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2011

03/31

Thu.

22:34:39

さいごの戦い 

Category【児童文学


さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)さいごの戦い―ナルニア国ものがたり〈7〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。


 ナルニア国の終わりごろ、街灯あと野の西のかたはるか遠く、大滝の落ちるあたりに、一ぴきの大毛ザルがいました。サルはたいへんな年よりで、はじめいつごろこの地方にきて住んだかを知る者とてありませんん。ずるがしこいことこの上なく、みにくさもかぎりなく、これ以上のしわだらけはあるまいと思われる、しわしわの毛ザルでした。一本の大木のまたに、木で小さな家をつくり、木の葉で屋根をふいて住んでいました。毛ザルの名は、ヨコシマといいました。この地方の森には、ものいうけものたちも人も小人も、そのほかのナルニア人もたいへん少なく、ヨコシマはただ、トマドイという一頭のロバを友とし、となりづきあいをしていました。サルもロバも、たがいに友だちとはいっているものの、いろいろな点からおして、トマドイは、ヨコシマの友だちというよりは、召使といったほうがいいと、だれでも思うことでしょう。ロバは、なにもかもしてやりました。いっしょに川へいきますと、ヨコシマが大きな皮袋に飲み水をどっさりつめて、トマドイがそれを運んで帰るのです。




ナルニア国シリーズの最終巻です。今回は最終回だけあって、豪華キャストであります。

時代背景は今までの中よりずーっと後の世代になります。王様の名前はチリアン。カスピアンよりも何代も何代も後のことです。

上のサルのヨコシマは今までのナルニア史上で最も悪知恵の働く動物ではないでしょうか。心根のよいロバのトマドイを召使のようにこきつかい、悪知恵の思いつく限りに謳歌してきました。ある日滝の中でなにかが浮いているのを発見したヨコシマは、ロバのトマドイを滝に飛び込ませてそれを拾いあげます。よくよく見ると、その浮いていた物体はライオンの皮でした。

悪知恵のかたまりであるヨコシマは、それをトマドイに着せて、ナルニアの王アスランを装い、人々や動物たちをだましていきます。アスランが偽者であるなんてことがあるはずがない、そう思った動物たちはヨコシマの悪知恵を信じてしまいます。

この物語はどこそこにクリスチャン精神が詰め込まれておりますが、この最終巻はそれが最も色濃く現れていると思います。そして終わりがとても思いがけないメッセージとなっています。

 この本を読んで 

・小さい頃に読んだ時、よくわからないエンディングだなーと思ってました。大人になって読んでも「えー」という気分は変わらなかったです。

・なぜかこの本はいつも春に読みたくなるんですよね。なぜかしら。




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2011

03/30

Wed.

07:22:38

スタイル・ノート 

Category【ファッション


スタイル・ノート (幻冬舎文庫)スタイル・ノート (幻冬舎文庫)
(2010/02)
槇村 さとる

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書き出しをご紹介します。

はじめに

 買い物した後で、
「私、なんでこんな物を買ってしまったのかしら」と、自己嫌悪に陥ったことはありませんか?
 私は二十代、三十代の頃、よくそうした後悔をしていました。
 お金さえ持っていれば、大抵のものは手に入るものです。でも、心は満たされているのでしょうか。
 買い物に限ったことではありません。高いエステに通っていれば間違いないだろう、とか。見た目がよくて、ちょっと言葉の上手な男の人とつきあえば幸せになれるだろう、とか。
 世間一般の価値で自分の人生や幸せが計れてしまうような錯覚。でも、実際には、それは錯覚にすぎないし、私は洋服もお金も仕事もボーイフレンドも、すべてを手にしたつもりでいましたが、心はざらざらに乾いていました。





このところファッション関連の書籍が読みたくなりまして、写真集からエッセイまでいくつかまとめて購入しました。これもその中のひとつ。

槇村さとるさんと言えば、女子なら必読のまんがを世に送り出し続けている漫画家さんです。漫画家さんが漫画ではなくエッセイにてご自身のファッションを語っておられる1冊です。中にイラストが差し込まれてはいますが、絶対的に文章が多いので、槇村さんファンの方、漫画ではないですよ!エッセイですよ!と声を大にしてお伝えしておきます。

文庫化してまだ1年ですが、単行本は2006年に出ています。5年も前ですが、その時旬のファッションを伝えるのではなく、自分がどんなスタイルを持てば日々のファッションを楽しくできるかが語られている本ですから、まったく古さや時代の影響などは受けていません。

槇村さんご自身が40代の頃に書かれた作品で、アラフォー世代にはなにかと納得できる面が多いと思います。こういうことは一度しっかり学んでおくべき!と思えることがいくつかありました。

たとえば健康がおしゃれを引き立てるということ。顔色悪く、猫背ではせっかくのお洋服がいかされないですよね。洋服だけではなく、化粧だって粗が目立ってしまうでしょう。槇村さんはヨガで体を作られている模様。私も何か始めなくちゃと心を入れ替えました。

クローゼット管理も大切です。洋服からアクセサリー、果ては靴までをどのように管理するべきか。それはやっぱり在庫を持ちすぎないということに限るようです。最近「断捨離」という言葉をよく目にします。まさにそれ!たんすの肥やしはいりません。

私にとって衝撃的だったのは、普段着のお話でした。槇村さんは普段着のルールとして「近くの町の百貨店に躊躇なく入れるレベルの格好」を新しい普段着の決まりごととして実践なさいました。たしかに私も家ではジャージと楽な姿でいることが多いわ・・・。女子たるもの、それではなりません。私もぜひこれを実践することにしました。

お金のあるなし、ファッションへの関心度の強弱にかぎらず、人間はやっぱり無駄はできるかぎりそぎ落としたほうがいい。特に客観性の見えにくいファッションでは、ファッションリーダーたちの声に耳を傾けよい情報は自薦してみなくちゃと思う今日この頃です。

単行本でさらっと読めるのでおススメ。

この本を読んで 

・おしゃれな人にはもちろん資質もあると思いますが、おしゃれに見せるう知恵や小技もあるんだなーということがわかりました。

・アラフォー世代、生活にファッションを溶け込ませなくちゃ、ですね。がんばる。



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2011

03/29

Tue.

05:24:05

ブッダ 全12巻 

Category【マンガ


ブッダ全12巻漫画文庫ブッダ全12巻漫画文庫
(2002/11)
手塚 治虫

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ずっと前から「読まねば!」と思いつつもなかなか全巻そろえられずにおりました。
今回、12巻のセットで購入。文庫本サイズですが、12巻が1つのBOXに入れられており、美しいです。

さて、ブッダと言えば、言わずもしれた彼です。



仏像好きにはおなじみのアングルwww

さて、この12巻を読むと仏教の教え、ブッダの生い立ち、インドの文化背景などが学べる他、やっぱり手塚先生は素晴らしいなぁという感動を思う存分味わえ、完読後はなんともいえない清清しさを感じられます。上のBOXに書かれたウサギの絵もそうですが、動物を書いた表紙がこれまた力作です。透明感があるのに、存在感がどっしりとある動物たちの姿は圧巻です。

日本では仏教が割りと日常でぽつぽつ見られますが、それでもなかなかしっかりと理解している人は多くないでしょう。専門にお勉強なさっている方でもなければ、ブッダの出家前の本名だって知らない人も多いはずですし、もしかするとインド人だってことさえ知らない人もいるかもしれない。

私もブッダは生まれて即効すばぬけて悟りに近いところにいたと思っていたのですが、それでもインド国内を行脚し、苦労に苦労の末での悟りだったのかと学びました。ブッダの生い立ちを時系列で学ぶのに、この本の内容はぴったりだと思います。

とにかく『聖☆おにいさん』を読んだ人は絶対読むべき!

 この本を読んで 

・文庫本とは言え、12冊もあると気合を入れて読まねばなりません。私は読むスピードが早い方ではありませんので、2日がかりで読みました。

・さらっと流し読みできるようになるまで読み込みたい漫画です。


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2011

03/28

Mon.

