06«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»08

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2010

07/30

Fri.

08:33:46

接触 

Category【海外文学


接触 (講談社文庫)接触 (講談社文庫)
(1997/12/12)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

 ダブリンの町はすっぽりと夜のとばりに包まれていた。寒い夜だ。部屋の外では風が吹きすさび、無数の笛がなっているようにきこえる。亡霊がとおりすぎていったかのように、突風にあおられた古い窓ガラスが、がたがたゆれる。私はもう一度枕のぐあいをなおし、よじれてしまったアイリッシュ・リネンのシーツの上に横になった。だが寝つけない。昼間見たものが頭にうかんだ。手足と首のない死体が目の前にちらつき、冷や汗をかいておきあがった。
 明かりをつけると、シェルボーン・ホテルの室内がうかびあがった。古い上質の木材や、真紅の格子縞があたたかな雰囲気をかもしだしている。ガウンをはおった。ろくに眠ることのできなかったベッドのそばの、電話に目をやる。もうすぐ二時だ。バージニア州リッチモンドではまだ夜の九時ごろだろう。市警の殺人課の責任者ピート・マリーノは、まだ起きているはずだ。たぶんテレビを見ながらたばこを吸い、何か体に悪いものを食べているところだろう。さもなければ、パトロールに出ているか。



検屍官シリーズ8冊目。本国では『Unnatural Exposure』というタイトルで1997年に出版されています。

なんと、検屍官ケイの恋人であったFBIのベントン、ついに離婚ですよ!この先このカップルはどーなっていくんでしょうねー。

今回ケイが担当したのは、胴体だけとなった殺人事件。アイルランドでも似たような事件があり、講演のついでにアイルランドのデータも調べています。ところが新たに今までの事件とは明らかに手口の違う遺体が見つかりました。似たような事件なんだけど、検屍官の目から見ると絶対に同一犯のものではない。以外な方向にストーリーは展開します。

今回は犯人がネットを駆使して、連絡を取ろうとしてきたりする。今までにはない流れです。というより、今思い返せば、ラップトップのコンピューターが一般に広がったのって95年過ぎでしたね。

姪のルーシーは相変わらずFBIで天才っぷりを発揮。相棒ともいえるリッチモンド市警のマリーノ警部も健在です。

【シリーズ記事】

・第一弾 検屍官
・第二弾 証拠死体
・第三弾 遺留品
・第四弾 真犯人
・第五弾 死体農場
・第六弾 私刑
・第七弾 死因

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・全く関係ないんですが、表紙の女性の写真がすごく怖い。ストーリーにぴったりな気がしました。

・時代背景がどんどんと現代に近づいてきてる感じ。1997年ごろを思い返すと、たしかにメールが急激に普及したころでしたね。



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2010

07/29

Thu.

09:11:38

バーティミアス 3 プトレマイオスの門 

Category【児童文学


バーティミアス 3 プトレマイオスの門バーティミアス 3 プトレマイオスの門
(2005/12/08)
ジョナサン・ストラウド

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書き出しをご紹介します。

妖霊独白

 おれは、ソロモンをはじめとするそうそうたる主人たちに仕えてきた。だが、人間ってのはつくづくわからない。
 はるか昔、エジプトでおれを召還した、やせっぽちの小僧も変わったやつだった。魔術師はふつう、おれたち妖霊をこき使うことしか考えない。(わかってるだろうが、おれは悪魔って呼ばれるのがきらいだ。)ところが小僧は好奇心旺盛で、おれたちが暮らす異世界のことをあれこれ知りたがり、本まで書いた。変なやつだったが、なつかしいぜ。
 ずっと憎んできた魔術師を命がけで助けた娘もいた。<ゴーレム事件>のときだ。あんときは心底たまげたね。一般人で魔術も使えないくせに、死に掛けた魔術師を助けたんだから。(おれなんか、すきあらば主人をやりこめようと虎視眈々とねらってるっていうのによ。)たしか、キティといったな。おれをこれっぽっちもこわがらない、生意気な小娘だった。いまごろ、どこでどうしているやら……。
 わからないといえば、情報大臣にまでなったあの小僧がいちばんわからない。ジョン・マンドレイクっていやあ、今や若い女どもに大人気らしい。



バーティミアスシリーズは3巻で完結の作品です。この間1冊目をご紹介したばかり。

・バーティミアス-サマルカンドの秘宝

今、こうして書き出し部をタイプすると、<ゴーレム事件>ってなに?っていう気持ちになりますが、実は読み終えてさえ、私はこれが3部作の最終部だということに気がつきませんでした。この黄色い表紙のが2冊目で、なぜか空色の表紙が3作目だと思っていたのです!続きを読もうと青い表紙を手に取り、読み始めてすぐ「あれ、なんか違う」とやっと気がついた次第。情けないです、まったく!

ということもありまして、終わり方に「あれ?もう終わり?」という気になってしまいました。このシリーズ、それぞれ連動してはいるけれども、どこから読んでも大丈夫ということですね。

内容は、ナサニエルが大きくなって、情報大臣になっています。やっぱり政府に反抗する魔術師はたくさんいて、今回も総理の座が危うくなっている。魔術師が悪魔に本名を知られてしまうと、魔術を跳ね返すキッカケを与えてしまうことになります。ナサニエルは幼少時にうっかり召還したバーティミアスに本名を知られていたことから、反逆されないようにとバーティミアスの召還時間を長引かせていました。

悪魔たちは、地球にいると自分の身体の成分が弱くなっていってしまう。定期的に自分たちの世界へ帰らなくてはならないのです。もちろんバーティミアスも弱り果て、失敗を連発してしまいます。

バーティミアスはよく昔の主人であったエジプトの青年に化けるのですが、そのことに疑問を抱いた人間がいました。それがキティ。今回キティは大活躍です。1冊目では政府に反抗するものとしてちらっと登場したにすぎませんが、きっと2冊目あたりでは大活躍なんでしょう。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・1冊目はページの多さ(600ページくらい)や本の重さだけでなく、内容自体にもなかなか入りこめずで読むのに随分時間がかかってしまいました。期待していただけに、「なんか違うなぁ」と思ってからの読書スピードはとんでもなく遅くなったようです。

・ところがこの本は割とサクサク読めました。最初の200頁くらいは相変わらずダレ読みでしたが、後半部は面白かった。2作目、読むべきかどうか迷ってます。



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2010

07/28

Wed.

09:52:11

モテ本!ハイパー 

Category【社会


モテ本!ハイパー ~いますぐ男の見る目が変わる150のテクニック~ (だいわ文庫)モテ本!ハイパー ~いますぐ男の見る目が変わる150のテクニック~ (だいわ文庫)
(2010/05/10)
恋愛マニア

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書き出しをご紹介します。

プロローグ よくばり恋愛のススメ

 いちばん好きな人い愛されるのと、モテモテになるの、どっちになりたい?

「そりゃ、やっぱり…いちばん好きな人に愛されたい」
 うん、あたしも同じです!でも、モテモテの人を見たら、うらやましくならない?
「まぁ…ちょっとは、ね」

 それなら、どっちかなんて言わずに、どっちも選んじゃおっ!
 だって、愛されると、モテモテ。どちらかだけなんて決まり、どこにもないのだから。



これ、買った覚えがないんです…。ジュンク堂のカバーがかかっているところをみると、きっと先月京都で購入したんだと思いますが、どうも思い出せない。一体いつの間に…。思うに5月に出た文庫ですから、新刊コーナーのところにあったものを何気なくカゴに入れたか、他の本と重なっていたことに気づかずに買ったか、その時は「これは読むべし!」と気合を入れて購入したも、時が流れてその時の勢いを忘れてしまったのか…。ぱーっと読めそうな本でしたので、とりあえず手にとってみようと思いました。

モテ本って、コミュニケーションや人脈を広げるのに役に立つ分野だと思っています。そういう目で読んでいると、たしかにプラスになる部分が沢山ありました。例えば、人に声をかける方法やタイミング。見た目に関しても、女性の場合は女性雑誌ではなくて男性雑誌を参考にすべき!(理由=男性雑誌に出ている女性モデルは、男性の目から見てイケてる場合が多い。女性誌のモデルは実はあまり男性には魅力的に見えない場合があるらしいです。)なんていうのは「なるほど」と思いました。

実は一番役に立ったのは、携帯メールの文章。日本を離れてそろそろ8年。私がいた頃には使っていなかった言葉や絵文字がたくさんあるのです。顔文字は今は使わないのかな?この本を見ていると、☆が随分使われていて、こういうのがカワイイを演出するのかなーと思った次第。こういうの、上手に使ったほうが効果的ですね。文字だけの堅いメールが一瞬にして温かくなる感じがしました。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・今更モテるもなにもないですが、とりあえず「なるほど」という感じ。

・肉食だの草食だのと言いますが、表に出すか出さないかの違いで、実は数年前とそんなに変わってないんじゃない?と思うけど、いかがでしょうか。恋愛にしても、仕事にしても、何事も努力が必要なのね。


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2010

07/27

Tue.

