
 
 実はこの本は、毎月25日にATMコーナーに並んでいるような人にこそ読んでほしいと思っています。
 25日に現金をおろしているようでは、「ちょっとあなたの人生、このままではまずいですよ」と申しあげたいからです。



お金をコントロールすることが目的の本です。
お金をコントロールする本には、お金持ちになる本に始まり、マネー・リテラシー本、節約術本、投資術本などがありますが、これはメンタル面を鍛えるマネー・リテラシー本です。何事においても、目標や終わりが見えていない限り、コントロールは不可能です。マラソン選手にゴールの情報を何も与えずに「とりあえず、走って」と言っても、ランナーは困惑するばかり。なぜなら自分の走りをコントロールできないからです。お金に関しても同じことが言えます。

日本は今や世界一の長寿国です。医療技術も発達し、今では人生100歳はなんら特別なことではなくなって来ています。100年の人生のうち、働ける時期は正味40年程度かと思います。人生の半分以下の労働時間で、倍以上の人生を養わなくてはならないのです。成人するまで親に育ててもらったことを思えば、両親の老後をみることも考える必要はあるはず。労働年齢の今、人生で必要なお金がどのくらいあり、自分が老後に差し掛かるころの社会がどうなっているのかを見据えた上での計画が必要です。

前マネー本にもありましたが、小宮さんのおススメする人生のキャッシュフローはそんな人生設計に非常に役立ちます。私も作りました。必ずしも計画通りとは限りませんから、定期的な修正が必要です。私は正月休みとお盆休みに見直すようにしています。この表の良さは、お金に限らず自分の人生の目標も合わせて軌道修正できることにあります。人にはそれぞれ夢や目標があると思います。それを漠然と心に抱えているだけでは何もおきません。流されるだけ。でも小宮さんのキャッシュフローを作ると、夢の実現に必要な費用を同時に計算でき、より正確な目標値を叩きだすことができます。これは本当におススメです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・小宮さんの本の良さは、海外でも実現できるところにあります。もしかすると海外在住者の存在も検討に入れて著作なさっているのでしょうか。他の著者さんの作品は、海外で使える面が少ないものが多いのですが、この本は日本国外でも使えます。

・お金が欲しいとお金を追いがちになってしまいますが、この本でも軌道修正を図られました。イチロー選手を見れば一目瞭然。お金は目標達成の成果に過ぎません。一生懸命に自分の目標を達成しようとした結果がお金である。これを知るだけでも毎日が変わりました。

目次、折り込みます。
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2009

07/21

Tue.

08:24:14

20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとヤバイですよ! 

Category【マネー

20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとヤバイですよ!20代、お金と仕事について今こそ真剣に考えないとヤバイですよ!
(2009/04/14)
野瀬 大樹野瀬 裕子

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書き出しをご紹介します。

はじめに

 私たちは、お金についてあまり考えることをしません。というか、考えたくないからこそ、私たちはお金と向き合うことを避けてしまいがちです。 世の中には、お金を稼ぐ方法も、出資を減らす方法もいくらでもあります。そんなこと、だれでも知っているはずなのです。
 しかしそれを、

 「なんだか難しそう……っていうか、面倒くさいし……」

 そんな理由で何もしていないのではないですか?
 知っているけどやってみようとしない。それは、知らないことと同じです。



※赤字部分は本文中強調されている部分です。

タイトルに「20代」とありますが、書かれたご夫婦は30代の会計士ですし、内容は「早めにお金について考える機会をもちましょうね」ということなので、30代でも40代でもヒントを見つけられると思います。ただ、年代というよりも独身者で結婚が射程距離にある方にとって、より貴重な情報が多いと思います。

著者はご夫婦の共著のようになっていますが、恐らく奥様はアイデアを提案し、ご主人が執筆したのでは?と思われます。お二人とも会計士です。帯の「1ヶ月の労働時間を72時間短縮、1年で貯金を100倍、生活費を1/2にした私の方法」とありますが、基本的に共働きの夫婦だからこそ出来ることでは?と思う点が多々ありました。72時間労働時間を減らせたのは奥様です。これは同業のご主人のサポートあってのことでしょう。また生活費を半減できたのも、稼ぎ手が2人いて、極力お金を使わない生活をすれば可能なことです。そうすれば貯金を増やすこと(100倍にするには投資が必要)もできるはず。

