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2010

01/13

Wed.

08:13:30

オリガ・モリソヴナの反語法 

Category【日本文学

オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
(2005/10/20)
米原 万里

商品詳細を見る


書き出しをご紹介します。

「ああ神さま!これぞ神さまが与えて下さった天分でなくてなんだろう。長生きはしてみるもんだ。こんな才能はじめてお目にかかるよ!あたしゃ嬉しくて嬉しくて嬉しくて狂い死にしそうだね!」
 オリガ・モリソヴナはチャルダシュを弾いていた指先の動きを止めると、両手を頭上に掲げて天を仰いだ。次にその手で頭を抱え、もうこれ以上こらえ切れないといったふうにこれ見よがし身をよじって立ち上がるのだった。
「そこの驚くべき天才少年のことだよ!まだその信じ難い才能にお気づきでないご様子だね。何をボーッと突っ立ってるんだい!えっ!?」
 吠えるように濁声を張り上げながらグランドピアノを離れ、ツカツカと講堂の舞台を横切って踊りの輪の中に割り込んでくる。文法の授業で反語法のことを習うよりはるか前から、子供たちはみな、先生が「天才」と言うのは「うすのろ」の意味なのだと知っていた。



『ぼくらの頭脳の鍛え方』の中で、佐藤優さんがご紹介していたことから手にとって見ました。以前に米原さんの書籍を購入しようと検索していた時、実は密林にあった『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』に似ている言う書評を読んだんですね。丁度その本を読んだばかりだった私は「だったら今度日本に帰った時に購入しよう」と購入を伸ばし伸ばしにしていました。それが間違いのもと。革命期のロシアとプラハを舞台にした長編小説は、居てもたってもいられないほど小説の世界に読者を駆り立てていきます。

著者が過去の友人を尋ねていくという過程だけをクローズアップすれば、『アーニャ~』と『オリガ・モリソヴナ』は似ているのかもしれません。しかし、前者はエッセイで、現在を生きている人を対象にしているのに対し、後者は小説という架空の世界の中で、過去の記憶を確認すべく彼の地を尋ねるという過程は全く別のものです。また、プラハ・ソビエト学校という実際に著者が通った学校が出てくるところも、エッセイとオーバーラップするのでしょう。オリガ・モリソヴナという人物は実在したそうですが、なかなか資料が見つからなかったそうで、物語はフィクションだという断りがあります。

ロシアは北海道のお隣の国で、実はとってもとっても近くにあるのですが、その広大な台地がヨーロッパにも隣接していることから、なんとなく遠い国というイメージがあります。また冷戦時代の閉ざされた国という印象もまだまだ強固に私たちの頭にこびりついていて、なんだか遠くにあるとてつもなく寒い国以上の情報がなかなか知識に届かない。ところ、実際にソビエト文化の中で暮らしていた米原さんの文章を読むと、実は日本以上に自由があったという事に気づかされます。この小説の中でも、プラハ・ソビエト学校で数年を過ごした弘世志摩(愛称シーマチカ)の目を通して、ロシア文化の豊かさが描かれています。

志摩が学んだ学校の有名教師、オリガ・モリソヴナ。年齢からまで、何もかもが謎の存在でした。でも、志摩がダンスを志す原因となったのは、確実にオリガ・モリソヴナの存在があってのこと。今はダンスを諦めてしまった志摩ですが、ふとオリガ・モリソヴナの存在を思い出し、彼女はいったいどういう人物だったのかを調べようとモスクワへ飛ぶのです。ペレストロイカ以降どんどんと情報が公開されるようになり、志摩はゆっくりとその昔へ繋がる糸へと導かれて行きます。話は志摩の想像以上の展開を示し、それと同時にロシアの歴史の厳しさに触れることになるのです。

500ページにも及ぶ大作ですが、もう先が気になって気になって、つい読書に戻ってきてしまうような作品でした。プラハで過ごした子供時代の思い出と、モスクワを旅する志摩のいる現在と、オリガ・モリソヴナの生きた革命期。3世代を行き来することで、歴史の重さや暗さが必要以上にクローズアップされず、返って新鮮な気分転換になりました。歴史小説というよりは、推理小説のような謎解きがいつも用意されているので、どうしても先が気になってしまいます。

米原さんの作品の中で唯一の長編小説である本書を読むと、閉ざされていたロシアの別の一面が見えてきます。これは佐藤優さんの仰るとおり、まさに教養を深める一冊です。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・NHKの歴史ドキュメンタリーを見たような気分になりました。どうしてもロシアがテーマの本って「重そう」という印象を拭いきれませんでしたが、この本を読んで「重い」ではなくて「濃厚」という印象に変わった気がします。

・それにしてもロシアって不思議な魅力に溢れた国ですね。芸術を愛でる目や力には圧倒されます。中でも芸術のあり方の例として挙げられているのがバレエ。藻刈富代の名で風刺されていますが、かなり辛らつです。さすが米原さん!


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