09:15:55

斎藤一人 500年たってもいい話 

Category【自己啓発


斎藤一人 500年たってもいい話斎藤一人 500年たってもいい話
(2009/08/27)
斎藤 一人

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書き出しをご紹介します。

はじめに

 人生には大切なことがいくつもあると思います。
 この本では、そのなかから仕事とお金の質問に対して答えました。
 CDもついていますから、最低7回以上聞いてください。
 第2部には、「幸せになりたかったら『鈴木の滝』をやっつけろ(大笑)」ものせておきました。
 みなさんのお役に立てば幸いです。



この本は一人さんが寄せられた58の質問に答える形式になっています。それぞれ人生、お金、仕事、結婚に属するお話です。

今までいくつか一人さんの本を読みましたが、私が読んだ中ではここまで実直ストレートな本は無かったと思います。自己啓発の本って、読んでも実行に移さない限り、何の発展もありません。それなのに読んだだけで満足してしまったり、ひどい時には買うだけで自己満足してしまうことすらあります。絶対に努力なしで成長も成功もありません。ましてや運一つで成功した人なんていやしない。その辺の人間の心の弱い部分に対して、喝を入れてくれる本だと思います。

CDですが、質問部は編集部の方(女性です)が読み、それに一人さんが答える形式です。本文だけでは伝わりにくい部分がありますので、私はCDも合わせて聞いてみることをおススメします。文章だけですと、「随分辛らつだなぁ」と思ったりしたのですが、CDを聞いて考えがかわりました。また、ちょっとした一言など、本書には書かれていない部分に、和やかな収録風景を感じました。

2部はCDには収録されておりません。ご注意を!

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・好みの問題かもしれませんが、一人さんの書籍の場合、私は圧倒的にCDが好きです。本を手にとって読むよりも、CDを聞く頻度の方が多い。

・これも聞いているうちに「なるほどなー」と思う部分が沢山ありました。努力、すべきなんですよ。今の日本は!!!



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2010

07/26

Mon.

09:19:24

死因 

Category【海外文学


死因 (講談社文庫)死因 (講談社文庫)
(1996/12/12)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

 

バージニア州にとって、南北戦争以来もっとも血なまぐさい年の大晦日の朝、私は暖炉に火をおこして、暗い窓に向かってすわった。日がのぼれば、その窓の向こうに海が見えることがわかっていた。ガウン姿でスタンドをつけ、検屍局がこの一年間に扱った自動車事故、首つり、殴打、銃や刃物による死亡の統計に目をとおしていると、五時十五分にいきなり電話がなった。
「やれやれ」と、つぶやいた。ドクター・フィリップ・マントにかかってくる電話をとるのが、面倒になってきていた。「いま行くわよ」
 マントのこの古びたコテージは、バージニアの沿岸沿いの、サンドブリッジという荒涼とした地域にある。海軍上陸作戦基地と、バック・ベイ国立野生動物保護地区の間にある砂丘の後に、隠れるようにして建っている。マントは検屍局のタイドウォーター支局担当の副検屍局長だ。気の毒なことに先週、クリスマスイブにお母さんが亡くなった。ふだんなら、マントが家庭の事情でロンドンへ帰ることで、バージニア州の検屍制度に重大な支障がおこるようなことはない。ところがいまは彼のアシスタントの法病理学者が産休をとっているうえ、モルグ主任も最近やめたばかりだった。



週明け早々、またまた検屍のお話でスミマセン。

検屍官シリーズもやっと7冊目まで進みました。

今まで日本語のタイトルしか気にしてませんでしたが、シリーズ7冊目の『死因』は、本国では『Cause Of Death』というタイトルで1996年に発行されています。10年以上前のお話ですから、今ならネットや携帯が主流な分野で、ポケベルや電話が数多く登場することに時の流れを感じますね。

さて、今回もあっと驚くような展開が沢山あります。まず、検屍局長のケイとFBIのベントンとの関係が少し進展。そしてケイの姪っ子のルーシーは、ついにFBIの特別捜査官として職についています。ルーシーは相変わらず天才ぶりを大いに発揮していて、コンピューター関係の仕事をテキパキとこなしていきます。

今回はある宗教団体がからむ事件ですが、終わり方が「そう来たか!」と思わず本にツッコミを入れてしまいたくなるような流れです。

【シリーズ記事】

・第一弾 検屍官
・第二弾 証拠死体
・第三弾 遺留品
・第四弾 真犯人
・第五弾 死体農場
・第六弾 私刑

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・登場人物がどんどんと年をとってきてる感がありました。やっぱりシリーズスタート時には小学生だったルーシーが就職したことに時の流れを感じるのかもしれませんね。

・当時のFBIのインターネット技術って、きっともっともっとスゴかったんじゃなかなーと思います。でも、ルーシーはやっぱり天才。


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2010

07/23

Fri.

08:38:55

チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ 

Category【マンガ


チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)チャンネルはそのまま! 1―HHTV北海道★テレビ (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
(2009/01)
佐々木 倫子

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チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)チャンネルはそのまま! 2 (ビッグ コミックス〔スペシャル)
(2010/01/29)
佐々木 倫子

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ご存知ない方が多いと思いますが、北海道出身の漫画家さんって結構たくさんいらっしゃるんです。「え?どんな人がいるの?」と思った方、下のリンクに行ってみて下さい。

http://hokkaido-manga.jp/list/index.html

佐々木倫子さんもそのお一人。旭川出身です。『動物のお医者さん』で大ブレイクなさったあとも、数々と楽しい作品を生み出していらっしゃる。今回はバカ枠で採用されたテレビ局の記者のお話です。表紙になっている女の子が主人公の雪丸花子ちゃん。

とにかく天然以外の何物でもないキャラなんですが、ものすご強運!同期は彼女のほかに5人いますが、みんなそれぞれとっても優秀です。同じ記者に同期の男の子が一人いるんですが、彼はものすごく優秀で機転が利きます。ある日テレビの配線をしていたら、上司が「バカ枠」の話をしていました。彼はまぎれもなく「バカ枠」は同じ記者のあいつだ!と思うのですが、本人はぜんぜんバカだとは思っていない天然さ。

彼女の最初のレポートは、悪天候で川が増水したというもの。人が流れてきた!と思ったら、サルだった!というかわいらしいエピソードです。早く続き出ないかな。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・北海道の田舎っぷりというか、のんびり度が伝わってきました。そうだよね、北海道ローカルのテレビってなーんか抜けてる感じ、するもんね。

・とは言え、北海道から東京へ飛び立ったアナウンサーも沢山いらっしゃるんですよ。

・いろいろな地名だけでなく、エピソード自体が北海道色を垂れ流しです。北海道が好きな人、読んでみて!



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2010

07/22

Thu.