個人的には、結婚のくだりには共感できませんでした。まぁ、現実的に男女両者が相手の収入や可能性を重く吟味するのは、それぞれ個人の価値観によると思います。条件結婚が多く、その反動で離婚率が世界一の国で暮らしていると、「ああ、日本よ。お前もか・・・」と残念な気持ちが湧いてしまいました。

有益な知識としては、お金を使う度に「1回あたりの単価」を考えるのはよいアイデアだと思います。私も早速実践しています。例えば11万円のヴィトンのバッグ。ネットオークションで売ることを前提として買うとしましょう。オークションHPでは同じバッグが2万円で売られています。とすれば、自分も2万円程度で売ることができるでしょう。すると、

11万円-2万円=9万円

9万円が正味価格となります。それを例えば3年使うなら、

9万円÷3年=3万円/年

となり、毎日の出勤に使うなら

3万円÷260日(52週×月~金)=約115円

と、1日単位で見るならばそれが大きな投資とはなりません。むしろ安い!

ところで、最も一過性の高いものは「新婚旅行」なんだそうです。旅行は一度きりのもので、何度も再生できないことが理由です。これにも私は「うーん」と反論したい部分があります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・共働きの夫婦が増える中、働き手が増えることで1家庭の収入も増加しています。でも、それを使ってしまうばかりでは未来において安定を掴むことはできません。著者の場合、生活費での支出を抑え、そのお金で不動産投資を行い収入を増やしているそうです。

・上でも書きましたが、私は新婚旅行はムダだと思っていません。旅行もムダだと思っていません。ただ、身の丈に合った「旅」のスタイルを選ぶ必要はあると思います。私の両親は、夏休みには必ず旅行に連れて行ってくれました。北海道内を車で回る2泊3日程度の旅でしたが、今でもそれは私の心の中で大きな支えとなっていますし、決して一過性のものではありませんでした。
新婚旅行にしても、同じです。私たち夫婦には子どもがありませんが、それでも時には意見がすれ違ったり、なかなかうまく事が運ばないこともあります。そんな時、「初心に帰る」と言いますよね。私が「初心」として思い出すのは、新婚旅行のことです。新婚旅行だって決して一過性のものではないと思います。それに多くのビジネスマンは、この機会がなければ、1週間程度の旅行なんて難しいのではないでしょうか。

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2009

07/20

Mon.

09:36:49

四畳半神話大系 

Category【日本文学

四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)
(2008/03/25)
森見 登美彦

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書き出しをご紹介します。

 大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。異性との健全な交際、学問への精進、肉体の鍛錬など、社会的有為の人材となるための布石の数々をことごとくはずし、異性からの孤立、学問の放棄、肉体の衰弱化などの打たんでも良い布石を狙い澄まして打ちまくってきたのは、なにゆえであるか。
 責任者に問いただす必要がある。責任者はどこか。
 私とて誕生以来こんな有様だったわけではない。
 生後間もない頃の私は純粋無垢の権化であり、光源氏の赤子時代もかくやと思われる愛らしさ、邪念のかけらもないその笑顔は郷里の山野を愛の光で満たしたと言われる。それが今はどうであろう。鏡を眺めるたびに怒りに駆られる。なにゆえおまえはそんなことになってしまったのだ。これが現時点におけるおまえの総決算んだというのか。



『夜は短し歩けよ乙女』『太陽の塔』の順で森見さんの作品を読んで来ました。これが3冊目。

こちらも京都が舞台で、学生さんが主人公です。森見作品のおもしろさは、やっぱりこの一見特徴なさそうでいて、実は濃すぎるほどに濃い登場人物にあると思います。この作品でも期待を裏切らないようなキャラが満載でした。特に会話部分がおもしろい。ストーリー自体が想像を超越する不思議な空間ですので、出てくる会話やモノローグも独特です。しかし、本人(登場人物)は非常にまじめに読者に語ってくれてるのですが、そのまじめさが返って笑いを誘います。いや、これはおもしろい。

今回はちょっぴりSFを思わせるパラレル・ワールド的な仕掛けが新鮮です。あんまり書くとおもしろさが半減しますので、あとは読んでのお楽しみ!

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d 

・森見さんの作品を読むたびに、「なんて語彙力の多い人だろう!」と感嘆せざるを得ません。最初は文体と語調が明治を意識してるからかと思いましたが、それ以前の問題として違和感なく使いこなせる語が多いから、こんなに自然に文章を組めるんだと思いました。森見さんがどんな本を読んで来たのか、とても知りたい!

