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2010

11/30

Tue.

22:12:07

旅のラゴス 

Category【日本文学


旅のラゴス (新潮文庫)旅のラゴス (新潮文庫)
(1994/03)
筒井 康隆

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書き出しをご紹介します。

集団転移

 放浪する牧畜民族の集団に加わるのは初めての体験だった。彼らは老人や女子供を含め約四十名のグループで、五十頭ほどのスカシウマ、百七十頭ほどのミドリウシをつれ、ビタハコベなどの生えている自然の牧草地を求めて移動し続けていた。冬が近づくというのに彼らが北へ北へと旅し続けているのは、リゴンドラという北方の都市で牛馬を売るためである。おれは南への旅だった。リゴンドラの南西数キロの牧草地で彼らに出会い、ひとり旅が心許ないため彼らのグループに加えてもらったのだった。彼らと共にいったんリゴンドラまで戻らねばならなかったがそれはしかたがなかった。南方諸都市は旅びとの扱いが手荒く、町によっては旅びとというのは北方から奪われるための金を持ってやってきて、自分たちに殺されるだけの存在だと思っている連中ばかりがいたりするのだ。
 おれは都会育ちだから牛馬と寝起きするのは初めてだった。スカシウマもミドリウシもおそろしく巨大なのでおれは最初のうちどうしても彼らに馴染むことができなかった。ムルダムの一族は飼育しているけものたちと同化していた。都会の人間が競技用や乗物用に飼っているけものたちを馴らすためにはあくまで飼い主として感情移入し、彼らを従わせる方向へとその心理を導くのだが、ムルダム一族はそうではなかった。けものたちに同化するため、四つん這いになったりもするのだ。一族の中で、子供たちにけものとの同化を教育しているのはヤシという若い娘だった。おれは自ら希望して子供たちに加わり、彼女から教えを受けることになった。



SFの印象が強い筒井康隆氏ですが、この小説はファンタジー向きの作品だったように思います。上の書き出し部に登場するスカシウマやミドリウシは実在しないはず。

この本の主人公がタイトルにあるラゴスという青年です。ラゴスは自らを「おれ」と呼びワイルドな印象を与えるタイプですが、実に博識で行動力のある人です。ラゴスの旅は実家のある北方の町から始まり、南方の町に到着してそこで長い時間を過ごしますが、また折り返して北方に戻ります。この間実に30年。

旅を続けるラゴスの前には、いつもいつも新しい町で新しい出会いがあり、事件とも言える出来事に巻き込まれる。行く先々に人生のターニングポイントがあるような旅なのです。奴隷になったり、恋をしたり、歴史書を何年も読み漁ったりと、ラゴスは自分の心の赴くがままに生きている。まるで冒険小説のようなワクワク感に一息に最後まで読みたくなるはずです。

30年もの旅ですから、ラゴスも徐々に老成していきます。その過程がなんとも魅力的。読み進むにつれ、ラゴスがスカシウマと同化するがごとく、読み手もラゴスの旅に同化していきます。この小説の人々は、心を同化させて瞬間移動する技術がある。そして空を飛んだり、人の心を敏感に感じ取ったりと、心の芯に触れるようなエピソードがたくさんあります。ふっと心が軽くなるような小説です。


jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・一生ってなんだろうね、と考えてしまいました。自分に与えられた道をただ真摯に進んでいく。ラゴスの旅にそんな印象を感じました。

・心を同化させるって素晴らしいことですね。人と人のつながりにも、相手を思い図って同化できるほどの心のつながりがあればいいのに。



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