17:39:47

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 

Category【日本文学


かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)
(2010/01/27)
万城目 学

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書き出しをご紹介します。

 四角い空き地に生い茂る背の低い草たちが、風もないのにさわさわと靡いている。
 まるで海に描かれた航跡のように、一本の淡い線が緑のじゅうたんを走る。草の葉がかさこそ揺れ、驚いた羽虫がぷうんと飛び立つ。朝の光を浴びようと、薄紅色の小さな花がせいいっぱい穂先を差し出すその根元を、丸い影が軽快な動きとともに通り過ぎた。
 空き地の隅には、ずいぶん前から古タイヤが三本、放置されている。草むらからすっと現れた、薄い茶色の毛に覆われた生き物は、縦に三段積まれたタイヤを見上げ、いったん腰を落とし後ろ脚に力を溜めたのち、音もなく跳躍した。
 タイヤに飛び乗るなり、
「ごきげんよう、マドレーヌ夫人」
と頭上から声がかかった。
「ごきげんよう、和三盆」
「今日もいい天気でありますように」
「そうありますように」
「ひとつ話を聞いておくれ、マドレーヌ夫人。私、また嗚呼らしい言葉を覚えたんだ。知っているかい?猫舌って言葉」



新書から出された万城目さんの小説。
いつもの高校生や大学生の青春満喫中の学生さんではなく、小学校に上がったばかりの女の子が今回の主人公です。そして猫も主人公の一人。

かのこちゃんは小学校にあがったばかり。ピカピカの一年生です。かのこちゃんのおうちには、お母さんがお嫁にくるより前から玄三郎という犬がいました。おじいさん犬の玄三郎、ある雨の日に外を見ると、小屋へ入らず外に立っている。かのこちゃんがよくよく注意してみると、玄三郎のおうちにはなにか別な動物が雨宿りしていました。それがマドレーヌ夫人。マドレーヌ夫人はかのこちゃんのお母さんが焼いてくれるマドレーヌとソックリな色の猫です。猫と犬はお互い言葉が通じないのですが、マドレーヌ夫人は外国語を話す猫です。玄三郎とも仲良くなり、お嫁さんとして玄三郎のそばで暮らしています。

かのこちゃんは学校生活がはじまり、お友達もでき初めて楽しい日々を送るようになりました。学校にはすずちゃんという仲よしができますが、すずちゃんはちょっと変わった女の子。かのこちゃんは大いにすずちゃんの影響をうけつつ、親交を深めていく。そして二人は刎頚の友となるのでした。

猫のマドレーヌとかのこちゃんの起きた一風変わった日常がほんのり温かい小説です。すっかり忘れていた1年生の頃の甘酸っぱさを思い出させてくれる作品です。久々に夏休みの自由研究を作りたくなるかも。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・この間は鹿が喋りましたが、今回は猫も犬も喋ります。しかも猫に至っては外国語(犬語)も話すわけですから、賑やかですね。

・かのこちゃんがとってもかわいい。こんな娘がいたらなぁと思わずにはいられませんでした。

・1年生って大人の真似事をしてみたりするけど、やっぱりまだまだ子供なわけです。かのこちゃんの様子が簡単に想像できて、近所の子供を見ているような気分になりました。かわいいね、子供って!著者も小学生を観察しながら微笑ましい気持ちでこの作品を書き上げたような気がします。




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2010

07/21

Wed.

10:23:40

わたしのマトカ 

Category【旅行


わたしのマトカ (幻冬舎文庫)わたしのマトカ (幻冬舎文庫)
(2010/02)
片桐 はいり

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書き出しをご紹介します。


旅のはじめに

 フィンランドに出張することになった。
 二〇〇五年の夏。八月なかばから九月の終わりまで。荻上直子監督の『かもめ食堂』という、オールフィンランドロケの日本映画に出ることになったのだ。小林聡美さん、もたいまさこさんと、フィンランドの首都ヘルシンキに乗り込み、現地のスタッフ・キャストと共同作業をするという。舞台でなら、何度か海外公演を経験したが、外国での映画の撮影ははじめてである。
 一年以上も前からお達しがあったにもかかわらず、出かけるまでわたしはその国に関して、まったくなんの知識も、とくに興味もなかった。だって、出張なのである。自分から選んだ旅先ではない。
 国の内外を問わず、旅が好きである。誰から頼まれたのでもないひとり旅に出かける時には、わたしはくどいくらいにその国や場所についての下調べをする。たまに調べすぎて、見るもの聞くもの、すでに知っていることばかりで呆れ返ることもある。



映画『かもめ食堂』が大好きなことから小林聡美さんのエッセイを読むようになり、その本に挟まっていたチラシで共演者の片桐はいりさんがフィンランドについてのエッセイを書いていることを知りました。表紙のデザインがこれまたフィンランドを思わせるデザインですね。

マトカとはフィンランド語で「旅」を意味するのだそうです。主な内容は撮影で滞在したフィンランドの思いでですが、旅好きとあるだけに他の外国のエピソードも多々出てきます。

一番驚いたのは、片桐さんには長くグアテマラに滞在する弟さんがいらっしゃること。グアテマラでのことは、また別に1冊エッセイがあるそうですので、是非読んでみたいと思います。なにがおもしろかったかというと、当時殆ど連絡のつかなかった弟さんに会いに出かけた、はいりさん。なんとファックス1台を持参で南米まで移動したというのです。南米ですよ。ものすごく遠いですよ。一昔前のファックスですからどれだけデカかったことでしょう!成田からLAへ飛び、そこからメキシコへ行ってまた乗り換え。半日以上かけてグアテマラに到着するというスケジュールなんだそうですが、それぞれの乗り換え時間が1時間とか2時間というビックリな強行スケジュール!しかも成田で乗った飛行機が2時間遅れて離陸するという恐怖のサプライズです。客室乗務員に尋ねると、その飛行機はなんとLA直行ではなくて、サンフランシスコで一旦降りて乗り換えなくてはならないらしい…。片桐さんが重いファックス担いで空港内をダッシュするお姿が目に浮かびました。

インテリアや雑貨の世界では、ここ数年北欧ブームが続いています。フィンランドの食器も雑貨もどれもこれもかわいいものばかり。この本を読んで、インテリア以外にもフィンランドに行きたい!と思うようになりました。

旅行したい人におススメの1冊。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・『かもめ食堂』の裏話なども出てきて楽しく読めました。あのガッチャマンの歌を教えてもらっていた青年や、問題のお客さん役の人たち、みんな有名な方だったんですね。

・そう、フィンランドと言えばシナモンロールですよ。食べたい。どうしても食べたい。


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2010

07/20

Tue.

21:29:30

イタリア家族 風林火山 

Category【マンガ


イタリア家族 風林火山 (ぶんか社コミックス)イタリア家族 風林火山 (ぶんか社コミックス)
(2010/06/25)
ヤマザキ マリ

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ヤマザキマリさんといえば、今や『テルマエ・ロマエ』というイメージがありますが、私はイタリア人のご主人のファミリーをモデルとしたイタリア家族シリーズが大好きです。

・モーレツ!イタリア家族

・それではさっそくBuonappetito!

今までの2冊は、イタリアや当時お住まいだったポルトガルのお話が中心ですが、今回はヤマザキさんご自身の過去を大放出したような内容です。

2冊読んだ方はご存知だと思いますが、ヤマザキさんは札幌にお暮らしだったことがあります。で、札幌滞在中に地元テレビに出ておられました。というか、出ておられたんだそうです。(道民なのに知りませんでした。)今回の漫画の中で、イタリア人が怪談を全く怖がらないというエピソードがあります。その中で北海道民にとってはものすごく昔懐かしいシーンが!

ある日のこと、ヤマザキさんが教鞭をとっていたイタリア語教室で、わけもなく電気が着いたり消えたりしたそうです。おかしいなぁと思っていると、生徒さんが「スイッチが勝手に動いている」と涼しいを通り越して寒くなるようなことを言うではありませんか。その帰り道、ヤマザキさんは車に衝突されてしまいます。翌日、ムチウチの身体でテレビ局に登場するシーンがあるのですが、そこに出ている姉妹の霊媒師さんが超懐かしかった!あれ、STVですね。なんていったかな、あの姉妹霊媒師さん!!!結局ヤマザキさんは霊に取り付かれていたらしい!というお話でした。

またご主人とは歳が一回りくらい離れておられることや、息子さんのお父さんのお話、出産のお話などなど、プライベートをまるごとオープンにされたことに驚きました。

9月には『テルマエ・ロマエ』の2巻目が出るそうですよ。楽しみですね。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・赤裸々に~という印象でした。デルス君、もう16歳なんですね!

・今、ヤマザキさんは単身赴任なさっていたご主人のもとへ住居を移され、シカゴ生活をはじめたそうです。シカゴをテーマの漫画、描いてくださらないかなー。


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2010

07/19

Mon.