・森見本を読むたび、毎回「あ!京都の地図を忘れた!」と後悔します。土地勘のある方が読めばもっと楽しいはずです。きっとすごくすごく狭い世界の中で動いているんでしょうね。

・ぱっとページを開くと、漢字率の高さに驚かれることと思います。文字と文字のすきまがないと言いますか、白いところが少ないといいますか、その分私は内容も凝縮しているような期待感を持ってしまいます。簡単で読みやすくキャッチーな文章が増えているなか、森見さんのように見た目にも(漢字の多さという意味で)凝縮され、内容も凝縮された濃厚さを見せる作品は非常に貴重だと思います。ただ、森見さんの文章を真似たとしても、私のような一般人にはすぐに胡散臭さが目だってしまう。二番煎じにすらならなりません。独特なオリジナリティを持っているのが森見さんのお話なんだと実感しました。


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2009

07/17

Fri.

18:32:01

言葉を育てる―米原万里対談集 

Category【随筆・エッセイ

言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)
(2008/09/10)
米原 万里

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書き出しをご紹介します。

同じ寝室でベッドを並べて

<米原> 陽ちゃんとは、プラハ・ソビエト学校の同窓なのよね。今日は年表を作ってきたの。私の一家がプラハに滞在したのが、一九五九年十一月から六四年の十一月まで。小森家が滞在したのは、六一年の暮れから六六年の暮れまで。だから、三年ほど重なっている。

<小森> あの頃のチェコはソ連の衛星国で、ソ連の軍人や外務官僚、技術者がいっぱい駐留していて、その子弟のためにソ連政府がつくった学校だった。ソ連本国から派遣された教師がソ連の教科書を使ってロシア語で教えていた。チェコ社会のなかではかなり特殊な学校だったよね。

<米原> 私の両親は最初、そういう特権的な学校へ私と妹(井上ユリ氏=料理研究家)を通わせるのは教育上良くない、チェコの普通の学校へ行かせようと考えてた。だけど、帰国後、チェコ語を続けるには教師も教科書も入手困難だ、その点ロシア語ならば、ということであの学校に決めたみたい。



米原さんが亡くなられてから次々と作品が出てきています。
これは米原さん唯一の?対談集です。非常におもしろい。文章で読んでもかなりおもしろいのですが、音声があったらどんなに楽しいだろう!と思わせる内容です。上に出てくる陽ちゃんは、現東京大学教授の小森陽一先生です。実は私、小森先生は一方的に学会の席上で「お見かけした」ことがあります。しかも本当に少しだけお話したこともあるんです。飄々とお話なさる小森先生を陽ちゃんと呼んでしまう米原さん!ああ、強すぎますw タイトルですが、実は米原さんのご両親がご出張でお家を開ける際、米原さん姉妹は小森先生のおうちにあずけられていたことから「同じベッド」で眠っていたというわけでした。

他に対談なさっているのは、シモネッタでおなじみのイタリア語通訳田丸公美子さんや、養老孟司先生、糸井重里さんなどがおられます。巻末の解説には、同じくロシア語通訳の黒岩幸子さんが今や故人となった米原さんの思い出を語っておられます。これがまた涙ものでして・・・。

ロシア語と日本語を自在に扱える米原さんだからこそ、日本語を育てることの大切さを問えるのではないでしょうか。私も今や海外生活にどっぷり浸かる身となりほんの少しの現地語を話しますが、結局何が言いたいのかを伝えるには、日本語の基礎がしっかりしていないかぎり文章が組み立てられないんですね。言いたいことだけではありません。相手が何を伝えたいのかもぼんやりしてしまいます。幼い子どもに外国語を授けようと躍起になっているママさんらを見かけますが、母国語を育てずして言語力が育つとはいえないように思います。是非この本を読ませたい!

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・コミュニケーションにはいろいろな方法があります。筆談しかり、ジェスチャーしかり、会話しかり。多くの場合、文章を組み立てて相手に届くメッセージを刻む。メッセージを届けるには、共通のルール(文法ですね)に則って、言葉を紡がなくてはなりません。美しく編むには、美しい言葉を。ユニークな模様なら、楽しい言葉を。そうやって言葉を育てることで、随分と色の付いたメッセージを送ることができます。最近は直筆の手紙や電話での会話も減り、どんどんデジタル化されつつあります。この本を読み、改めて温もりの伝わる日本語を使いたいと思うようになりました。

・日頃使い慣れ、すっかり自分のものとなっている言葉が多ければ多いほど、表現のバリエーションが増加します。それには良質の知識をインプットすることが肝心です。何より読書はそんな知的好奇心を満たすに最適ですし、学習ツールとして申し分ないはず。使える言葉、自分の言葉を育てたいと思います。


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2009

07/16

Thu.

