09«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.»11

--

--/--

--.

--:--:--

スポンサーサイト 

Category【スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

☆ 応援、ありがとうございます ☆ banner_03.gif

[edit]

trackback -- |comment --

page top

 

2010

10/18

Mon.

11:43:02

私小説―from left to right 

Category【日本文学


私小説―from left to right (ちくま文庫)私小説―from left to right (ちくま文庫)
(2009/03/10)
水村 美苗

商品詳細を見る


書き出しをご紹介します。

“Friday, December 13,19XX
“Twenty years since our ―”
“Our exile”?No. That sounds too ordinary. How
about “the Exodus”! Yes, let the word be “Exodus.

“Twenty years since the Exodos.”
And what if I start with “Alas!”?
“Alas! Twenty years since the Exodus.”
And another exclamation mark at the end.
“Alas! Twenty years since the Exodus!”
How about three exclamation marks to really
mark that pang I felt.

“Alas! Twenty years since the Exodus!!!”
No. That looks too vulgar. Take out the last two.
Delete and delete and, wait, do I hear a siren? Yes,
I hear a siren
― 聞こえるわ、聞こえるわ、I hear a
siren in the distance...




『本格小説』を読み、こちらの作品も読んでみることにしました。

最初1998年に新潮文庫から出ていたようですが、現在はちくま文庫版となっています。著者の水村美苗氏は12歳の頃にご両親の仕事の関係でニューヨークへ移り住み、大学院まで教育を受けます。ちょうどこの『私小説』の時代設定は、渡米20年を迎えたころの大学院生活時代を振り返ったもの。

『本格小説』の中での水村家の状況に大差はありません。本書ではカメラ会社へ勤めていたの父は病身の身でアメリカのホームに入っているし、母親はそんな父親を見限って愛人とともにシンガポールへ。姉の奈苗はピアノをやめて彫刻家を目指しており、美苗は東部の大学院の仏文科で博士論文の口答試験を受けるかどうかで悩んでいる。もし口答試験を受けて合格してしまえば、美苗に自由が訪れる。自由とはすなわち日本へ帰ることができるということですが、落ちぶれてしまった姉を一人マンハッタンに残して帰るには忍びない。そんな身辺の様子を数日の出来事と回想が織り交ぜて語られています。

裏表紙に「本邦初、横書きbilingual小説の試み」とあるように、本書は日本語と英語が入れ替わり立ち代り流れてきます。英語には翻訳やルビはありません。日本語と英語で生活をしている水村姉妹の心の葛藤が、この言葉の入れ替わりとともに見事に表れています。

季節が冬ということもあるせいか、詩的な音がとてもしんみり響くような小説でした。私の韓国生活は美苗の半分にも満たないのですが、日本語が恋しくなる、日本を想像する(そしてその想像はどんどんと現実とはかけ離れて美化されたり、過小評価されたりする)、帰りたさで心にぽっかりむなしさが浮かぶ、夢に見る。三十路過ぎですらこれだけ日本が恋しいんです。思春期の娘さんならばもっと強い思いを抱いていたはず。共感できる部分が多分にありました。異文化の中で、特にアメリカの場合は人種という目に見える差異もあるなかで、いつも自分はお客様のような部外者のような溶け込めなさは、子供であれ大人であれ敏感に感じ取れます。

美苗と奈苗は毎日電話を通して日本語と英語で語り続けます。葛藤や悩みや踏み切れない思いが常に現れては消えていく。ニューヨークではなく、カリフォルニアのようにアジア人の多い地域で育ったならば、英語の世界で暮らせたかもしれないという美苗の言葉が印象的でした。

アメリカへ転勤、家族で移住だなんて、昭和の頃はそれはそれは幸運なお話だったと思います。だれもが海外へ出かけられる今とは異なり、海外で暮らすなんて羨望そのものだったのではないでしょうか。人が羨むようなアメリカでの生活も20年後には家族はバラバラで、帰る家すらない。日本に帰る先がないという不安が小説の大半を覆っている。転落後の水村家の生活がここにあります。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・『本格小説』とは違い、登場人物は水村家と縁のある人でも姉妹と関係のある人々ばかりです。

・精神に異常をきたしてしまう様子が中学校の同級生から大学の友人にまで何度か現れてきます。恐ろしいことを口走った同級生は、ついに精神病院へ収容されてしまう。明るい楽しい話題よりも、影の思い出が出てくることに美苗の心の不安が強く描かれているように思います。

・帯に「読書会で話題沸騰!各紙誌絶賛!」として水村氏の『日本語が亡びるとき』の広告があります。この作品もぜひ読んでみたい。


☆ 応援、ありがとうございます ☆ banner_03.gif

[edit]

page top

 

コメント

page top

 

コメントの投稿

Secret

page top

 

トラックバック

トラックバックURL
→http://siawasetuikyu2.blog10.fc2.com/tb.php/578-1851a64c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

page top

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。