09:28:05

バーティミアス-サマルカンドの秘宝 

Category【児童文学


バーティミアス-サマルカンドの秘宝バーティミアス-サマルカンドの秘宝
(2003/12/13)
ジョナサン・ストラウド

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書き出しをご紹介します。

 妖霊召還

 部屋の空気がすーっと冷たくなった。カーテンが凍りつき、天井の照明に厚い氷の膜がはり、白熱していた電球も輝きを失った。あたり一面に芯を切ったロウソクが浮かびあがって、毒キノコの大群のように見える。暗くなった部屋には、むせかえるような硫黄の煙がたちこめ、ぼんやりとした黒い影が身もだえしてあばれだした。遠くで無数の叫び声が聞こえる。と、とつぜん、階段に通じるドアに大きな力がかかった。ドア板が内側にたわみ、きしんだ音をたてる。目に見えないなにかが近づいてくる足音。ぶつぶつ文句をいう声も、ベッドのうしろや机の下のほうから聞こえてくる。
 硫黄の煙が帯の形をとりはじめた。そこから巻きひげのような細い煙が何本も出たかと思うと、舌のように空気をひとなめしてひっこんだ。煙の帯は<五線星の魔法円>の上をただよい、噴火した火山の煙のように、天井に向かってのぼっていく。そして、その動きがとまった瞬間、煙の真ん中からギョロッとした黄色いふたつの目があらわれた……。



とにかく分厚い本。600ページもあるので重いです。

イギリスの児童文学には魔法や妖精がつきものですが、今回は悪魔のお話。語り手はバーティミアスという悪魔です。魔術師は、実は自分で魔法を操っているのではありません。悪魔に指示をし、悪魔を使って何か事を起こしている。実は悪魔は人間に使われているわけですね。

バーティミアスは、経験豊かで実力もある格上の悪魔。そして自分が悪魔と呼ばれることを嫌う誇り高い使われ手です。ある日、おなかがむずむずして召還されたと思ったら、少年が立つ部屋へ呼ばれました。悪魔を呼ぶには、それはそれは多くの事を学ばなければならない。正確にペンタクルを描いて、香やロウソクなどの備品も必要です。青白い顔をしたその男の子は、たった一人でバーティミアスを呼び出したようでした。

魔術師は、才能のある子を引き取って弟子として育てていくシステムです。立派な魔術師として登録されるまでは、名前を与えられることはありません。今まで使われていた名前で呼ばれることは無論、魔術師名が与えられるまでは一切名無しで過ごします。その理由は、悪魔に名前を知られてしまうことは大きな弱点となるからです。ところが少年はひょんなことから、バーティミアスに本名を知られてしまいます。ナサニエル。それが少年の名前でした。

やせっぽっちの男の子ナサニエルは大胆な命令をバーティミアスに与えるのですが、本人もそれがどんな意味を持つものかを知らずのことでした。そこから事件はどんどんと大きくなってしまい、犯罪へとたどり着いてしまう。力は弱いけど頭の良いナサニエルと老齢バーティミアスのコンビは魔術師の世界へ突入していきます。

ハリーポッターとは違う魔法の世界をご希望の方、この本をどうぞ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・帯にもありますが、本書はイギリス本国でハリーポッターを抜いて第一位になったんだそうです。アメリカでは映画化も決まり、世界21カ国で翻訳出版されているんだとか。この前評判から、是非読みたい!と思っていた作品でした。

・読み始めて、ハリーポッターの場合はすぐにやめられない、とまらない状態になったんですが、この本はなぜか進まない。600ページもある大きな本なので、持ち歩くわけにもいかないし、ソファで寝転んで読むにも適さない。結局1週間くらいかかって読み上げました。

・全部で3巻出ていますが、第1巻を読んだ段階では、私はハリーポッターに軍配が上がるかな。翻訳の影響もあるかもしれませんが、この本の動きに大きな展開がない事に原因があるかなーと思っています。とりあえず3冊揃えましたので、ゆっくり読んでいくとしよう。


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2010

07/16

Fri.

14:43:09

私刑 

Category【海外文学


私刑 (講談社文庫)私刑 (講談社文庫)
(1995/12/07)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

 セントラルパークに深くふり積もった雪の中を、男は確か足取りで歩いていった。時間は遅かったが、どれぐらい遅いのか正確なところはわからない。ランブルのほうを見やると、星空の下に岩が黒く浮かびあがっている。男は自分の息づかいを聞き、それを見ることができた。彼はほかのどんな人間とも違う。まるで人間の肉体を持つ神のように、テンプル・ゴールトには不可思議な力が備わっていた。たとえば、だれもが足をすべらせるに違いないこんな道を歩きながら、彼は一度もすべらなかった。それに彼は恐れというものを知らない。野球帽のひさしの下の目が、あたりを見回した。
 その場所がどこか彼にははっきりわかっていた。丈の長い黒いオーバーのすそをはらって、そこにしゃがみこんだ。古びた軍隊用のリュックを雪の上に置き、血まみれの両手を目の前に出した。手は冷たくなっていたが、我慢できないほどではない。ゴールトは手袋をするのが嫌いだった。ラテックスの手袋だけは別だが、これははめていても温かくはない。彼は柔らかい新雪で手を顔を洗い、それから使った雪を玉にした。そしてこの血だらけの玉をリュックのわきに置いた。これを残しておくわけにいかないからだ。



検屍官シリーズ第6弾。

4作目の『真犯人』、5作目の『死体農場』でも追い続けていた犯人についに接近するという3部作の最終部です。

今回の舞台はニューヨーク。前作でFBIの研修中に罠に嵌められた姪のルーシーも大活躍です。ケイはニューヨークで関連事件が発生したとの情報を聞き、警部に昇進したマリーノ、FBIのウェズリー捜査官と共にニューヨークへ向かいます。冬のセントラルパークは一面雪に包まれ、そこに女性の死体が残されていました。

どうやらこの事件の犯人は、ケイが前から追い続けている事件と同一犯と思われる。ケイは犯人の姿を2度目撃しています。恐ろしい、凍るような青い目がケイの頭にこびりついている。

犯人はニューヨークだけではなく、ケイたちの住むリッチモンドにもたびたび現れ更なる事件を生み出しています。ケイの知らぬ間に、犯人は一歩一歩ケイに近づいている。ケイは犯人の過去を辿りながら、事件の解決の鍵を握ります。

【シリーズ記事】

・第一弾 検屍官
・第二弾 証拠死体
・第三弾 遺留品
・第四弾 真犯人
・第五弾 死体農場


jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・文庫本なのに1冊あたり500ページを上回るという厚さですよ。それが3部作となってみて下さい。2000ページ近いんですからオドロキです。でも読まずにはいられなくなるサスペンスです。

・韓国では日曜の夜にCSIを2作ずつ放送しているんですけど、映像で見る事件ものよりも検屍官シリーズの方が怖くてドキドキするのはなぜ?


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2010

07/15

Thu.

09:27:52

イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション 

Category【旅行


イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)イギリスだより―カレル・チャペック旅行記コレクション (ちくま文庫)
(2007/01)
カレル チャペック

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書き出しをご紹介します。

あいさつ

 人は、それぞれの民族について、さまざまなことを考える。それらは、その民族が型にはめてみずからに与え、こうだと思い込んでいるようなものとは限らない。それでも、もはや強い習慣とさえなっているが、人は国や民族を、その政治、体制、政府、世論、またはそれについて一般に言われるものと、なんとなく同一視する。
 しかし、なにかちがうものを、その民族はある程度はっきりと示す。それは決して人が自分で考え出したり意図したりできないものだ。自分自身の見たもの。まったく偶然で日常的なものの思い出が、おのずから心の中に浮かんでくるのだ。
 なぜ、まさにその、ほかならぬ小さな経験がこんなにも強く記憶に残っているのかは、神のみぞ知る。ただ、たとえばイギリスのことを思い出すだけでも十分である。
その瞬間に目に見えるのは―



そろそろ夏休み。海外旅行に行きたーい!イギリスに、フランスに、ハワイに行きたーい!でも、そう簡単に旅行に行けない私は、旅行魂に火がついた時は旅行記を読んで我慢してます。

6月帰国した時、札幌駅の弘栄堂でみつけた本。

イギリスに関する旅行記を読むのは、今や私の課題と言ってもいいほどの趣味になってますが、この本がカレル・チャペックの書いたものだと知って絶対に読まねばと思いました。チャペックと言えば千野栄一先生を思い浮かべますが、千野先生の書籍の中にチャペックの絵心について書かれたものはあったかしら?と思いました。というのは、絵が素晴らしいんですよ。文章には「ちょっと描いてみた」的にあっさりと前置きされてるんですけど、肝心の絵は万年筆でさらっと描いたにしては美しすぎる。著者の見たイギリスの印象がストレートに伝わってきます。