22:28:53

こころげそう 

Category【日本文学


こころげそう (光文社時代小説文庫)こころげそう (光文社時代小説文庫)
(2010/08/10)
畠中 恵

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書き出しをご紹介します。

「女の幽霊が出る?長屋にですか?」
 住まいにしている二階長屋の一階、八畳の居間で、宇多は思わず長火鉢の奥に座る長次に聞き直していた。
 宇多に突然、驚くようなことを言った長次は今年四十二、宇多の親代わりにして、両国橋寄りの内神田辺りを縄張りとする岡っ引きだ。今二十二になる宇多は、長次親分の元で、下っ引きをやっていた。
「ついてはその幽霊の噂を、調べなくっちゃならねえ。今ちっと忙しいからな、宇多、お前に頼もうと思うんだが」
 「調べるのはかまわねえんですが。親分、何で幽霊のことなんぞを……」
 怖がりというわけではないが……断じてそんなことはないが、寺や神社の領分に、岡っ引きがなぜ口を挟むのかと不思議に思う。もし当の幽霊が見つかったとして、その先どうすれば良いのだろう。首を傾げる宇多を見て、長次が苦笑を浮かべ、煙管からぽんと煙草の灰を落とした。



「しゃばけシリーズ」でおなじみの畠中恵さんの作品。

今回はもののけや妖が出てくるお話ではありません。なんと幽霊です。幽霊ですから、いつもの妖のような愛嬌やなんとも憎めないかわいらしさがありません。でも恐れをなすような相手ではない。なぜなら、宇多が長いこと好きだった幼馴染が不意に命を落として幽霊になったからであります。

今回事件を解決するのは、下っ引きの宇多。若旦那でも、商いを営んでいるわけでもない、むしろ問題解決の本職(でも下っ引きだから見習いですね)です。それでもやはり時代小説は人情節が「待ってました!」のメインイベントですから、こちらのお話でも情がぎゅーっと詰められています。

ただ、岡っ引きの出てくるお話にしては、ちょっぴり軽いかな?そして著者のほかの作品に比べると笑いの部分が少ないかな?とちょっと異色感もあったりします。それが逆におもしろいところかもしれません。

 この本を読んで 

・いつもより人間の登場人物が多い分、ドラマ化してもおもしろそう。



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2011

03/25

Fri.

06:57:10

魔術師のおい 

Category【児童文学


魔術師のおい―ナルニア国ものがたり〈6〉 (岩波少年文庫)魔術師のおい―ナルニア国ものがたり〈6〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。

 

この物語は、ずっとむかし、みなさんのおじいさんがまだ子どもだったころのお話です。そしてここには、そもそもわたしたちのこの世界とナルニアの国とのゆききがどんなふうにして始まったかということが書いてありますから、たいへん大事なお話でもあります。
 そのころは、名探偵のシャーロック・ホームズがまだ生きていて、ベーカー街に住んでおりましたし、バスタブル家の子どもたちが、ルウィシャム通りで、宝さがしをしていた時分です。そのころは、男の子ですと、イートン校式のごわごわしたカラーのついた服を毎日着なければなりませんでしたし、学校もいまよりもっといやなところでした。でもごはんは、そのころのほうがおいしかったようです。それにお菓子ときたら、どんなに安くて、おいしかったかは、いわないでおきましょう。よだれを流しても、あげるわけにいきませんから。そしてそのころ、ロンドンの町に、ポリー・プラマーという女の子が住んでいました。ポリーは、何軒もの同じ家が棟つづきにならんでいるタウンハウスの一軒に住んでおりました。ある朝、ポリーが裏庭に出た時、ひとりの男の子がとなりの庭からよじのぼって、塀の上に顔をだしました。ポリーはひどくおどろきました。それまで一度だって、となりの家には子どもがいたためしがなかったからです。ケタリーさんという、どちらも独身の年とった兄と妹が、いっしょにくらしているだけです。ですからポリーは、好奇心がうずうずして、その子を見あげました。その知らない男の子の顔は、すごくよごれていました。そのよごれかげんといったら、まず土をこねくりまわしたあとで、さんざ泣いて、そのあげく、よごれた手で顔をふいたとしても、とてもこれほどにはなるまいと思われるくらいでした。いや、じっさいのところ、この男の子は、それに近いことをしてきたところでした。



ナルニア国シリーズ6冊目です。

ナルニアの時間にすると、シリーズの中でこの本が一番古い時代にあたります。というのも、ナルニアが作られていく姿を書き出しているからです。特徴としては、その様子がまるで聖書に合致しそうな部分がところどころあることでしょうか。

さて、今回人間界からナルニアへ渡ったのは、ポリーとディゴリーです。ディゴリーは、ポリーの隣家であるケタリー家に病気の母とともにやってきた男の子で、ポリーと親しくなってすぐにナルニアへ出向きます。

ナルニアの生い立ちを語るこの本で、どのようにナルニアへ訪れたかといいますと、それはケタリー家の結婚していない叔父にありました。このおじさんは、長い間魔術を研究しており、妖精がいた時代を知る人間としてホコリを持っていました。親戚で妖精の地を惹くおばさんから譲り受けた品々を使って、別世界へ行く方法を模索している最中だったのです。

その叔父のせいというか、おかげというか、ポリーとディゴリーは別世界への道を見つけてしまいます。

 この本を読んで 

・ヨーロッパの子供達がどのようにして、聖書の背景を学んでいくかを感じられるようなお話です。彼らにとっては違和感のない新世界の誕生なんだと思います。

・ディゴリーだったのか!という関連性も面白いところ。


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2011

03/24

Thu.

21:31:14

ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい! 

Category【自己啓発


ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!ライフネット生命社長の常識破りの思考法 ビジネスマンは「旅」と「読書」で学びなさい!
(2010/12/23)
出口 治明

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書き出しをご紹介します。

日本人は「国際的非常識人」
1 メディアの報道をうのみにする日本人

 いまの日本は八方塞がりのどん詰まり状態だ、と言う人たちがたくさんいます。かつての日本に比べて政治、経済のレベルが下がり、市民生活はすっかり活気を失って、嫌な事件の話ばかりが聞こえてくるというのです。
 ビジネスの世界でも、後ろ向きの話題には事欠きません。「リーマン・ショック以降は……」にはじまり、円高株安、デフレ、就職難、といった不景気な話を聞かされます。そして最後には、暗い表情で「これからどうしていいかわからない」という悩みに落ち込みます。
 私にはそんな悩みが無意味に思えてしかたがありません。その人たちの暗い気分をあおっている話の中身がそもそも信頼できないのです。



「旅」と「読書」と好物が二つも乗っかっている。これは読まねばと購入した本です。

旅行は好きでも、経済的、時間的理由からなかなか気軽に旅に出ることはできなくなりました。しかも主婦のみなさんなら、夫子供(時にはそこにプラスして舅姑まで)を放って旅に出るなんてもってのほか。私の場合は夫一人ですが、それでも足が遠のくのは事実です。

さて、この本では旅と読書から自分の考えの素となる知識の構築をはかりなさい、というもの。上の書き出し部にあるように、テレビや新聞などの知識を鵜呑みにするのは危険です。それよりも、その報道内容を判断する知識を読書などで鍛えましょう。そしてその知識を補強、確認すべく旅にです。実際に知りえた情報が本当なのか、旅先で見えてくるものをデーターとして追加する。

つまり、今、私達は自分の頭を有効に使っていないということになります。出てきた情報を「ああ、そういうものなんかー」と確かめずに飲み込んじゃう。それではいけないということがこの本を読んでいるうちにわかってきます。それが「常識」と「非常識」の例に集約されているのです。

国や年代など、所属しているコミュニティーが違えば、そこで生じる「常識」は違ってきます。私は韓国に住んで、日本の常識が全く通用しないことに最初は苛立ちを感じました。特にマナーに関することでは「なんて失礼な人たちなんだ!」と毎日のようにイライラしていました。でも、これだけ近い日本と韓国でも、やはり「常識」は異なるのです。例えば、日本のようにお茶碗を持って食事をすることは、韓国では「非常識」です。年上の人の前でたばこを吸うことも「非常識」。それを体感してこそ、学びが生まれ、知識が積載されます。

小さなことですが、実際に体験して知りえた事柄は長く心に、頭に残ります。それゆえ旅に知的興奮を感じるのかもしれません。旅もこれからは自己投資の一環として捉える必要がありそう。

 この本を読んで 

・読書で得られる知識も、自分の目で見たり体感するなどしない限り、誰かから聞いた伝聞に過ぎません。せっかく知った知識です。自分の体に刻み付けたいもの。今年は旅行の機会を増やしたいなぁ。

・しかし、旅行に行くにも見極める目が必要です。それにはある程度の知識がなくてはいけない。読書と旅は連動性を持っていなくちゃなりませんね。


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2011

03/23

Wed.

