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2011

03/10

Thu.

22:43:41

バガージマヌパナス―わが島のはなし 

Category【日本文学


バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
(1998/12)
池上 永一

商品詳細を見る


書き出しをご紹介します。

 

暖かな風は、はるか南西から吹いてくる。耳を澄ませば三線の音がきこえた。どこで何が起ころうと、この島の美しさはかわらない。そこに島人たちが住んでいるかぎり。

 白い砂の道沿いにある、石垣の上の大きなガジュマルの樹の木陰で、もう三十分も彼女は座り続けている。
 島に絶えず吹く潮の香りをたっぷりと含んだ海風に、彼女は豊かな髪を靡かせている。赤く小さなかたちのよい唇から、奥歯をのぞかせて、ポカンと口を開けていた。さっきからずっと、深く青い空を眺めている。彼女は目を細めた。
 紺色で産みとつながった空に雲が欲しかった。彼女はポケットから煙草を取り出して、フウと煙の糸を空に預けた。しかし彼女がどれほど多くの煙をつくろうと、はかない白雲が海の色より濃いこの島の空を薄めることなどできはしなかった。
 彼女はもう一本の煙草を取り出すと、あきらめたように肺を黒く染めはじめた。ジリリと煙草の炎が大きな呼吸にあわせて赤く萌え、白煙となって彼女の喉を通っていった。照りつける真夏の太陽が、籠を頭の上に載せて荷物を運ぶ島のオバァたちの足を、ゆらゆらと陽炎のように揺らした。そんな彼女たちを太陽がますます強い光で射し、大地に黒い影を焦げつかせる。



沖縄を舞台にした、池上永一さんの作品。
『風車祭』を読み、沖縄独特の文化世界に魅了されてしまいました。

『風車祭』同様、この作品でも沖縄のオバァが登場し、マブイだのユタだの、人の世界とは異なるいわゆるあの世との行き来も登場します。

主人公の綾乃はごく普通とは決して言えない女子高生。学校が嫌いだし、どちらかというと世の中のきまりごとに全力でもって対抗するような娘です。学校に行かない、というかなじめないから、友達も殆どいない。親友はなんと86歳で近所に住むオバァ一人。相当な年齢差でありながらも、なぜか微妙なバランスで友情を築いている二人の姿には清々しささえ感じられます。できれば私も年の離れた友達が欲しいわ、と思いたくなるような世界です。

綾乃が人と仲良くなれないのは、おそらく小さい時から「見えてしまう」体質だったからでしょう。予知能力のようなものを持っていた綾乃ですが、大人になるにつれて意思の力でその怖い予言を見ないようにしていました。ところがある日、夢の中で「ユタ(巫女)になれ」と言われる。これは一種のお告げで、断ることなんてできないんだそうです。なのに綾乃は断った!ワジワジーッ(不愉快だわ)と、これまた全身で断った。すると神の予言を逆らうわけですから、当然綾乃の身に不運が訪れます。

ところで、沖縄の島々にはそれぞれに巫女がおり、聖地にて祈りを捧げているんだそうです。聖地を守る巫女もいれば、地域の祠や地域の先祖に祈りを捧げる巫女もいる。綾乃はこの地域を見るユタ(巫女)になれといわれているのですが、ユタも勢力があるんでしょうね。新入りの存在を心よく思わないユタもいたりで、やっぱりワジワジーッ生活が待っています。

沖縄の異文化世界を垣間見ているだけでも、その豊かな空気に触れたような気になりました。そして人と魂の触れ合に涙しつつ、海と山に囲まれながら穏やかに暮らしていきたいなーと、しばしぼんやりと考えこんでしまうことも。

ファンタジーノベル大賞受賞作だけあり、心がファンタジーの世界(この場合は沖縄ですね)に飛んで行きそうになりました。

jumee☆point1d この本を読んで jumee☆point1d

・NHKの「ちゅらさん」が大人気だった頃から考えてみると、人々が沖縄の話を求める理由は、その人情にあるのではないかと思います。人は寂しいのが嫌いなのかもしれません、芯のところでは。個人主義の快適さ満喫しながらも、人と繋がっていたい気持ちがどこかにあるのかも。だからこそ、家族全体、ご近所一帯でお付き合いをしているような沖縄の生活に癒しを感じるのかもしれませんね。

・綾乃みたいな子がまわりにいたら、本当にビックリ以外の何ものでもありません。ただ、純粋ゆえ、周りに合わせられないんだろうな。適当に周囲に溶け込むことがよいのかしら?と逆に考えてしまったほどえす。

・とにかく、沖縄の自然に溢れる情景が目に浮かぶ作品でした。石垣島、行ってみたいなぁ。


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