チャペックの訪英は1924年の大英博覧会の年でした。取材も兼ねるとして5月27日から7月27日までの2ヶ月を過ごしたそうです。2ヶ月もありますから、相当回ってますよ。イングランドからはじまり、スコットランド、ウェールズと周り、再びイングランドへ戻っています。アイルランドがないのは、どうやらその当時は「あの国に行く人はいない」と周囲に言われ、行くための手段が無かったからだと思われます。なにしろアイルランドに関する書籍すら見つからなかったそうですから、驚きです。

印象的だったのはスコットランドかな。私も一度湖水地方を訪れたことがありますが、1924年にチャペックが見たものと、20世紀後半に私が観たものはほぼ同じと言えるようです。私が行った時も時が止まったかのような静粛さでしたが、チャペックが見た時すでに時は止まっていたようですね。

イギリスの美しさやイギリス人の気質などについての考察も非常におもしろい。イギリス人って変わってないんだなーと思います。これからイギリスの田舎を旅行する人にはおススメです。

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・日本ではイギリス人気が続いていますが、同じヨーロッパに住む人にもイギリスの田園風景は、人をイギリスに向かわせる美しさがあるようです。

・教会の建物の違いについてのお話、とても面白かったです。チェコとイギリスでは、教会の塔の形が違うんだそうです。アジア人には大して大きな違いとは感じられないところにも、ヨーロッパの人は異国を感じるんでしょうね。

・文章が素晴らしいのはもちろんですが、絵がスゴい。妹尾河童さんの旅行記に匹敵します。


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2010

07/14

Wed.

09:18:01

獣の奏者 1闘蛇編  

Category【日本文学


獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)
(2009/08/12)
上橋 菜穂子

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書き出しをご紹介します。

 戸があいた音で、エリンは目をさました。
 夜が明けるにはまだ間がある時刻で、雨が薄板葺きの屋根を打つ音が、闇の中に絶え間なく響いている。
 母が、土間の水場で手を洗っているのが、ぼんやりと見えた。足音を忍ばせて寝間にあがってきた母が、寝具に身体を滑りこませると、ふうっと雨の匂いと、闘蛇の匂いが、漂ってきた。
 戦士を乗せて水流を泳いでいく巨大な闘蛇の鱗は、麝香のような独特な甘い匂いがする粘液でおおわれている。闘蛇の背にまたがって闘いに行く戦士たちは、どこにいても、その匂いでわかるほどだ。
 闘蛇の世話をする母もまた、いつも、この匂いをまとっていた。エリンにとっては、生まれたときから嗅ぎつづけている、母の匂いだった。



去年は梨木香歩さんの作品をむさぼり読みましたが、今年は上橋菜穂子さんにのめりこんでます。なんでしょう、この雄大かつ独特なファンタジーの世界は!!!

守人シリーズ同様、読み始めて即効、ぐいぐいと引き寄せられました。

今回の主人公は、闘いのために使われる蛇を育てる母を持った娘、エリンです。エリンはこの母と二人で暮らしています。母はエリンが住む村の生まれ育ちではなく、生い立ちは霧の民と呼ばれる緑の目を持つ一族でした。それ故、エリンの父が亡くなった今となっては、二人は村の人からは一歩はなれた生活をしています。

ある晩、母の育てる闘蛇のすむ岩窟から笛のような音が鳴り響きました。駆けつける母を追ったエリンが見たものは、冷たくなった闘蛇の亡き骸。音は、仲間の闘蛇が弔いとして鳴いた音だったのです。国の大事に関係するとし母は死罪を命ざれ、エリンはなんとかして母を救おうとします。死罪の直前、母のもとへ駆けつけたエリンは、母の指笛とともに遠くへ運ばれてしまいます。目を開けると、そこはリョザ神王国。川原に打ち上げられたエリンを蜂飼いのジョウンが救います。

賢いエリンは、ジョウンとの生活のなかで生きる力を得ていきますが、ある日エリンの進路と共ににジョウンとの別れが訪れます。それは母と同じように獣ノ医術師を目指す道でした。

ジョウンに助けられてから、次々とエリンの心が溶けていく様子は感動ものです。今回はタイトルにもありますが、獣がキーワードです。この国には王獣と呼ばれる種があります。動物の弱肉強食の世界が、政治に直結してしまう危うさも兼ね備えている。エリンの聡さがどう展開するのかが楽しみです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・講談社文庫は現在2巻目までがでていますが、単行本は完結版まで出ているようです。スペースの関係上、小説は文庫で揃えたいなーと思ってますが待ちきれないかも!

・とにかく上橋さんの描く物語はスゴいです。ずっと緊張感が途切れないし、飽きる事もない。早く続きを読みたくなりました。


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2010

07/13

Tue.

09:55:11

アヒルと鴨のコインロッカー 

Category【日本文学


アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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 腹を空かせて果物屋を襲う芸術家なら、まだ格好がつくだろうが、僕はモデルガンを握って、書店を見張っていた。夜のせいか、頭が混乱しているせいか、罪の意識はない。強いて言えば、親への後ろめたさはあった。小さな靴屋を経営している両親は、安売りの量販店が近くに進出してきたがために、あまり良好とは言えない経営状況であるにもかかわらず、僕の大学進出を許してくれた。一人暮らしの仕送りを出すことを決断してくれた。そんなことをさせるために大学へやったのではない、と彼らが避難してくれば、そりゃそうですよね、と謝るほかなかった。
 細い県道沿いにある、小さな書店だ。
 午後十時過ぎ、国道が近くを走っているはずだが、周囲は薄暗かった。車の音もない。周りには、昔ながらの民家がぽつぽつとあるだけで、人通りも皆無だった。



ソウルのリアル書店でも伊坂幸太郎さんの書籍が平積みされていて、いつか読んでみたい、日本に帰ったら買うぞ!(ウォン安で文庫本もこちらでは高価なんです)と思ってました。関空の丸善でいくつか伊坂文庫が並ぶ中、表紙の綺麗さにコレを購入。思った以上のおもしろさ!他の作品もぜひ読んでみたくなりました。

東北の大学に進学した主人公椎名は、引越早々、しっぽの曲がった猫と真っ黒な服を着た隣人の河崎に出会います。そこから彼の大学生活は変わっていく。書き出し部、なぜモデルガンなんて持って書店を見張っているかといいますと、隣人河崎に「一緒に本屋を襲わないか」と誘われたから。河崎は広辞苑を取るのだといいますが、なぜかそれには本屋を襲う必要があるらしい。とにかく流れで書店まで行く事になった椎名ですが、どんどんと自分の周りの過去に取り込まれていきます。

この小説は吉川英治文学新人賞受賞作です。たしかにこれは賞取るよね。おもしろかった!


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・話の展開がなんとも派手なのですが、「うわっ」と思わせるような意外性に最後までドキドキで読めました。「そうくるかー」と何度つぶやいたことでしょう。

・椎名青年の口調がまた普通っぽくっていい。若者特有の流れを感じます。


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2010

07/12

Mon.

13:53:01

いつも心にイタリアを 

Category【旅行


いつも心にイタリアを (新潮文庫)いつも心にイタリアを (新潮文庫)
(2010/01/28)
アレッサンドロ ジェレヴィーニ

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はじめに

 このエッセイ集は、いわばイタリアに対する、僕の愛の告白だと考えています。とはいえ、どちらかといえば、一目ぼれした少年が緊張して言う甘い言葉というよりも、大の大人が相手のいいところも悪いところも知りつつ、互いの愛情を再確認するために口にする、心のこもった告白だと思います。
 ここに収録されている文章は、およそ四年にわたって書いたものです。その間、日本、韓国、アメリカと住む国を変えてきました。住んだ家についていうと、六回も変わっています。
 けれど、どこにいようが日常の中では極めてイタリア的な生活を送ってきました。毎日食べるものに関してはいうまでもなく、一日のリズムもそうで、たとえば、うちにいる日なんかは昼食が終ると必ず二十分程度の昼寝をします。また、祭日だとなんとなく教会まで足を運びます。イタリアのテレビだって、衛星放送を通してしばしば観てますし、新聞にしてもインターネットで、全国紙から生まれ故郷の地方紙まで読んでいます。



札幌の紀伊国屋本店で衝動買い。あまりにも表紙のテーブル風景が美しかったのと、イタリア人で韓国にも滞在なさっていた方の書かれた本(しかも日本語で!)ということで購入に至りました。