23:12:17

馬と少年 

Category【児童文学


馬と少年―ナルニア国ものがたり〈5〉 (岩波少年文庫)馬と少年―ナルニア国ものがたり〈5〉 (岩波少年文庫)
(2000/11/17)
C.S. ルイス

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書き出しをご紹介します。

 これからお話しするのは、ピーターがナルニア国の一の王で、その弟とふたりの妹も、それにつづく王、女王だった黄金時代に、ナルニアとカロールメンの二つの国と、そのあいだにはさまれた地方でおこった、ある冒険の物語です。
 そのころ、カロールメンのはるか南にある小さな入江のほとりに、アルシーシュという貧しい漁師が、ひとりの少年といっしょに住んでいました。少年の名は、シャスタといい、アルシーシュを父と呼んでいました。ふだん、アルシーシュは、朝から小舟に乗って、魚つりにいき、午後になると、ロバに荷車をつけ、魚を積んで、一キロばかり南の方の村へ魚を売りに出かけました。魚がよく売れれば、すっかりいいごきげんになって帰ってきて、シャスタになにもいいませんでしたが、売れゆきがわるいと、なにかとシャスタのあらをさがしだして、あげくのはてにはなぐるというしまつでした。なにしろシャスタのあらをみつけるには、ことかきません。とにかく、魚の網のつくろいやら洗濯やら、夕飯の支度やら、ふたりの住んでいる小屋の掃除まで、シャスタの仕事は山ほどあったからです。



ナルニア国シリーズの5冊目。

今回は人間界の人々が主人公ではありません。ナルニアの隣の国カロールメンに住む少年、シャスタが主人公。ヨーロッパがナルニアならば、カロールメンはまるでアフリカのような特徴を持っています。肌が褐色の人々が住み、独特な文化を持ち、いろいろな人種や部族がある上に、家族が大きい。

シャスタは漁夫に拾われて、それからずっと田舎の漁村で暮らしていました。ある時、漁夫の家に泊り客が現れます。実はシャスタはカロールメンの多くの人のように褐色の肌を持つものではなく、白い肌を持つ男の子でした。その客はシャスタを見て、「奴隷としてシャスタを買いたい」と父に申し出ます。父との生活より、裕福に見えた泊り客との生活のほうが素晴らしいものに感じたシャスタは、客が乗ってきた馬に話しかけました。

ナルニアでは動物が口をきくのは普通のことです。しかしカロールメンではそうでありませんでした。なんと客の馬が、唐突に人間の言葉を話したのです。馬はおさない頃にカロールメンに売られたそうで、今まではずっと他の馬と同様に物を言わない馬のフリをして暮らしていたのでした。ナルニアに帰りたいと思っていた馬は、シャスタに一緒に逃げようと問いかけます。そこからシャスタの旅は始まるのでした。

時代はちょうどルーシーたちがナルニアを管理していたころですから、1巻目と同じ時期です。アスランの登場も少なく、今までとはちょっと違った作品。

 この本を読んで 

・ナルニアが舞台ではないせいか、ちょっと新鮮な印象です。






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2011

03/22

Tue.

21:40:54

孤独のグルメ 

Category【マンガ


孤独のグルメ (扶桑社文庫)孤独のグルメ (扶桑社文庫)
(2000/02)
久住 昌之、谷口 ジロー 他

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よくやく買いました。

食事関連の本を読むと、突然何かを作りたくなったり、登場したものを片っ端から食べたくなるなど、いろんな後遺症が出てきます。で、この本。これはね、海外で読むには酷です。特に主食がお米ではないエリアの方。滞在国のお国料理が日本とは異なる調味料や香辛料がじゃんじゃんと「これでもか!」なほどに入っているという方。宗教の関連で食事の規制が多い地域の方。大根、ごぼう、かぶ、長ネギなど、日本なら普通に売っている食材が全く地元のスーパーでは手に入らない方。触れるな、危険の領域です。

何が孤独かといいますと、妙齢のリーマンが一人でお食事をしているのが孤独ということなんだと思います。でも、この主人公はお一人様を大いに満喫しているようにも見える。

この文庫本版には18のエピソードが収められています。たとえば「東京都○○区の△△」のように、地域名と料理名が出ているんですけれど、殆どが東京都内ですので「次行くときは絶対食う!」と強い決意がみなぎってきます。

私が「絶対食う」なものは、浅草の豆かん!なにこれ、実在しちゃうの!?どうなの?と一人興奮しながら読みました。和スイーツが懐かしいと思う昨今、うまい餡子やうまい豆が妙に懐かしい。

他にも実在のお店がいくつかあるようですので、東京行くにはガイドブックがわりに使わせて頂こうと決意であります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・やはり人気本は便利です。「孤独のグルメ」のキーワードに地域名と食事名を入れると、ずらーっとお店情報が出てきました。中にはお店の写真やメニューやそのお食事そのものまでうpされている。うう、やっぱりおいしそう!とうずうずです。


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2011

03/21

Mon.

21:48:20

銀のいす 

Category【児童文学


銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)銀のいす―ナルニア国ものがたり〈4〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
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書き出しをご紹介します。

 あるどんよりした秋の日、ジル・ポールは体育館の裏手で、泣いていました。
 ジルが泣いていたのは、あの子たちが、いじめたからです。ですが、このお話は、学校の小説のつもりではないので、ジルの学校についてはあまり楽しくもありませんし、できるだけふれないでおきます。その学校は、男女共学で、そのころの世間では「まぜこぜ学校」といったものですが、そんな学校をやってる人たちの心のほうが、ずっと「まぜこぜ」だという人もいます。こういう人たちの考えは、男の子にも女の子にも、やりたいことをすきかってにやらせておこうというのです。ところが悪いことに、いちばん大きい学年の男の子や女の子たちのうちで、十人か十五人ぐらいは、ほかの者をいじめるのがすきな者がいます。ふつうの学校でのことなら、すぐ見つかって、その学期のうちにたちまちとめられてしまうようなひどいこと、おそろしいことがらが、ここでは、禁じられていません。そんなことがもし見つかった場合でも、それをした者たちは、放校になったり、罰せられたりすることがありません。校長は、そういう事件は生徒の心をしらべるのにおもしろいことだといって、その子たちを呼んで、何時間も話しあうしまつです。そんなとき、校長にうまいことがいえるようでしたら、かえってお気に入りになるというものです。
 そんなわけで、ジル・ポールは、どんよりした秋の日に、体育館のうらと庭木のしげみのあいだに通っている、じめじめした小道で泣いていました。また泣き止まないうちに、ひとりの男の子が、体育館のかどをまがって、ポケットに両手をつっこんで口笛を吹きながら、やってきました。その子は、もうすこしでジルにぶつかるところでした。



ナルニア国シリーズ、4冊目です。

今回の主人公は、ナルニアを見つけたルーシーのいとこで、『カスピアン王子のつのぶえ』でルーシーやエドマンドと共に東の海を渡ったいとこのユースチスが主人公になっています。

ユースチスの学校はなんとも自由奔放すぎて、学校側は生徒の管理をしていない。ゆえ、いじめが生じているようです。もう一人の主人公のジルも、いじめにあっている一人。ある日学校裏で泣いているところを、ユースチスに出会います。

ユースチスはジルを慰めるために、秘密と前置きしてから自分が経験したナルニアの話をしてみました。最初は眉唾だと思ったジルも、だんだんとユースチスの話に引き込まれます。それが鍵となってか、ジルはアスランの姿を見、ナルニアに引き込まれます。

今回のナルニアは、カスピアン王子がすでに王となり、ナルニアを統治している晩年のお話です。カスピアンは東の海から戻り、その時に出会った娘と結婚して一男をもうけるのですが、その王子が魔女に連れ去れてしまい長い間行方不明となっていました。ジルとユースチスは、アスランからその王子を探し出すように命令されます。

二人はふくろうの手助けを借り、どうにかお城から出発して王子探しを始めます。途中、彼らは広大な沼を渡らなければならないことを知ります。その案内人としてであったのが、泥足にがえもんです。このにがえもんは沼人で、とても背が高くてやせており、つねに悲壮感のありそうな言葉をなげかけてきますが、非常に温かい心の持ち主です。にがえもんと共に、二人は王子を探しに出るお話です。

 この本を読んで 

・ナルニア国シリーズの中で、私はこのにがえもんのキャラクターが一番好きなんですが、読むたびに『オズの魔法使い』に出てきそうなキャラだなーと思います。


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2011

03/18

Fri.