23:01:58

すべては一杯のコーヒーから 

Category【ビジネス・経済

すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)すべては一杯のコーヒーから (新潮文庫)
(2005/03)
松田 公太

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書き出しをご紹介します。

運命の出会い

 一九九五年十二月、私の人生は大きく動き始めた。きっかけは、友人の結婚式に出るため訪れたボストンだった。
 当時の私は、大学卒業後、三和銀行に入行して六年目。東京都内の支店に籍を置き、融資先となる企業を探してくる「新規外交」という仕事を担当していた。
 ボストンは私にとって懐かしい場所だ。水産会社に勤める父が転勤になった関係で、私は十歳から高校卒業まで、ボストン近郊のレキシントンという町で育った。その町にあるレキシントン高校のサッカー部で一年後輩に当たるのが、今回結婚することになったジェフ・ファリス。彼も大学を出た後、ボストンで私と同じ銀行員として働いていた。



今、とあるプロジェクトのお手伝いをしており、それに関連して読んだ本です。残念ながら韓国にはまだタリーズコーヒーは進出しておりませんが、今や日本では有名な米コーヒーチェーン店のうちの一つです。

私が始めてタリーズコーヒーを知ったのは、新聞記事でした。この本同様、いかに苦労してタリーズコーヒーの日本進出を実現させたかをまとめた記事だったと思います。それも松田さんご自身が書いた記事のように記憶していますが、その辺ちょっと自信ないです。シアトルでタリーズに出会った松田さんは、渾身の力を込めてタリーズを口説きます。ようやく夢叶い、日本進出が実現するのですが困難はひたすら続くわけです。今のタリーズのオシャレなイメージとは異なり、どちらかというとスポ魂もの?と思うような地道な努力の大切さが綴られた1冊です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・日本人が外資を輸入する際、何と言っても言葉の壁が非常に厚いのではないでしょうか。松田さんは海外勤務であったお父様について、幼少時代をセネガルで、その後1年日本で生活してすぐにボストンに移り、大学入学までの時期を過ごしておられます。ですから英語はお手の物のはず。英語が出来るからといって、外資企業を導入するのはそう簡単なことではありません。むしろ日本を離れていたからこそ、日本を知るための努力をなさったのではないかという印象を受けました。語学力よりも情熱と的確な判断と行動力が成功をもたらすのです!

・外国で流行ったものを何でも輸入すればよいのかと言うと、決してそうではありません。むしろ離れたところから見ているからこそ価値があるようなものもあります。その当たりを見極める目を持つこと、とても大切だと感じました。



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2009

07/14

Tue.

19:50:04

死ぬときに後悔すること25 

Category【哲学・心理

死ぬときに後悔すること25―1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた死ぬときに後悔すること25―1000人の死を見届けた終末期医療の専門家が書いた
(2009/05/25)
大津 秀一

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書き出しをご紹介します。

はじめに

 「先生は、後悔したことはありますか?」
 静かにベッドに横たわったあなたは問う。
 「後悔・・・・・・ですか?」
 「ええ」
 ともすれば眠ってしまいそうな、そんな強い眠気と闘いながら、あなたは“もろもろ”を振り払うかのように大きく頷いた。
 「後悔?」
 「そう、先生にはないでしょうか?」
 私は、肩からぶら下げた聴診器の先を左手でやわらかく握りしめた。ひんやりとした感覚が手から入り、脊髄を通って脳に達する。
 「もちろん、ありますよ」



この本を読もうと思ったキッカケは、月間『致知』を刊行している致知出版から出されていたことと、人生が幕を閉じる間際での後悔について知りたかったこと、そして土井英司さんのBBMで紹介されていたことからでした。

著者である大津秀一先生は、この本の他にも緩和医療や死生観について記されておられます。驚いたのは、大津先生はなんと1976年生まれのまだ30代だということ。私が勝手に想像していたことではありますが、死生観などを扱うお医者さんはきっと50代くらいのベテラン先生なんだろうなーと思ってました。今まで読んだ健康や医療にまつわる本の大半がベテラン先生によるものだったからかもしれません。でも断言したいのは、大津先生の年齢だからこそ見え、感じられた点も多いだろうということです。