そう、読んでいてビックリしたんですが、ジェレヴィーニ氏がソウルにいた2002年は私が韓国入りした年でもあります。最初に住んでいたエリアの名前なんかもちらほら出てきて、「どこかですれ違っていたかも」などと思ったり。今と2002年のソウルは随分変わってしまいましたんで、あの頃の寒い冬のことをしんみりと思い出しました。

さて、韓国よりイタリア。イタリアと言えば、私の場合、真っ先に須賀敦子さんのエッセイを思い出します。ジェレヴィーニ氏は、なんとヴェネツィア大学日本語学科で須賀さんの集中講義を受講したことがあるんだそうです。(あとがきP286参照)須賀さんが日本の小説のイタリア語訳を生んでいたことは周知のことと思いますが、ネイティブであるイタリア人学生はみな、彼女の完璧なイタリア語に驚いたというエピソードに「やっぱり!」と思ってしまいました。

この本はイタリア語を勉強しているならもっともっと楽しく読めると思います。所々、簡単なイタリア語の文法についてのお話や、イタリア語学習の覚書となるようなエッセイも数多く含まれています。それが普通の生活や食についてのお話に絡められているので、イタリア語を知らない私でも強く印象に残ったほどです。

全然関係ないんですが、この頃まさにのめり込んで読んでいる検屍官シリーズの主人公の名前がケイ・スカーペッタと言います。Scarpettaと書きます。彼女はイタリア(ベネチア方面)からの移民でマイアミ出身という設定なんですが、Scarpettaという姓になんとなくイタリアっぽいと思ってはいましたけど、この本でその謎が解けました。Scarpettaとは、お皿についた美味しいソースをパンでキレイにすくって食べることなんだそうです。とすると、検屍官のケイは事件をきれいにさらって調べてしまうという意味があるのかしら。うむむ。

さてイタリア、一度は行って見たい。そして著者が書いた食についてのエッセイも読んでみたいです。楽しみ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・自信を持って「イタリアはスローフードの国です」と言えるのがとても羨ましい。ママが毎日おいしい料理を作ってくれて、それが当たり前のことであるってステキですね。どうしても日々の仕事に追われて出来合いのものを買ったり、インスタントに頼ったりしがちな昨今ですが、食は大切なもの。イタリアスタイルを見習おうと思います。

・何年たっても変わらない田舎があるっていうのも、これまた羨ましい。私も札幌に帰るだけで、なんとなく心がとろける気分になりますが、10年前と今とでは風景はすっかり変わってしまいました。ところがヨーロッパでは10年どころか100年単位で維持されているってのがビックリ。歴史の中に今があるってどういう感じなのかな。

・それにしても、外国語でこれだけの文章を編み出されるとは。私の日本語よりも絶対に流暢でお上手に違いないです。ああ、もっと勉強しなくちゃ。


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2010

07/09

Fri.

12:13:25

死体農場 

Category【海外文学


死体農場 (講談社文庫)死体農場 (講談社文庫)
(1994/12/07)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

 十月十六日。夜のとばりの上に太陽が顔をのぞかせる頃、窓の外に黒々と広がる守のはずれに、一頭のシカが足音もなく近づくのがぼんやり見えた。頭上と床下で水の流れる音が響き、他の部屋にも順に明かりがつき始めた。どこかの射撃場からパンパンという鋭い音が、夜明けの静寂を破って聞こえてくる。私は銃声とともに眠りにつき、銃声とともに目ざめたのだ。
 バージニア州クワンティコにあるここFBIアカデミーでは、銃声が絶えることがない。アカデミーは、まわりを海兵隊の施設に囲まれた孤島のような存在なのだ。毎月、私は警備が厳重なここのセキュリティ・フロアで数日間を過ごす。ここにいれば、こちらが希望しない限りだれも電話をかけてこられないし、食堂でビールを飲みすぎた輩が私のあとをつけてくるといったこともない。
 新入りの局員やここに滞在する警察官らが入る寮は簡素だが、私が泊まっているスイートには専用のキッチンとバスルームのほか、テレビと電話もついている。喫煙と飲酒は禁止されているが、おそらくここにかくまわれるスパイや保護の必要な証人たちは、私と同じくそんな規則は無視するのだろう。



なんだかもうスゴいタイトルですね。

検屍官シリーズも第五段目となりました。ハラハラがどんどん大きくなっていきます。

今回の事件は4冊目の『死体農場』から引き続いておりまして、これからお読みになる方は、まずは『死体農場』から手に取られることをおススメします。話がきっとわからなくなると思いますんで。

さて、今回は検屍官ケイの姪っ子のルーシーが久々に登場します。1作目では小学生だったルーシーも、今やバージニア大の女子大生。相変わらず頭がよくてITに強いルーシーは、FBIで研修を受けています。アメリカだと、大学生でも優秀なら国家機関で研修できちゃうんですねー。こうやって優秀な才能を育てて行くのか。

ケイはと言いますと、相変わらずリッチモンドの刑事マリーノとともに犯人を追いかけています。ところが今回起きた事件では、ケイとマリーノの友情がなかなか力を発揮できません。

関連事件だと予測されたことから、今回検屍官ケイ、刑事マリーノ、FBIのウェズリーはバージニアを離れてサウスカロライナへと向かいます。そこで起きた少女殺害事件には、カニバリズムを思わせる痕跡が。ケイは、テキサスにある死体農場と呼ばれる研究所の力を借り、事件を解決しようと奮闘します。

一方FBIで研修を受けているルーシーにも悪の手は忍び寄ります。ルーシーを利用しようとする人間にはめられてしまい、自らの汚名を晴らさなくてはならないことに。ああ、がんばれルーシー!

ところで、4作目の『真犯人』から5作目の『死体農場』は連作となっていますが、最後まで読んでみるとまだまだ事件が解決へと向かわない!これは長編の見込みですよ。早く次を読まなくちゃ!

【シリーズ記事】

・第一弾 検屍官
・第二弾 証拠死体
・第三弾 遺留品
・第四弾 真犯人

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d 

・前作でも思ったのですが、アメリカでは事件を推測する際に、必ず人種の検討から入るんですね。

・それにしても、今回の展開は驚いた!人間関係の難しさがお話をますます面白いものにさせています。




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2010

07/08

Thu.

08:43:52

贅沢を味わい質素も楽しむ 

Category【ライフスタイル


贅沢を味わい質素も楽しむ (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)贅沢を味わい質素も楽しむ (知的生きかた文庫―わたしの時間シリーズ)
(2010/05/20)
吉村 葉子

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書き出しをご紹介します。

はじめに

この「シンプル&心地いい」は一生もの!

 ようやく最近になって、幸せのありかたが見えてきたような気がいたします。

 といっても今、このページを開いてくださっているあなたに、私が思っている幸せが当てはまるかどうかは、わかりません。
 それは最大多数の最大幸福などといった大げさなものではなく、私たち一人ひとりが現実を直視し、「これでいいんだ」と思えるような、ささやかなもの。
 迷いや不安を消しさり、心のよりどころとなる、たしかな価値があるものだと思っています。
本著では、パリ時代のたくさんの親友たちに、登場してもらいました。
 彼女たちは、職業も立場もいろいろですが、どなたも「自然さ」が信条。
 そして、おしゃれについても一家言おもちの面々です。いえ、彼女たちにはおしゃれよりむしろ、「幸せを実感できる暮らしの価値観」を語ってもらったといったほうがいいでしょう。



書き出し部中にあった強調太字は、そのまま文字だけで記しています。

フランス在住歴20年の著者による、フランス流の生活術の本です。内容は大雑把に言うとコミュニケーション、ファッション、ライフスタイルについてですが、この表紙のステキな写真のようにおフランスのエッセンスが加わることでステキさが増してくる。

お金をかけずにオシャレを楽しむ方法がテーマとなっている書籍はたくさんありますが、正直申し上げまして、もともとセンスの欠片すら持ち合わせていない私には、素材を生かす!的なアドバイスは豚に真珠。一方、この本であげられている自分らしさを引き立てる方法はとてもシンプルでわかりやすかったです。なるほど、こういう手段があるのか。

私の目指すところはエレガントな女性になることなのですが、「エレガントってそもそもなんだろうね」という基本の基本を思い出させてくれる本でした。なかなか基本イメージが固まらずに歳を重ねてましたけど、やっと進行方向が見えてきた感じです。

最近はワイン好きな人も増えていて、フランス料理を日常に取り入れておられる方も多いでしょう。我が家は創作韓国料理と和食が中心でワインも滅多に口にすることはありませんが、もし万が一どなたかに誘われたら、きっとどうしてよいのかわからなくてオロオロしてしまうと思います。でも、ちょっとした基本のマナーを知っていれば、心強いものかもしれません。あと和食をどんな風にアレンジすれば外国の方に喜んでいただけるのかというテーマは参考になりました。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・きっとフランスという国は、10代の若者よりも20代、20代よりも30代、30代よりも40代という風に、大人に許される楽しみが多い文化を持っているという印象を受けました。ファッションにしても、その世代によって似合う形や色も異なりますし、目指すものも違うはず。なるほどなーと思うこと満載です。

・韓国とフランス、すごく間逆だわーという印象を受けました。韓国はとにかく新しいモノ、新しいモノを追い求めている一方で、フランスには古さに新しさを求めてる感じ。日本はその中間といったところでしょうか。



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2010

07/07

Wed.