23:24:35

朝びらき丸東の海へ 

Category【児童文学


朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)朝びらき丸東の海へ―ナルニア国ものがたり〈3〉 (岩波少年文庫)
(2000/06/16)
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書き出しをご紹介します。

1 寝室の絵

 いまからすこしむかし、ユースチス・クラレンス・スクラブという男の子がいました。へんな名前でしょう?ところがその男の子がまた、その名前にふさわしい、へんな子だったのです。おとうさんとおかあさんは、その子を、ユースチス・クラレンスとよび、学校の先生たちは、スクラブくんとよびました。友だちの間で、なんとよんでいたかはわかりません。友だちがいなかったからです。その子は、おとうさんおかあさんを、とうさんとか、かあさんとかよばないで、ハラルドとか、アルバータとかいいました。つまりこの両親は、たいへん現代的で、進歩的な人たちだったのです。肉のかわりに野菜を食べることをたてまえにし、タバコと酒を目のかたきにして禁酒禁煙をちかい、とくべつな下着をつけ、家具はほとんどそなえつけず、寝る時には、ふとんを少ししかかけず、窓をいつもあけはなしておく、というふうでした。
 ユースチス・クラレンスは、動物ずきで、とくにカブト虫が大すきですが、ただし、それが死んでいて、てんし板にピンでさしてある場合でした。また本もすきでしたが、それも知識の本や参考書で、穀物倉庫の絵や模範学校でふとった外国の子どもたちが体操をしている絵などがあるものにかぎりました。



ナルニア国物語の3冊目に当たります。

このお話は時代背景が行き来するのが特徴です。しかし行き来するのは、別世界にあるナルニアの歴史のみで、登場するイギリスの子供達は徐々に大人へと成長していきます。ナルニア国の時間の流れは、地球でのそれとは異なり、地球の数分が数年に匹敵してしまうことすらある。

3冊目までの時間の流れを簡単に説明しますと、1冊目で兄弟姉妹がナルニアを発見。ナルニアの王となる。2冊目では、再びナルニアに戻った兄弟姉妹ですが、時は王であった頃からさらに300年ほど経った頃でした。その時の王子、カスピアンがナルニアを復活させるのを手伝います。そしてこの3冊目では、そのカスピアンがいなくなった国民を探しに東の海へ乗り出した航海のおはなしです。

2冊目までは4兄弟がすべて登場していましたが、上の二人は十分大人になってしまい、この作品では下の二人(エドマンドとルーシー)が再びナルニアを訪れます。今回は書き出し部に登場するユースチスがナルニア行きの鍵を握っています。二人がいとこであるユースチスの家に預けられます。そこで見つけた絵が、突然現実のものとなる。その絵とは、海を渡る船の絵でした。

もちろんいとこのユースチスにとっては初めてのナルニアですし、カスピアン王に会うのも初めてのこと。ひねくれた心を持つユースチスが、ナルニアでの正義の航海により心豊かになる姿が感動的です。

 この本を読んで 

・映画化されましたね。このシリーズは一番映像にしても見ごたえがあるように思います。

・海を渡るあたり、なんともイギリスの児童文学だなーという気になります。


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2011

03/17

Thu.

21:06:10

ホルモー六景 

Category【日本文学


ホルモー六景 (角川文庫)ホルモー六景 (角川文庫)
(2010/11/25)
万城目 学

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書き出しをご紹介します。


プロローグ

 湯気に煽られ、かつお節が踊るきしめんと、ライス小。
 いつものメニューをトレーにのせ、窓際の席に腰を下ろすと、目の前にはネギトロ丼にヨーグルト、黄金色の大学イモという豪勢極まりないメニューが並んでいた。
「ずいぶんリッチですな、高村くん」
 正面の席に座る色白で小作りな顔をした男は、「祭りですから」とよくわからぬ受け答えとともに、
「大学イモ、一つあげるよ」
 と小鉢を箸の先で示した。
「イモよりも、俺はネギトロ丼のネギトロが欲しい」
「嫌だよ」
 にべもない返事をき寄越して、高村はわさびを溶いた小皿の醤油を几帳面に丼全体にまぶし、「いただきます」と手を合わせた。
「昨日、実家の母親から電話がかかってきた」
「おお、御母堂さまはお元気か?この前、お裾分けしてもらった錦松梅、たいへんおいしゅうございました、とお伝えください」
 お裾分けした覚えなんかない。安部が勝手にダンボールから持っていったんだろ、という棘のある言葉に、そうだったかな?と俺はきしめんをふうふうしてすする。



あの、最初から最後まで大爆笑で読み終えた『鴨川ホルモー』の続編。


鴨川ホルモー (角川文庫)鴨川ホルモー (角川文庫)
(2009/02/25)
万城目 学

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ホルモーとは、京都の大学生のごく少数の人数で繰り広げられている謎の競技の名であります。一般には目に見えない小鬼を、よほど人間の言葉からは遠く離れた小鬼の言葉をたくみに操り、一人100匹の鬼を戦わせるという恐怖の対抗ゲームです。ホルモーは、自分の手持ちの小鬼が全滅した時、どういうわけだか体の奥底から謎の力に引き出されるように「ホルモォォォォォー」と叫んでしまう。叫んでしまうのも随分恥ずかしいのですが、その上身になにかが降りかかるというおまけつき。確かに恐怖の競技です。

『鴨川ホルモー』では、京都大学に通う主人公の安部が、どのような経緯でホルモーに参加し、操るようになるのかが詳しく語られており、こちらの『ホルモー六景』は、ホルモーに関わった人間のホルモー模様が6話納められています。

この本を読んで分かること。それはホルモーは一生モノだということです。一度ホルモーに出会ってしまうと、一生あなたからホルモーは離れない。小鬼は後輩に引き継げても、頭の中からホルモーの不思議は離れないのです。

しかし、よくこんなこと考えるよねーと笑いながらもこうしてホルモーの続きが読みたくなるのは、やはりこれもホルモーの小鬼がなせる業なのでしょうか。うむ。

 この本を読んで 

・前作はホルモーのあまりの異型さに度肝を抜かれっぱなしでしたが、この作品は青春の酸いや甘いが盛り込められており、青春とはこういうものだと一人満足しておりました。

・やはりホルモーみたいなことも有り得そうに見えてくるのが古都京都の魅力ですね。札幌だとこれは絶対にかなわない。



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2011

03/16

Wed.

13:23:32

天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 

Category【マンガ


天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Blue Side (講談社文庫 や 64-1)天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Blue Side (講談社文庫 や 64-1)
(2010/09/15)
山下 和美

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天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Red Side (講談社文庫 や 64-2)天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Red Side (講談社文庫 や 64-2)
(2010/09/15)
山下 和美

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天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Green Side (講談社文庫 や 64-3)天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Green Side (講談社文庫 や 64-3)
(2011/02/15)
山下 和美

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天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Orange Side (講談社文庫 や 64-4)天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Orange Side (講談社文庫 や 64-4)
(2011/02/15)
山下 和美

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一気に4冊届いたので、まとめてUPします。

モーニングに掲載中の『天才 柳沢教授の生活』、現在30巻まで出ているんですねぇ。

北海道出身の山下和美さんが昔から大好きでした。マーガレット=少女マンガの頂点=山下和美先生、というのが私のデフォだったある日、青年誌のモーニングにこの『天才 柳沢教授の生活』の連載が始まった時のショックたるや、捨て子になってしまったような気分でありました。ああ、先生!少女を見捨てるのですか!と思いましたが、少女マンガ特有のLOVEやキラキラな世界が縮小した分、かえって面白さが増したような気がして、「さすが先生!少年、青年までをもとりこに!」と小躍りしたものです。

その頃には私も少し大人になってまして、身近にまさに柳沢教授のように実直で趣味が研究というような教授がいらっしゃりで、すっかり柳沢教授ファンに。単行本も20巻くらいまでは揃えてあり(その後海外に出ちゃったんで)、今も恐らく実家の本棚にあるか弟のところに置いてあるはずです。

で、そのベスト盤があるというじゃあないですか。柳沢教授シリーズは30巻のうち、登場人物の概略さえわかれば、どこから読んでも楽しめます。ですので、このベスト盤はその中でも「おいしい」部分が詰め込まれているはず。読んでみると、案の定、笑い感動の渦でした。

1冊に10篇ほどのお話がつめられてますので、4冊で40のお話を読んだことになります。でも、これを読むと1巻から読みたい衝動に駆られるはず。私も思わず電子書籍の在庫がないか探してしまいました。(こちらで発見)

他の作品、読みたくなります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・柳沢教授の生活を見ていると、なぜかモチベーションあがります。研究って楽しいんだ!勉強って楽しいんだ!っていう気分になるからかしら。

・そして読むたびにお世話になった恩師を思い出さずにはいられません。


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2011

03/15

Tue.