この本には25の後悔が紹介されています。若い今だからこそ、まだコントロールが可能です。例えば7番目に「悪事に手を染めたこと」とあります。これなんかは若いからこそ陥ってしまうことでしょうし、これを何十年も心に溜め込む苦しさを「後悔」として受け止められたのも、30代の若さゆえではないでしょうか。ある程度御年を召した先生なら「後悔は誰にでもあることですよ」と一様の回答しかできないような気もしないでもないです。

25の後悔のうち、私なんかはすでに後悔を感じているものもあったりします。30代半ばでもう後悔しているんですから、10代20代の方が読めば、きっとこれから訪れるであろう多くの岐路での判断に役立つことでしょう。私が今身に染みて後悔していることは、心理編のほとんどと、17番の「会いたい人に会っておかなかったこと」です。

あと、社会・生活編では、これからしっかりと見据えておきたいと思う事柄が多々ありました。海外で生活していると、一般の死とは別の問題が付きまといます。簡単に言うと、外国で死ぬか、日本で死ぬかです。万が一海外で命を落とした場合、どこで葬儀をするか、どこで火葬するか(または土葬)、どこに埋葬するか、など日本にいれば考えなくてもよいような諸々も頭に入れておかなくてはなりません。

残りの人生を後悔しないため、「ああ、楽しかった!」と満足して旅立てるようにするため、この25個の前例は必ずや今後の支えになってくれると思います。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ドラマでは、臨終間際まで会話が可能だったりしますが、実際にはそのようなことは非常に稀だそうです。家族に伝えたいことがあるのなら、今のうちに伝えるべきなんだと強く感じました。特に夫婦の場合、もとは他人の関係です。「言わなくてもわかる」というご夫婦がおりますが、相手が自分の言いたいことを100%理解していると常に実感できますか?仮に通じ合っているとして、通じ合うから言葉少なな毎日で夫婦関係が良好であると言い切れますか?「言わなくてもわかる」は自分への甘えなんだと思います。良いことも悪いことも、伝える努力がなくては相手に理解を求めることはできません。死に際にありったけの「ありがとう」を伝えるためにも、夫婦や家族の絆のためにも、日々会話を大切にしようと思いました。

・後悔、先に立たずは本当です。私は恩師が他界したことをインターネットで知りました。海外在住という事情があったにせよ、随分経ってからのことでした。もっと話たいこともありましたし、立派にやってる姿もお見せしたかった。何よりも感謝の気持ちをお伝えしたかった。恩師の声を聞きたかった。それが叶わぬ今、やっぱりふと後悔を感じずにはいられません。ですから、会いたい人には今すぐ会うべきなんだと思います。なかなか日本に帰られない私には、非常に染みる言葉でした。



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2009

07/13

Mon.

10:11:20

椿山課長の七日間 

Category【日本文学

椿山課長の七日間 (朝日文庫)椿山課長の七日間 (朝日文庫)
(2005/09/15)
浅田 次郎

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書き出しをご紹介します。

 思い出せない。
 どうしても思い出せない-。
 純白の花を咲かせる沙羅の並木道を歩きながら、椿山和昭は懸命に考えた。
 ここはいったい、どこなのだ。自分はどこに向かって歩いているのだ。
 片側が三車線の広い道路は地平まで続くかと思われるほどまっすぐで、時おりのんびりとした速度で車が往き過ぎる。歩道の人影は疎らである。これもまた実にのんびりと、同じ歩様を保っている。
 ふと、自分までが同じ歩調になっていることに気付いて、椿山は街路樹の根元に立ち止まった。
 みずみずしい若葉を見上げて、沙羅の木はこんなに大きくなるのかと思った。そういえば自宅の玄関先に植えられた沙羅も、白い花をほころばせていた。



浅田次郎さんの作品を読むのは2度目なのですが、1冊目は完読しなかったのか、ちら読みしたのか(たしか『プリズンホテル』だったはず)あまり記憶に残っていません。と言うことで、熟読という意味では、これがはじめて。

上の書き出しに出てくる椿山課長は、まだ働き盛りのデパートマンです。デパート業界では学歴が大きく物を言い、高卒の椿山氏はいわゆる出世街道から外れた人。しかし課長とは言え、花形の女性服売り場を任されています。そんないつものように忙しく働く椿山課長に突然の死が襲い掛かりました。現世と来世の中間で、俗に冥土と呼ばれる中陰の世界に辿り付いた彼は、『スピリッツ・アライバル・センター』(略してSAC)で訴えます。「私は、どうしてもこのまま死ぬわけにはいかないんです。思い残すことが多すぎて」。SACで再審査を受けた椿山課長は、時間限定で「現世」に戻ることになります。