09:06:07

真犯人 

Category【海外文学


真犯人 (講談社文庫)真犯人 (講談社文庫)
(1993/12/06)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

プロローグ

(ある死刑囚の瞑想 スプリング・ストリートにて)

 今はクリスマスの二週間前。あと四日ですべてが無になる。鉄のベッドに横たわり、自分の汚れたはだしの足と、便座のとれた白い便器を見つめている。床の上をゴキブリが這っても、前のように飛び上がったりはしない。ゴキブリがこっちを見るのと同じ目つきで、そいつを見返すだけだ。目を閉じて、ゆっくり息をする。

        暑い日盛りに干し草をかき集め、白人のだんな衆の暮らしからすればただ同然の賃金しかもらえなかったことを、思い出す。空き缶で落花生を炒り、トマトが熟すとそれをリンゴのように頬ばったことを思う。いつか出ていくと心に誓った土地。顔を汗で光らせながら、その不毛の土地のピックアップ・トラックを運転している自分の姿が目に浮かぶ。

便器を使っても、鼻をかんでも、たばこを吸っても、看守がいちいちそれをメモする。時計はどこにもない。天気を知ることもできない。目を開けると、のっぺりした壁がどこまでも続いている。自分がいなくなろうとしている時、人は何を感じればいいのか?



検屍官シリーズの第4作目。今回の舞台もバージニア州のリッチモンドです。

まず、結論から言いますと、お話は続く模様です。今までの3冊は、できれば最初から読んだ方がいいけど、でも途中参加も大丈夫な感じでした。2冊目から読んだって、内容はわかります。でも、ココから先は絶対に順序どおり読んだ方が良さそうです。最初から読んでこそ、怖さが伝わる気がします。

さて、内容はちょっとヘビー。上の書き出し部は、これから死刑にされようという黒人の青年が書いた詩の一部。死刑囚ワデルは、女性記者を惨殺した罪で死刑を言い渡されました。ところが死刑直前となり、人権団体が動き始めます。しかし、采配をコントロールできるバージニア知事は動かず、死刑は実行されることに。検屍官のケイ・スカーペッタがワデルの検屍を行うことになります。

ところがそのワデルの死体には、ちょっと不思議な様子がありました。残された遺書のようなものが一風変わっていた。その調査を皮切りに、ワデルの死やワデルの起こした事件にまつわる謎が開かれていくのですが、新たな事件現場からワデルの指紋が発見され、謎はどんどん深まります。

ところで、全く話は変わるのですが、アメリカはその州によって法律が異なるのは皆さんご存知かと思います。死刑も州ごとに扱いが異なるんですね。バージニアは電気椅子による死刑がある模様。うーん、怖い。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・アメリカにおける人種の差というか区別は、私が考える以上に大きなものなんだなと思いました。上の黒人青年の詩がとても悲しい。

・気がついたらぐるぐる回る輪に放りこまれたような気分になりました。ああ、続編!早く読まねば。


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2010

07/06

Tue.

21:52:00

ワタシは最高にツイている 

Category【随筆・エッセイ


ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)
(2010/02)
小林 聡美

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書き出しをご紹介します。

大殺界のセコいのりきり方

 ワタシは五月生まれの女である。
 そのせいか、五月はとても好きな月だ。街中が力強い緑に覆われて、なんだかこちらまでやる気がみなぎる。
 そんなやる気がみなぎっているワタシは、今年から三年間、恐怖の細木数子先生の言うところの大殺界。その字面を見るも恐ろしい大殺界とは、
『新しいことを始めない。頑張らない。ただじっとしていろ。そうしないと、地獄に落ちるわよ』
 という、まあ、とにかく人生の冬の時期を言うらしい。
「細木数子ぉ?あの、なにかっちゃあ大蛇がついてるだのなんだの言う、バーキンたくさん持ってるおばちゃんでしょ。そんなの気にしない気にしない」
 と力づけてくれる友人もいる。しかし今年の年頭、仕事でお会いした0学占いの山本令菜先生にも同じようなことを言われた。



小林聡美さんのエッセイ。小林さんのエッセイを読み始めて、これで4冊目です。

2007年の頃のエッセイですが、今まで読んできたものの中で、最も三谷監督の登場が少ないかも。(独身時代のものは別ですよ。)40代になった小林さんが、相変わらず生き生きと日々を送っている姿が目に浮かぶような一冊です。

今回ももちろん笑いどころ満載のエッセイですが、私は一つ気になるお話がありました。それは小林さんが園芸に目覚めたということ。そのキッカケとなったのが、ターシャ・テューダお婆ちゃんのDVDだったそうです。ターシャおばあちゃんのお話は以前ちらっとNHKで見た記憶があります。もう一度見てみたいと思っていたことを、このエッセイで思い出した私。エッセイの中でも園芸人生を続けておられる小林さんの姿に、どうしてもDVDが見たくなってしまいました。愛憎本もついてるとのことでしたので、多分これでしょう。


NHK 喜びは創りだすもの ターシャ・テューダー四季の庭 永久保存ボックス〈DVD+愛蔵本〉NHK 喜びは創りだすもの ターシャ・テューダー四季の庭 永久保存ボックス〈DVD+愛蔵本〉
(2006/04/21)
食野 雅子

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エッセイの中での小林さんは、一度信念を持って「やる」と決めたものは続けておられる印象があります。焚き火(キャンプファイヤーね)にかける情熱や、庭を造っている姿などなど、いかに趣味に目的を見つけて楽しむかに刺激を受けました。

今回のエッセイには映画『かもめ食堂』や『めがね』撮影時のお話などもありで、裏話的な楽しさもあります。映画ファンにもおススメ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・小林さんのカラッとした語り口に元気をいただけます。私もこんな奥さんになりたいです。

・料理、園芸、やってみたいことはたくさんあるけど、なんとなく手を出せずにおりました。これではダメですね。もっともっとチャレンジしなくては!


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2010

07/05

Mon.

19:05:17

鹿男あをによし 

Category【日本文学


鹿男あをによし (幻冬舎文庫)鹿男あをによし (幻冬舎文庫)
(2010/04)
万城目 学

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書き出しをご紹介します。

はじめに

 ずいぶん、おさない頃の話だ。
 ベッドに入ってうとうとし始めると、頭の上らへんを、ときどき小人の鼓笛隊が通っていった。おれは目を閉じている。だから、その姿は見えない。ただ、「しゃんしゃかしゃんしゃか」と音を立てて何かが通っていくのを、夢とうつつの間で聞いている。どうして、見えもしないのにそれが小人だとわかるのかと訊ねられても、上手には答えられない。夜中に「しゃんしゃかしゃんしゃか」と風のような音をたてて通るような連中は、小人の鼓笛隊に決まっている、と子供のおれは考えたのだ。
 だが、そのうちおれも知恵がつく。小学校にも上がる。小人が枕元をうろうろしているといつまでも思わない。ある夜のこと、例のごとく、頭の上を小人が通っているとき、おれは初めて夢の世界に落ちることなく、「起きろ」と自分に命令することができた。ゆっくりとおれはまぶたを開けた。
 枕に接するように、ベッドのヘッドボードが立っている。板の厚みは二センチほど。その厚みを鼓笛隊の連中が一列になって渡っているとおれは勝手に想像を働かせていた。おれは素早く体を起こし、小人たちの姿を捉えようとした。



ずっと読みたいと思っていた万城目氏の本。『鴨川ホルモー』以降、2冊目の文庫です。いつも漫画が先に出ちゃって、文庫版は遅いんですよねー。早く他の作品も文庫化されますように。

さて、私はこの本を京都のジュンク堂で購入したんですが、ちょうど奈良から京都へ移ったその日の出来事でした。しかも大量の荷物と一緒に、2ヶ月分の書籍も船便で送る始末。ソウルに戻ってから読んだわけであります。

嗚呼!奈良にいるうちにこの本を読んでいたかった!
この本があったら、奈良の町も仏像・仏閣ランドではなくファンタジー満載で魅力的な鹿の町に見えていたであろうに!今回東大寺に行った時にも鹿は見てきましたけど、鹿へのイメージが一気に代わります。(それもプラス方向に!)