22:52:15

なんて素敵にジャパネスク 〈8〉 炎上編 

Category【日本文学


なんて素敵にジャパネスク 〈8〉 炎上編 (コバルト文庫)なんて素敵にジャパネスク 〈8〉 炎上編 (コバルト文庫)
(1999/10/01)
氷室 冴子

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書き出しをご紹介します。

 

いつのまにか、季節はゆっくりと動き、ふっと秋風が立つような夕刻。
 しみじみと庭先を眺めているあたしの耳に、ついさっき、参内から戻ってきた父さまのすすり泣きの声が聞こえてくる。
「ほんとうに、今度という今度は、おまえを見限りましたぞ、瑠璃やっ!」
 そういったまま、ほろほろと涙を流している。
 その涙を、袖で押しぬぐいつつ、
「後宮で発病して、万が一にも大病であっては、高貴なみなさまがたに、おうつしすることになる、と。そう考えて、後宮を抜け出したのは、まだ、よろしい。しかしなぜ、ちゃんと大皇の宮さまにだけでも、お伝えしなかったのか」
 といって、またまた口ごもり、はらはらと泣きだす。
 父さまに寄りそっていた母上が、ぐいと膝をすすめてきた。
「いいえ、ここはやはり、瑠璃さまを褒めてさしあげるべきなのですわ。後宮のみなさまにご迷惑をかけないよう配慮なさったのは、ごりっぱではありませんか。万が一にも、流行病などであっては、申しわけも立たないところでしたわ」
「しかし、そのまま、どこにも連絡をよこさぬbsかりに、この大騒ぎ。わしの立つ瀬がないえではないか」
「そ、それはそうですけれど……」



ジャパネスク、これがとうとう最終巻です。

小娘だった瑠璃姫が、幼馴染の高彬とどうにかこうにか結婚し、新婚生活に突入したかと思えばまた騒ぎ。初恋の人、吉野君にも再会したのはよいけれど、今はまた行方知らずに。最終章では今上の鷹男にそっくりな師の宮から攻撃をうけた瑠璃姫が、ついに師の宮の陰謀の真の理由をあばきます。

吉野君の巻でも涙しましたが、この最終章も負けないほどに涙を誘うお話でありました。高彬の妹、由良姫の気丈な様子もたのもしいのですが、最後の最後には彼女の心意気に涙!煌姫の超リアリストっぷりは変わりませんが、今であ頼りになる瑠璃姫の片棒です。

私がこのシリーズを始めて読んだのは、確か高校生とか大学生とかの頃と思いますが、読後に氷室冴子先生の本を図書館で探し回った記憶があります。ああ、また読みたいなー。氷室先生の本の中では、私はこのジャパネスクシリーズが一番好きかもしれません。

それにしても瑠璃姫。もっといろんなエピソードが読みたかったなぁ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・学生当時、ジャパネスクを読んでわかったことは、今まで「歴史」としてみていた時代劇なり時代小説が、むしろファンタジーに近いんじゃない?ということでした。学生の私には、これはちょっとした発見に思えたものですが、今となってはその気づきこそがその後歴史を楽しめるようになったキッカケだったのではと思います。

・それにしても、もう30年ちかく前のお話ですよ。それが今でもこんなに面白いなんて。やはり氷室先生は偉大な小説家です。


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2011

03/14

Mon.

20:25:36

パリ流おしゃれアレンジ!2  大人可愛く着こなす41の魔法 

Category【ファッション


パリ流おしゃれアレンジ!2 (大人可愛く着こなす41の魔法)パリ流おしゃれアレンジ!2 (大人可愛く着こなす41の魔法)
(2010/12/01)
米澤よう子

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書き出しをご紹介します。


この『パリ流 おしゃれアレンジ!2』のタイトルを初めて目にする方へ―
パリジェンヌってなんだか特別な感じがしませんか?
プライドが高そうで、近寄りがたい…。私もそう思っていました。
私は2004年から2008年まで、パリに暮らす機会を得ました。一見普通なのに
すごくおしゃれなパリジェンヌの姿に魅了され、約4年間せっせと日本とフランスを
往復して、彼女達を徹底的にスケッチし、調べ、交流し、追跡しました。
その結果、とっつきにくいという先入観が払拭され、
真剣に毎日を過ごす彼女たちに親近感を覚えました。
日々、学校や職場に通い、女性として、妻や母として…、いろんな役目を
果たしているのは私たちと一緒。そう思うと、彼女たちの価値観を理解し、
私たちが参考にできることもあるのではないかと気づいたのです。
必要以上にものを持たず、シンプルなおしゃれを“自分らしく”楽しんでいるパリジェンヌ。



『パリ流 おしゃれアレンジ! 自分らしく着こなす41の魔法』の続編。

今まで雑誌以外のファッション本を読んだのはスーパーモデル(ヘレナ・クリスチャンセンが大好きなので)系の書籍だけでした。ところが米澤よう子さんの書籍は、続編が出た!と聞いた途端にネット書店に駆けつけたほどのお気に入り。ファッションにしても、メイクにしても、今までは絵より写真の方が読み手にすんなり伝わりやすいと思っていました。実際に自分が試している姿が想像しやすいというのでしょうか。色のバランスなり、着丈なり、モデルさんの写真をみながらあれこれファッション妄想してました。

ところが、米澤さんの本に出会ってからというもの、雑誌写真はあくまでも参考程度。イラストの方がわかりやすいじゃん!というのも、スタイル抜群、人間離れした美しさとプロポーションを持つモデルさんをまねしても、庶民の私にはぴったり来ないものがいくつもありました。米澤さんの本を読み、そのぴったり来なかった理由がなんだったのか、俄然見えてきたように思います。

続編の今回は、基本として抑えておくべき部分のおさらいのほか、各季節の装いなどが新しいイラストで紹介されています。中に白いシャツの着まわし風景があるのですが、これを見ていてオードリー・ヘップバーンを思い出しました。たしか駆け出しでお金の中った時代、毎日同じ服を着ていたんだけれど、小物で工夫し周囲に「同じ服」の印象を与えなかったというエピソードを読んだ記憶が。この本でも1枚の白シャツがさまざまと見た目を変える技が紹介されています。

ファッション本、米澤さんの本は手放せません。暇があればぱらぱらと見ています。2冊目も絶賛おススメです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・悲しいことに、われわれ東洋人が白人スーパーモデルの真似事をしてもパーフェクトに「似合う!」とはなりません。青い目だったり、小麦色の肌だったり、1メートル以上の細長い足だったり、漆黒のベールのようななめらかな肌だったり、やっぱり私達は洋服の産みの国の人たちのようには着こなせてない。着物を脱いで、下駄を脱いでまだ1世紀ですからね。それは仕方のないこと。

・ですから、あふれんばかりのお金があって、そっくりそのまま欧米ブランドのモデルさんの衣装を身につけても、どうしようもないんです。おしゃれとはいえない。でも、欧米のおしゃれを活かしたいという気持ちはだれにでもあるはず。私はこの本でアジア人に似合う、アジア人らしいシックが何かがわかりました。それが返ってオリジナリティとなってよいかも、とすら思います。

・カバンの大きさから持ち手の長さまで、何が似合うのかは一般の人にはわかりにくいものです。というより、それをチェックする視点を持っていなかった。この本を読んで、何に注目すべきかがわかったことから、無駄なショッピングも減りました。一石百鳥な一冊ですよ。



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2011

03/11

Fri.

