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2010

12/03

Fri.

14:17:57

思い出トランプ 

Category【日本文学


思い出トランプ (新潮文庫)思い出トランプ (新潮文庫)
(1983/05)
向田 邦子

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書き出しをご紹介します。

かわうそ

 指先から煙草が落ちたのは、月曜の夕方だった。
 宅次は縁側に腰かけて庭を眺めながら煙草を喫い、妻の厚子は座敷で洗濯物をたたみながら、いつものはなしを蒸し返していたときである。
 二百坪ばかりの庭にマンションを建てる建てないで、夫婦は意見がわかれていた。厚子は不動産屋のすすめに乗って建てるほうにまわり、宅次は定年になってからでいいじゃないかと言っていた。定年にはまだ三年あった。
 植木道楽だった父親の遺したものだけに、うちは大したことないが、庭だけはちょっとしたものである。宅次は勤めが終わると真直ぐうちへ帰り、縁側に坐って一服やりながら庭を眺めるのが毎日のきまりになっていた。
 暦をめくるように、季節で貌を変える庭木や下草、ひっそりと立つ小さな五輪の石塔が、薄墨に溶け夜の闇に消えてゆくのを見ていると、一時間半の通勤も苦に思えなかった。文書課長という、出世コースからはずれた椅子も腹が立たなかった。おれの本当の椅子は、この縁側だという気がしてきた。
 厚子も夫の気持が判っているらしく、いつもは二言三言で引き下がるのだが、この日は妙にしつこかった。宅次もいつになく尖った声で、
「マンションなんか建てたら、おれは働かないよ」
と言い返した。



『林真理子の名作読本』に紹介されていた小説です。この本を読んでみようと思った理由は、林さんの感想を読み、きっと人の心の情景がうまく言葉にされているに違いないと思ったからです。著者自身は生涯独身でしたが、この小説では殆どが夫婦をテーマとしたものになっています。

どの作品も主人公は50代に手が届くか、通り過ぎたばかりかという年齢層の男女になっています。全体的にからっと明るい話というよりも、離婚や浮気といったどんより感が漂ってる。しかも現在浮気をしているとかではなく、浮気してしまった当時のことを回想していたり、心のしこりとして残っていたりとやっぱりどこか影がある。

そんな短編が13本載せられているのですが、どれもかなり印象が強いです。読後にタイトルの並んだ目次を見ていると、それぞれの話がまるで自分の身の回りに起きたことであるかのように思い出される。それもパステルカラーのぼんやりした色合いではなく、原色の毒々しさたっぷりの絵を見たかのように、はっきりと浮かんできます。

なるほど。これは読んでよかった。短編なのにこんなにインパクトがあるなんて。これはもう少し年齢が行ってからもう一度読み返したいものです。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・昔、私の祖母が好んで向田邦子作品を読んでいました。私が本に触れようとすると、「あんたにはまだ早い。30歳過ぎたら読んでみろ」と言われたのを思い出します。

・たしかにこの作品はある程度人生の酸い甘いを経験しなければ共感できないでしょうね。30代でもまだ早いかもしれません。


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