この本は一種の学園モノです。主人公は大学院で研究三昧の日々を送っている「おれ」。まわりは神経衰弱だというけれど、本人には全く自覚意識がありません。しかし、ちょっとしたことに悩んだり、ムキになったり、他人には確かに「それは神経衰弱だわー」と言われそうなキャラではあります。そんな「おれ」、教授の命令で奈良にある女子高で産休の先生の代わりに教鞭を取ることになります。

当たり前ですが、女子高ですので生徒は全部女子。しかも、奈良、京都、大阪に姉妹校があるという大きな女子高です。10月には大和祭と呼ばれる3校対抗の運動会も開かれるほど。「おれ」は学校の紹介で美術の教師の家へ下宿することになります。

下宿は県庁の裏手にあり、東大寺のすぐそばです。朝は6時に起きる「おれ」は、7時の朝食までの時間、近所へ散策に出ることにします。ふらりと東大寺に入ると、鹿が濡れた瞳でじーっと「おれ」を見詰めている。気のせいかと思うのですが、しかしどんどんと鹿との距離は近づくばかりです。加えて実家の母は鹿島大明神を信じており、「おれ」へお守りを送ってきます。やっぱり鹿との縁は強まるばかり。

そんなある日、鹿が「おれ」に話しかけて来ました。しかもおっさんの声で。「おれ」の人生は何が何だか分からない不思議の中へ突き落とされます。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・笑えるっ!どうして鹿が喋るんだ!!鹿は神の使いだと言われると聞いたことがありますが、この本を読んで「なるほどな」と思ってしまう私って!

・そういえば奈良の鹿って、北海道の鹿より小型ですね。バンビ風でかわいかったです。

・そして全然関係ないですけど、東大寺の境内にあった鹿に関する注意版の韓国語がとてつもなく面白かったです。


 

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2010

07/02

Fri.

16:34:34

遺留品 

Category【海外文学


遺留品 (講談社文庫)遺留品 (講談社文庫)
(1993/01/07)
パトリシア・コーンウェル

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書き出しをご紹介します。

 八月最後の日にあたる土曜日、私は明け方から仕事を始めた。芝生の上に立ちこめた霧が晴れていくのも、空が鮮やかな青色に変わるのも見ることができなかった。ステンレスの解剖台はすべて、午前中一杯ふさがっていたし、モルグには窓がないのだ。リッチモンドでは、土曜から労働休日の月曜までの三連休は、車の衝突と銃撃によって幕を開けていた。
 午後二時になってようやくウェスト・エンドの自宅に戻ると、バーサがキッチンの床をモップで拭いている音が聞こえた。バーサは毎週土曜日に掃除に来てくれるのだ。ちょうど電話が鳴りだしたが、バーサには電話に出ないよう言ってある。
「私は留守だからね」大声でそう言いながら、冷蔵庫を開けた。
 バーサが床を拭く手をとめた。「ちょっと前にも鳴ってましたよ」と言う。「その二、三分前にも鳴ってました。同じ男の人からです」
「いま留守なの」私はくり返した。
「じゃそういうことにしときましょう、ドクター・ケイ」再びモップが床の上を動きだした。
 陽光あふれるキッチンに流れる、留守電の機械的なメッセージの声を無視しようと努める。秋が近づくとともに夏の間放ってあった庭のトマトを収穫し、貯蔵し始めていた。あと三個しか残っていない。ところでチキンサラダはどこだっけ?



ああ!もう検屍官シリーズ、読まずには入られない体になってしまいました。『遺留品』はシリーズ3作目です。小学生だった姪っ子のルーシーも今や高校生になっている。(でも今回は電話で登場したのみです。)

今回の事件は、ヴァージニア周辺で起きている連続カップル殺人事件。4組目のカップルは、次期副大統領とも言われている女性の娘とその恋人でした。政界の大物の娘ということで、FBIも積極的に動くのですが、それが返ってマリーノやケイからベントンを孤立させます。

しかし殺人は解決しない。そしてケイはまたもや事件に深く関っていく。今では友人となった、第一弾でリッチモンドのジャーナリストで妹を殺害されたアビーも登場し、事件の深刻さと残忍さがどんどんと浮き彫りになって行きます。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・怖いというよりも悲しいお話でした。それにしても、アメリカって事件の規模がデカすぎる!

・やはり銃がある社会って、どんなに警戒してもしきれない恐ろしさを断ち切れない。日本が(そして韓国が)いかに平和かを思い知らされました。

・しかしフィクションなのにフィクションを感じさせないこの小説。続きが楽しみです。



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2010

07/01

Thu.

20:30:54

まほろ駅前多田便利軒 

Category【日本文学


まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
(2009/01/09)
三浦 しをん

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書き出しをご紹介します。

・曽根田のばあちゃん、予言する

「あんたはきっと、来年は忙しくなる」
 年の瀬も押し迫ったある日の夕方、曽根田のばあちゃんはそう言った。
 病院内の談話室はとても静かだ。窓越しに、枯れた芝生と葉を落とした立木が見える。二台ある大型テレビはどちらも音量を極限まで絞り、片方はドラマの再放送を、もう片方は競馬中継を映しだしていた。
 談話室に集まった老人たちは、思い思いのテーブルにつき、自然と二手に分かれて、どちらかのテレビに見入っている。たまに、病室から持参したソバボーロの袋を探る音や、車椅子の車輪の軋む音が響く。
「商売が繁盛するのかな」
 多田啓介は、手みやげのカステラを一口サイズに切り分けながら聞いた。曽根田のばあちゃんは、カステラを虎視眈々と狙っている。多田はテーブルに置いた紙皿に、二切れだけのせてやった。残りはタッパーに詰め、「いっぺんに全部食べちゃだめだよ。おやつの時間に、部屋の仲間と食べること」と言い聞かせる。



以前から三浦しをんさんのお名前を聞く事があったのですが、ソウルのリアル書店では三浦さんの書籍をみかけることはありませんでした。只今、日本語書籍最大取り扱い店のキョウボ文庫カンファムン店が改装工事中なのですが、そこならあったのかな?新しくなれば、もっと日本の小説も入ってくるでしょう。

で、日本に行った時、なんとも独特な表紙に惹かれてこの本を購入。タバコが並んでいるけれど、それがタイトルとどう繋がるのかな?と思いながら読み進め、気がついていたら読み終わり。なるほど、タバコにはこういうつながりがあったのかーと思う次第です。

多田便利軒は、多田啓介が一人でやっているなんでも屋さん。いわゆる便利屋さんです。頼まれれば殺し以外ならなんでもやります。引越の手伝いや、掃除、ゴミ捨て、何でもやる。そんな多田便利軒にやってくる一風変わった依頼には、べったりと人情がはりついています。ある日多田は、ばったり同級生の行天に出会います。学生時代は全く話したこともなく、むしろ多田には行天に対して負い目を感じるような出来事がありました。すっかり変わり果てた行天は、これといって行く当てもない様子。ボロボロの格好をした行天を、多田は便利屋の事務所に泊めてやることにしました。

便利屋の仕事と行天との生活は、多田にいろいろな変化をもたらします。それは書き出し部にある曽根田のばあちゃんが予言したとおり。多田の生活は急に活発になり、一見今までとは違う世界へと歩き始めるように思いますが、どんどんとタフな世界に引きずり込まれていくというお話。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・あとがきにありましたが、関東地区に住んでいる人なら、まほろ市が東京のどの当たりを指しているのかがわかるとか。(恐らく町田というところとありました。)

・バツイチでアラフォーの男二人のなんとも泥臭い小説だったので、三浦さんは男性かと思っていたのですが女性だと知りビックリ。

・今度はエッセイ読んでみたいかも。



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