10:45:10

なんて素敵にジャパネスク 〈7〉 逆襲編 

Category【日本文学


なんて素敵にジャパネスク 〈7〉 逆襲編 (コバルト文庫)なんて素敵にジャパネスク 〈7〉 逆襲編 (コバルト文庫)
(1999/10/10)
氷室 冴子

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書き出しをご紹介します。

 

ふっと気がついたとき、あたしは宙に浮いていた。あたりは、一面の暗闇だった。
 やがて、どんどん地の底に落ちてゆくような、スーッと肌ざむい感じがして、ハッとして意識をとりもどした、そのとき。
 目のまえには、暗闇にぬらぬらと光る水が―つまり川面があったのだ!
「うそでしょーっ!」
 叫び声があたりに響きわたり、それはまぎれもなく、あたしの声だった。叫んだ一瞬後には、全身がなにか固いものに叩きつけられたようだった。
(ざっぱーん)
 という、まるで庭石が池に落ちたような、すさまじい音が、耳元でとび散った。
 その瞬間は、なにがなんだか、ボーゼンの境地だった。
 そりゃ、そうでしょう。
 気がついたら、川に落ちる寸前で、われに返った一瞬後には、川に頭から突っ込んでいたなんて、長い人生でも、めったにない経験ではあった。



先回で、瑠璃姫は師の宮の陰謀でさらわれてしまいます。牛車でさらわれたはずだったのに、気づいたら川に放られていた!わんぱく、おてんば、無鉄砲そのままの瑠璃姫もビックリな展開です。

ここでどうでもよい話なんですが、あの当時の女性が貴族衣装のまま川に飛び込んだら、生き残る確率は非常に低かったのではないでしょうか。布を何枚も重ね着している上に、腰より長い髪ですよ。水を含んで相当重いに違いない。さすがに瑠璃姫はその辺のことがしっかりとわかっていて、川に流されながらも重い衣装をそぎ落としていきます。

7巻目はあともう少しで最終章ということもあり、大きな展開のある場です。師の宮の陰謀にはいったいどんな展開が待っているのかハラハラして読んでいる間に、すぐに「つづく」の文字が出てきます。200ページもない作品ですので、本当にあっという間です。

この作品で一番感動的なのは煌姫と瑠璃姫の一風変わった友情ではないでしょうか。超リアリストな煌姫だけに、瑠璃姫を思う気持ちも独特なのですが、それでも他人を思いやる気持ちや友情はかけがえのないものです。

ところで、瑠璃姫は後宮に忍び込み、女御さまのために夜中こっそり宮を抜け出しまして、そのまま川へどぼんと落ちてしまいます。その後の後宮も瑠璃姫失踪にて大騒ぎ。最終章が楽しみ。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・ストーリーがおもしろいからこそ、なおさらなんですが、ジャパネスクシリーズは本当にあっという間に読み終えてしまい、次!次!と続きが読みたくなってしまいます。

・その点、マンガ版はどんな感じなんでしょうか。私は文字を読みながら妄想するほうが楽しめるタイプですので、はらはらが最高潮になって「つづく」な感じがこれまたたまりません。



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2011

03/10

Thu.

22:43:41

バガージマヌパナス―わが島のはなし 

Category【日本文学


バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
(1998/12)
池上 永一

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書き出しをご紹介します。

 

暖かな風は、はるか南西から吹いてくる。耳を澄ませば三線の音がきこえた。どこで何が起ころうと、この島の美しさはかわらない。そこに島人たちが住んでいるかぎり。

 白い砂の道沿いにある、石垣の上の大きなガジュマルの樹の木陰で、もう三十分も彼女は座り続けている。
 島に絶えず吹く潮の香りをたっぷりと含んだ海風に、彼女は豊かな髪を靡かせている。赤く小さなかたちのよい唇から、奥歯をのぞかせて、ポカンと口を開けていた。さっきからずっと、深く青い空を眺めている。彼女は目を細めた。
 紺色で産みとつながった空に雲が欲しかった。彼女はポケットから煙草を取り出して、フウと煙の糸を空に預けた。しかし彼女がどれほど多くの煙をつくろうと、はかない白雲が海の色より濃いこの島の空を薄めることなどできはしなかった。
 彼女はもう一本の煙草を取り出すと、あきらめたように肺を黒く染めはじめた。ジリリと煙草の炎が大きな呼吸にあわせて赤く萌え、白煙となって彼女の喉を通っていった。照りつける真夏の太陽が、籠を頭の上に載せて荷物を運ぶ島のオバァたちの足を、ゆらゆらと陽炎のように揺らした。そんな彼女たちを太陽がますます強い光で射し、大地に黒い影を焦げつかせる。



沖縄を舞台にした、池上永一さんの作品。
『風車祭』を読み、沖縄独特の文化世界に魅了されてしまいました。

『風車祭』同様、この作品でも沖縄のオバァが登場し、マブイだのユタだの、人の世界とは異なるいわゆるあの世との行き来も登場します。

主人公の綾乃はごく普通とは決して言えない女子高生。学校が嫌いだし、どちらかというと世の中のきまりごとに全力でもって対抗するような娘です。学校に行かない、というかなじめないから、友達も殆どいない。親友はなんと86歳で近所に住むオバァ一人。相当な年齢差でありながらも、なぜか微妙なバランスで友情を築いている二人の姿には清々しささえ感じられます。できれば私も年の離れた友達が欲しいわ、と思いたくなるような世界です。

綾乃が人と仲良くなれないのは、おそらく小さい時から「見えてしまう」体質だったからでしょう。予知能力のようなものを持っていた綾乃ですが、大人になるにつれて意思の力でその怖い予言を見ないようにしていました。ところがある日、夢の中で「ユタ(巫女)になれ」と言われる。これは一種のお告げで、断ることなんてできないんだそうです。なのに綾乃は断った!ワジワジーッ(不愉快だわ)と、これまた全身で断った。すると神の予言を逆らうわけですから、当然綾乃の身に不運が訪れます。

ところで、沖縄の島々にはそれぞれに巫女がおり、聖地にて祈りを捧げているんだそうです。聖地を守る巫女もいれば、地域の祠や地域の先祖に祈りを捧げる巫女もいる。綾乃はこの地域を見るユタ(巫女)になれといわれているのですが、ユタも勢力があるんでしょうね。新入りの存在を心よく思わないユタもいたりで、やっぱりワジワジーッ生活が待っています。

沖縄の異文化世界を垣間見ているだけでも、その豊かな空気に触れたような気になりました。そして人と魂の触れ合に涙しつつ、海と山に囲まれながら穏やかに暮らしていきたいなーと、しばしぼんやりと考えこんでしまうことも。

ファンタジーノベル大賞受賞作だけあり、心がファンタジーの世界(この場合は沖縄ですね)に飛んで行きそうになりました。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・NHKの「ちゅらさん」が大人気だった頃から考えてみると、人々が沖縄の話を求める理由は、その人情にあるのではないかと思います。人は寂しいのが嫌いなのかもしれません、芯のところでは。個人主義の快適さ満喫しながらも、人と繋がっていたい気持ちがどこかにあるのかも。だからこそ、家族全体、ご近所一帯でお付き合いをしているような沖縄の生活に癒しを感じるのかもしれませんね。

・綾乃みたいな子がまわりにいたら、本当にビックリ以外の何ものでもありません。ただ、純粋ゆえ、周りに合わせられないんだろうな。適当に周囲に溶け込むことがよいのかしら?と逆に考えてしまったほどえす。

・とにかく、沖縄の自然に溢れる情景が目に浮かぶ作品でした。石垣島、行ってみたいなぁ。


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2011

03/09

Wed.

22:56:02

The Sartorialist 

Category【洋書


The SartorialistThe Sartorialist
(2009/08)
Scott Schuman

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書き出しをご紹介します。

The Sartorialist, at its core, is about fashion, but I don't often think of ‘fashion’when I look at my photos.

I have been sharing photos with my audience on a daily basis for the past four years, and over the course of that time I have begun to see my images more as a social document celebrating self-expression than as catalogue for skirt lengths or heel heights.

The comments on The Sartrialist website make the blog a living fabric. The audience interaction made me realize the variety of interpretations the same look can provoke. I might be totally entranced by a young lady's hairstyle, while someone else won't be able to stop looking at her flipflops.