印象的だったのは、椿山課長のお父さんと息子さん。
そして、現世に戻っても売り上げを気にする椿山課長に「日本の話らしいなー」と笑ってしまいました。でもMJもロンドンライブのことが気になって、「戻らねば!」とか言ってるかもw

こちらでもずっと書き続けていますが、私は子どもの頃からMichael Jacksonが大好きで、6月25日(日本時間では26日です)の彼の他界に大きなショックを受けました。MJが今どうしているのかを思いながらこの本を読みました。偶然にも、椿山課長が戻らなくてはならない滞在期限が6月25日でした。死後の世界なんて誰にもわからないものですが、この本のユーモラスな表現に笑い、絆や愛の深さに涙している間にちょっと癒された気がします。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・30代を過ぎてから、人生について考えることが多くなりました。人生について考えるということは、いずれ訪れる終焉についても考えなくてはなりません。それも自分の人生だけではなく、自分が愛する人や大切に思う人にも間違いなく終焉は訪れる。そんな事を感じさせてくれる1冊でした。

・中陰の世界が本当にこんな風だったらなーと思います。MJなら講習をパスしてエスカレーターに直行できてるかもしれませんね。


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2009

07/10

Fri.

23:51:19

生物と無生物のあいだ 

Category【サイエンス

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
(2007/05/18)
福岡 伸一

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書き出しをご紹介します。

摩天楼が林立するマンハッタンは、ニューヨーク市のひとつの区(ボロー)であり、それ自体ひとつの島でもある。西をハドソンリバーが、東をイーストリバーが流れる。
 観光船サークルラインは、マンハッタンが、縦に細長い、しかし極度に稠密的な島であることを実感できる格好の乗り物だ。船は、ハドソンリバー岸を出発点とし南下、自由の女神像を眺望しつつ、かつて世界貿易センターが聳え立っていたマンハッタン南端を回って、イーストリバーに入りこれを北に遡行する。
 ウォール街のビル群、ニューヨークマラソンが通るブルックリンブリッジ、やがて現れるスタイリッシュな国連本部ビル。アールデコのクライスラービル。白い羊羹を削ぎ切りにしたようなシティコープビル。ひときわ高いエンパイアステートビル。次々と見せ場がやってくる。砂利やゴミの運搬船がすれ違う。



今月初めにBK1で購入したのですが、帯に50万部突破とあります。去年はいろいろな書評ブログでこの本を絶賛する記事を読みました。今度こそ、今度こそと思いながらも今まで手が出なかったのは、単に数学や理科が苦手だから。きっと読んでもわからないだろうと頭から決めかかっていたからです。他に読みたい本が山積みという理由もありますが、それでもこの本を手に取る気になったのはMichael Jackson他界のニュースに大きなショックを受けたからです。

毎日毎日CNNの追悼ニュースを見ながら、人の命とは、肉体とは、人間とは何だろうと考えていました。そこでこの本の帯にある「生命とは何か?」というコメントに強く惹かれ、購入に至ったわけです。

この本は、福岡先生がニューヨークとボストンの研究所で経験された分子生物学ワールドに関して書かれた本です。すでに多くのブログで内容紹介がなされていると思いますので、個人的な感想を少し記しておきたいと思います。

まず、私の通っていた高校は高1までが教養、高2からは専門分野の勉強をするという学校でした。私は英語科だったので、高1で一般的な「理系」のお勉強を終えてしまいました。それも数?や生物くらいしか授業がなかったという、今考えても不思議なシステム。ですので、分子生物学に関する知識もゼロ。物理も化学も中学校で学んだのみですから、正直に言うとおっかなびっくり読書を始めたわけです。

途中、たんぱく質やDNAの話では頭がアイコン名を入力してくださいで溢れてましたが、それでも最後まで読めたのは福岡先生の文章のおもしろさだと思います。内容は理系なのに、文章は文学スタイルというギャップが大きな魅力となっています。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・結局私のレベルではたった1度の読書で「生命とは何か?」を悟ることはできませんでした。少し置いてから、読み返したいと思います。

・たった一つ感じた事。それは時の流れが及ぼす影響です。決して逆戻りできないのが時間。生命と時間の関係を語ったところが、非常に印象に残りました。



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