世界中で大人気のファッションブログ“The Sartorialist”の書籍版。この本を見ているだけで、ファッションが学べるような気分になります。とにかく男性がみんなかっこいい。普通の人だったり、モデルさんだったりも登場しますが、街で撮ったほんとーに普通の道行く人のスナップが「なんだ、これは!」と想像を絶するかっこよさ。素人なのにモデルさんを思わせる美しさに圧倒されます。

日本のモデルさんで海外でも活躍なさっている富永愛さんの1枚もありました。

人種に限らず、性別に限らず、年齢に限らず、ファッションは想像力に密接に繋がっているように思います。似合う、似合わないのカテゴライズもとっても精緻なようでいて実は大雑把。ちょっとの違いが絶妙なバランスを生むのがいいんですよねー

この頃、生活に余裕がないにもかかわらず、ファッションに関心が高まっております。この本を見て、世界の最先端でファッションに接する人の目線が感じられたような気がする。

で、ブログとこの本をちょくちょく見るようになって思うのは、マイケルのファッションって舞台そのもの。彼のステージライフそのものでしたよね。ああ、マイケル!!!

とにかく!ブログ同様、愛読書です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・洋書ですので、書き出し部などは英語でそのまま載せてます。私の下手な訳よりは本文のほうがいいですよね?

・しかし本文中は写真が中心ですので、文章はほとんどありません。507ページもの大ボリュームですが、ずっしりとした重さの中には何枚ものお気に入りが登場するはずです。

・ファッション=芸術ですよ、これは!


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2011

03/08

Tue.

22:07:20

―新装版― なんて素敵にジャパネスク(6) 後宮編 

Category【日本文学


なんて素敵にジャパネスク 6 〈後宮編〉―新装版― なんて素敵にジャパネスク シリーズ(8) (なんて素敵にジャパネスク シリーズ) (コバルト文庫)なんて素敵にジャパネスク 6 〈後宮編〉―新装版― なんて素敵にジャパネスク シリーズ(8) (なんて素敵にジャパネスク シリーズ) (コバルト文庫)
(1999/07/23)
氷室 冴子

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書き出しをご紹介します。

「姫さま、瑠璃姫さま。たいへんですわ」
 渡殿のあたりから、小萩のうわずり声がひびいてくる。
 ばたばたと足音もすさまじく、よほど、あわてているらしい。
 脇息によりかかっていたあたしは、内心、きたな、と覚悟をきめた。
 ちょうど、朝餉を食べおわった巳の刻(午前十時)すぎ。
 上げわたした格子からは、朝のひざしが、ゆったりと入りこんでくる。
 まだまだ秋の気配は感じられないけれど、さすがに、おだやかあ朝のはじまりではあった。
「姫さま、申しあげますわ」
 小萩が息をきらしながら現れて、簀子縁に手をついた。
 あたしはおっとりと、脇息から身をおこす。
「朝っぱらから、なにを騒いでいるのよ。うるわいわねえ」
「申しわけありません、姫さま。でも、煌姫さまがなにやら、半狂乱でいらして……」
「あの煌姫が、半狂乱?」
「はい」



ジャパネスクシリーズ6冊目。長編の4冊目になります。

瑠璃姫、前作では師の宮にまんまとしてやられます。顔が今上である鷹男の帝と似ているせいか、苛立ちもつのるばかり。今度は煌姫と画策を練り、新たな道を選びます。

瑠璃姫が選んだのは、どうにかして後宮に忍び込もう!というものでした。1作目にて藤宮さま、鷹男の帝、大皇など、宮さまたちとの縁を持つ瑠璃姫。敵である師の宮も宮家の人間です。これは敵の陣地に入り込むしかありません。

大皇さまの計らいで、瑠璃姫どうにか後宮に入り込みますが、やっぱりそこは瑠璃姫です。高彬のいるまでで失態を冒してしまいます。顔から血の気の引く、高彬。しかし瑠璃姫は、それでもどんどんと宮廷でのトラブルに身を投じていくのでした。

ところがそれが思いもがけない展開に発展します。命の危険を感じる瑠璃姫!師の宮とはただものではありません。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・長編シリーズになってから、平安貴族の生活や位などがほんのりわかるようになってきました。きっとあの時代にも、今風なトラブルがたくさんあったんだろうなぁ。

・宮家の複雑さはなんといっても血縁の多さですね。なんどか読み返してしまいました。


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2011

03/07

Mon.

23:00:40

つくもがみ貸します 

Category【日本文学


つくもがみ貸します (角川文庫)つくもがみ貸します (角川文庫)
(2010/06/23)
畠中 恵

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書き出しをご紹介します。

 

ちょいとお前さん、お前さんのことだよ。
 どっちを向いているのさ。ああ、あちこち見ても、私は目に入らないよ。今、風呂敷に包まれて小さな荷となって、人の背に負われているからね。姿が見えないのさ。
 おや、荷とは何だ、私は誰かと問うのかい。そうさね、この身は古い古い根付け、蝙蝠の形をしている、野鉄という者なのさ。大層立派な一品で、手に入れた御仁らに、長年それは大事にされてきたんだよ。だからね、私は成れたんだよ。
『付喪神』に。
 生まれて百年を経ると、器物の中には付喪神になるものがいるのさ。ただの物であったのが、大出世することになるのさね。
 妖と化して力を得てゆくんだ。言葉を口にするし、人の言うことも分かる。何しろ妖となったんだからねえ。



しゃばけシリーズの畠中恵さんの作品です。

今回は姉弟(とはいえ、血筋のない親戚どうし)が営む江戸は深川にある「出雲屋」が舞台。出雲屋は古道具を貸し出す損料屋を営んでいます。今で言うところの、何でも屋みたいなものです。

出雲屋が他の損料屋と異なるのは、貸し出す品々の中に付喪神がある、ということ。付喪神とは、上の書き出し部にもありますが、長い間大切にされてきた品物に魂が宿ってしまったものです。

出雲屋の付喪神たちは、それなりにプライドが高かった!家の主人である清次とお紅にはけっして自ら口をきくことはありません。それが付喪神なりのルールでした。下等な人間とは話さない!ところが、彼らはとてもお喋り好きで、姉弟がその場にいても、一向におしゃべりを止めようとはしない。むしろ、貸し出された先でのおもしろ話をここぞとばかりに語って聞かせます。

清次たちは、付喪神の絶え間なく続くおしゃべりから、街の情報を仕入れ、問題解決に努めます。時には付喪神の力を利用して、わざと彼らを貸し出すことも。

畠中さんの本を読んでいると、江戸の世にはたくさんの妖がいて、日々に彩りを与えていたように思えてきます。小さい頃はお化けの話なんて怖くてたまらなかったけど、本当は愛嬌たっぷりの存在なのかもしれませんね。


jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・しゃばけシリーズのような派手さはありませんが、いつもどおりの人情はたっぷり注がれた作品です。これ、英訳してもおもしろいかも。イギリスあたりなどでは、喜ばれそうな気がします。

・古いものが今でも残っている日本だからこその発想だなぁと思いました。物に魂が宿るというのは、日本ならではの考えかたなのかしら?他国でもこういうのはあるのかしら?と興味が外へ広がります。




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2011

03/04

Fri.

11:04:22

パリジェンヌのお気に入り 

Category【ファッション


パリジェンヌのお気に入りパリジェンヌのお気に入り
(2008/09/17)
米澤よう子

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書き出しをご紹介します。

 パリジェンヌ―
 そこからどんなイメージをしますか?
 私は、職業柄、資格であらゆること
を察知します。みなさんが言葉で覚える
としたら、私はまるで写真を撮るように、
その一瞬を、瞬時に映像で脳にインプッ
トできるのです。
 カフェで、家で、美術館で、公園で。
 パリジェンヌたちを見ては、スケッチし
ているうち、私の描く女の子が変わりまし
た。極上のアイテムではないけれど、ぴっ
たりとしたサイズの服を身にまとい、いろ
んな肌色で、いろんな髪色の女性たちを
描くようになりました。そして背筋がすっ
と伸びて、しなやかになりました。スタイ
ルがよいとか、美人かどうかなんて、問
題にははりません。いつもは真剣で、う
れしいときに笑い、悲しいときに泣く、表
情の豊かさが、絵に彩りを添えるのです。



以前にご紹介した『パリ流 おしゃれアレンジ! 自分らしく着こなす41の魔法』の米澤よう子さんの作品。『パリ流 おしゃれアレンジ!』があまりに面白くて、第一作目にあたるこちらも購入してみました。

米澤さんの作品はとにかく絵がパリそのもの。美しくかつかわいいんですね。それだけで気分が良くなりますが、ファッションの上での勉強になることも間違いなし。ファッションは流行そのもの。2008年に出版された書籍ですので、内容に若干古さを感じさせるものもありますが、とはいえパリジェンヌがテーマです。廃れにくいアイテムが紹介されているのも大きなポイント。この本を読み、私、ロンシャンのトート買っちゃいました。コンバースのスニーカーも欲しいところ。

前作に比べ、ファッションがテーマの中でもよりパリ生活に密着している感があります。日常にカフェがあり、ワインがあり、歌があり― なパリ。お土産情報なんかも楽しいです。

この本を読み、手持ちのアイテムから「甘さ」がさらに取り払われました。気をつけている点では、出来る限り軽快に歩くようにしています。すでにマダムの年齢の私ですが、パリジェンヌのような垢抜けた様相を身につけたい!おしゃれも努力です!

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・女としての義務、私はおしゃれと料理は一番のハイレベルだと思っています。その二つになかなかのめりこむような興味を抱けない体質なので、どんどんオヤジ化しておりましたが、米澤さんの本を読んで開眼しました。これは、いい!

・とくにアクセサリーの使い方や、見た目のバランスはとても参考になります。ヒールの使い方もさまになってきたんじゃないかなーと自己満足中。



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2011

03/03

Thu.

20:54:52

―新装版― なんて素敵にジャパネスク(5) 陰謀編 

Category【日本文学


なんて素敵にジャパネスク 5 〈陰謀編〉―新装版― なんて素敵にジャパネスク シリーズ(7) (なんて素敵にジャパネスク シリーズ) (コバルト文庫)なんて素敵にジャパネスク 5 〈陰謀編〉―新装版― なんて素敵にジャパネスク シリーズ(7) (なんて素敵にジャパネスク シリーズ) (コバルト文庫)
(1999/07/23)
氷室 冴子

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書き出しをご紹介します。

 ころは七月に入ったばかり。
 暦のうえでは、はや初秋である。
 とはいえ、まだまだ残暑はきびしく、庭先の木々もしろじろと乾いている。
 庭をめぐる遣水が陽ざしを反射して、きらきらと光り、まるで真夏だと錯覚しそうな昼下がり。
 庭の夏草の繁みのむこうから、ざわざわと騒がしいもの音がする。
 耳をすませると、雑色らが、大声手どなりあっていて、
「おーい、女房どのたちの筵道(道にしくジュウタンみたいなもの)は、どこだァ?」
「倉から、ひと巻き、ださにゃなるまい。なにせ、大勢さんだからなあ。お邸のひっこしみたいなもんだ、はははは」
 という声も、すっかり、はしゃいでいる。
 あたしは脇息にもたれかかり、ふかいふかいタメ息をついた。
 ああ、頭痛がする。
 この世には神も仏もないのか!という心境よ。



ジャパネスクシリーズ5冊目です。長編の3冊目になります。

瑠璃姫がどうして脇息によりかかりため息をついているのかと言いますと、3冊目、4冊目に引き続き、夫・高彬の乳兄弟である守弥と、お預かり中の落ちぶれ宮家の煌姫と共に、これから師の宮を捕まえるための準備を行っているからです。おてんば瑠璃姫がこれからのことを考えればわくわくしそうなものですが、守弥の計画はとんでもないものでした。師の宮をおびき寄せるためには、新三条邸を空っぽにしなくてはならない。それには、母上に外出していただかなくてはならない。そこで守弥が瑠璃姫に耳打ちしたのは、奈良にある古寺参りでした。

母上にその古寺の話をした瑠璃姫。効果覿面で、早速母上は旅の準備に差し掛かる。さらには父上までもを連れて行くと言って、都でも話題に上るほどの大旅団となっていきます。なぜにそれほど母上が古寺参りに嬉々としたかといいますと、その古寺、子宝が授かるとして霊験ゆたかなお寺なのでした。

ところが、いつもどこか抜けている守弥のたてた計画です。師の宮はやってくるも、作戦通りにことは運びません。それどころか、瑠璃姫は策略に陥れられた形となります。去り際、師の宮はあざが残るほど強く、瑠璃姫の腹部を殴って逃走。倒れそうになりながらも、煌姫に助けを求めた瑠璃姫は復讐への野心を燃やします。

それにしても師の宮!女の腹を殴るとはなんたる男!
宮家の人々はみんなお上品かと思いきや、この作品に出て来る人々はなんとも過激であります。そのギャップが面白いんですよね。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・おもしろくなってきました!師の宮、いったい何者なんでしょう。

・煌姫にどんどん親近感が湧いてきます。このキャラ、おもしろいわ。


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2011

03/02

Wed.

11:39:40

美女と竹林 

Category【日本文学


美女と竹林 (光文社文庫)美女と竹林 (光文社文庫)
(2010/12/09)
森見 登美彦

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書き出しをご紹介します。

「登美彦氏は如何にして竹林の賢人となりしか」
 
 森見登美彦氏とは、いったい何者か。
 この広い世の中、知らない人の方が多いに決まっている。
 したがって、筆者はまずかれを紹介することから始め、遺憾なことに「この人を見よ!」と言わねばならない。さらに遺憾なことに、「見たところで、あんまりトクにはならんよ!」とも言わねばならない。
 森見登美彦氏は、今を去ること三年前、大学院在学中に一篇のヘンテコ小説を書いて、ぬけぬけと出版界にもぐりこんだ人物である。一世を風靡するかに思われたが、風靡せんかった。
「在学中にデビュー」という言葉には魔力がある。「そんな人物は天才肌で、すばらしい才華の持ち主に違いない」と思う人もあるかもしれない。あえて訂正しない方が登美彦氏には好都合なのだが、筆者は肝心なところをごまかすわけにはいかんと信じるものである。


 
みなさま、ご無沙汰しておりました。お元気でいらっしゃいますか?ソウルの寒さも随分和らぎ、開かずの間となっていたパソコンルームもオンドル暖房で快適度を保てるようになりました。ゆえ、読書ブログ、再開です!

というより、この本を読んでいたら、むくむくと「この本、ブログに書きたい。」と思ってしまったのが、再開の一番の理由かもしれません。まあ、寒さも手強い敵ではありましたが、楽しい読書生活があってこその読書ブログ。自室で、地下鉄内で、昼休みのオフィスで、どうにも含み笑いをかみ殺せず、周囲から「あいつは一体何を読んでいるのだ」な視線をひしひし浴びながら読み上げました。笑える読書って、いいですね。本当に楽しかった!

上の書き出し部にもありますように、この本の主人公は森見登美彦氏、すなわち著者ご自身であります。登美彦氏は無類の竹林好き。大学院でも竹を研究し、心のオアシスとして竹林を愛しむ青年小説家です。ある日、同僚の鍵屋さんファミリーが所有する竹林の整備を申し出たところから話は大きくなります。

そもそも登美彦氏は竹を愛でるあまりに、竹が世を活性化させる妄想を抱いています。MBC(森見 バンブー カンパニー)が竹の時代を作っていく!とにかくその妄想レベルが笑えてなりません。

そして刈る、刈るいいながらもなかなか竹林にすら行けない登美彦氏。書籍名やイベントの話などがちらほら登場し、リアルな登美彦氏の生活が見え隠れしそうな気配がありますが、本当に竹を刈ったのかしら。やっぱりそれも妄想なのかしら、とつい思ってしまいますが、本当のところはどうなのかしら。旧友の明石氏や出版社のみなさんなど、これまた味のあるキャラクターが加わり、竹林の「しーん」としたイメージからかけ離れた新喜劇風な様子も笑いを誘います。

今回のソウルの冬、あまりに寒すぎたもんですから(マイナス20度近かったんですよ、ほんとうに!)、ついついロシア文学なんかを読んだりしちゃいまして、白夜なみの暗い世界にどっぷり浸っておりました。そんな中での登美彦氏の竹林を巡る妄想世界は、まるで春の日差しのような笑いを届けてくれたように思います。いや、本当に久々に小説で笑いました。

ところで、美女については本書をお読み下さい。ああ、これまたーなオチで笑えます。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・森見登美彦さんの本、文庫になっているものは殆ど読んでいますが、この本を読みながら「ああ、あの本を書きながら竹林を刈ってたのね(妄想じゃないなら)」と、つい他の本も再読してしまいました。

・北海道育ちに私には竹林ってどんなものなのか、あまり想像が付きません。そういえば前に慶州(きょんじゅ)で竹林を見たような記憶が・・・

・文庫版にはその後の話が追加されています。登美彦氏、今は東京にお住まいなんですねー。

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